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51 失敗は成功の母かな?
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「ウ~ン・・・」
王城の応接室。
美しく艶のある天鵞絨貼りのソファーに座り悩んでいるのはソフィア・レイド・グレーン嬢。
すっかりペット化したチャッピーが膝で眠っている。
×××
ガチムチ陛下と一緒に4人一気に王都にある王城に移動したのはつい1時間ほど前のことだ。
「ちょっとこいつ等、王都に連れてくわ。夕食迄には返すから」
辺境伯の執務室で実の弟であるディアミドに向かってヘラっと笑いながら許可をもぎとり、彼らを引っ張ってきた国王陛下。
勿論ディアミドには若干睨まれたが、そんな細かい事は気にしない実に唯我独尊なイケオジ陛下である。
野暮用があるからここで待っとけと言われて、3人と1匹はそのまま応接室に放り込まれて今に至る。
因みに絶賛お悩み中なソフィアの手にあるのは、例の著作権云々が怪しい赤白ツートーンカラーのボール型魔道具だ。
今は中に対象生物が入っていないため青黒では無い。
転移魔法と時空魔法、そして形成魔法を駆使して自然界の元素を使って作り上げた魔道具の中、つまり捕獲した対象生物が送られる先の疑似世界を今住んでいるこの世界とほぼ同じ条件で次元の隙間に完璧に作り上げた筈だったのに・・・
――彼女のやってる事は既に神の御業だろうが、それが何となく出来るのは魔法のある世界という実に超絶便利なゆるフワ設定だからである。
知性ある読者諸氏の冷たい視線はこの際気にしない・・・()――
「何で魔素がない世界になっちゃったのかしら?」
研究者としては『目指した作品にはならなかった』それだけで失敗作品なのだろう。
「別にいいんじゃないか? 送り込まれた奴が魔法が使えなくなるだけだろう?」
「いや、そういう問題じゃないのよアジェス。私の魔術師としてのプライドの問題なのよ! 本来なら建物と人はいないけど辺境伯領のミニチュア版みたいな世界になってたはずなのに、魔素がない世界じゃ失敗じゃないの~! 理論上は上手く行ってたはずなのよ~~」
うがあぁ、と両手で頭を抱える彼女の悩みは脳筋アジェスにはわからない悩みである。
一応辺境伯の執務室では臣下(隊長以下部下達)の手前『罪悪感が湧いちゃうから~』などと言ってお茶を濁して自分の気持ちを見て見ぬふりをしたものの、時間が経ってくるとフツフツと羞恥心が湧いてくる。
人間大体みな時間が経てば経つほど、自分でやったことを思い出しては恥ずかしくなって悶えたりするもんである。
ましてやソフィアは前世はオタク気味の研究者で負けず嫌いなのだ。
どうしても納得がいかない以上自分の成果を掘り返して何処に間違いがあったのかを納得行くまで精査したくなるのである。
・・・そんなんだからモン◯ター◯ナジーの飲みすぎで階段ですっ転んでお陀仏になったのだが。
悶々と悩むソフィアを横目でチラリと見た後で、帝国の従兄弟はひたすらそれを無視して茶菓子をせっせと頬張ることに専念しようと心に決めた。
触らぬ神に祟りなしと言うではないか。
「まあ、試作品だったのだから仕方ないだろう」
見兼ねてソフィアの頭をポンポンと撫でながら、どうどうと落ち着かせるのはシルファ王子。
「だって、もしシルファが同じ物を作ったら絶対に失敗しなかったでしょ?」
彼は片方の眉を何時ものようにヒョイと上げる。
「・・・ そもそもお前と魔力量が違うから完成させる事すらできんから安心しろ」
「安心って・・・ なんか違うぅ知識はシルファが上だもん・・・」
ブスくれた顔の婚約者の頰に手を置いて
「魔道具作りはお前の方が確実に上だ。『失敗は成功の母』なのだろう?」
王城の応接室。
美しく艶のある天鵞絨貼りのソファーに座り悩んでいるのはソフィア・レイド・グレーン嬢。
すっかりペット化したチャッピーが膝で眠っている。
×××
ガチムチ陛下と一緒に4人一気に王都にある王城に移動したのはつい1時間ほど前のことだ。
「ちょっとこいつ等、王都に連れてくわ。夕食迄には返すから」
辺境伯の執務室で実の弟であるディアミドに向かってヘラっと笑いながら許可をもぎとり、彼らを引っ張ってきた国王陛下。
勿論ディアミドには若干睨まれたが、そんな細かい事は気にしない実に唯我独尊なイケオジ陛下である。
野暮用があるからここで待っとけと言われて、3人と1匹はそのまま応接室に放り込まれて今に至る。
因みに絶賛お悩み中なソフィアの手にあるのは、例の著作権云々が怪しい赤白ツートーンカラーのボール型魔道具だ。
今は中に対象生物が入っていないため青黒では無い。
転移魔法と時空魔法、そして形成魔法を駆使して自然界の元素を使って作り上げた魔道具の中、つまり捕獲した対象生物が送られる先の疑似世界を今住んでいるこの世界とほぼ同じ条件で次元の隙間に完璧に作り上げた筈だったのに・・・
――彼女のやってる事は既に神の御業だろうが、それが何となく出来るのは魔法のある世界という実に超絶便利なゆるフワ設定だからである。
知性ある読者諸氏の冷たい視線はこの際気にしない・・・()――
「何で魔素がない世界になっちゃったのかしら?」
研究者としては『目指した作品にはならなかった』それだけで失敗作品なのだろう。
「別にいいんじゃないか? 送り込まれた奴が魔法が使えなくなるだけだろう?」
「いや、そういう問題じゃないのよアジェス。私の魔術師としてのプライドの問題なのよ! 本来なら建物と人はいないけど辺境伯領のミニチュア版みたいな世界になってたはずなのに、魔素がない世界じゃ失敗じゃないの~! 理論上は上手く行ってたはずなのよ~~」
うがあぁ、と両手で頭を抱える彼女の悩みは脳筋アジェスにはわからない悩みである。
一応辺境伯の執務室では臣下(隊長以下部下達)の手前『罪悪感が湧いちゃうから~』などと言ってお茶を濁して自分の気持ちを見て見ぬふりをしたものの、時間が経ってくるとフツフツと羞恥心が湧いてくる。
人間大体みな時間が経てば経つほど、自分でやったことを思い出しては恥ずかしくなって悶えたりするもんである。
ましてやソフィアは前世はオタク気味の研究者で負けず嫌いなのだ。
どうしても納得がいかない以上自分の成果を掘り返して何処に間違いがあったのかを納得行くまで精査したくなるのである。
・・・そんなんだからモン◯ター◯ナジーの飲みすぎで階段ですっ転んでお陀仏になったのだが。
悶々と悩むソフィアを横目でチラリと見た後で、帝国の従兄弟はひたすらそれを無視して茶菓子をせっせと頬張ることに専念しようと心に決めた。
触らぬ神に祟りなしと言うではないか。
「まあ、試作品だったのだから仕方ないだろう」
見兼ねてソフィアの頭をポンポンと撫でながら、どうどうと落ち着かせるのはシルファ王子。
「だって、もしシルファが同じ物を作ったら絶対に失敗しなかったでしょ?」
彼は片方の眉を何時ものようにヒョイと上げる。
「・・・ そもそもお前と魔力量が違うから完成させる事すらできんから安心しろ」
「安心って・・・ なんか違うぅ知識はシルファが上だもん・・・」
ブスくれた顔の婚約者の頰に手を置いて
「魔道具作りはお前の方が確実に上だ。『失敗は成功の母』なのだろう?」
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