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35 面倒くさい出自〜ソフィア視点③過去〜

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 はい、恙無くつつがなくスクスクと育ってます。

 ソフィアです。

 前世の記憶は未だにありますが子供の体に引っ張られたんでしょうか? 昔そういう論文あったよな~・・・ 

 前世30歳間際だったはずだけど、お子様生活をすっかり満喫してます。


 大人? ナニソレ美味しいの?


 そんな感じで楽しく生きてます。



×××



 1歳前に鏡で自分の髪色を見て父親ソックリじゃん?! と、その落ち着きのない派手さ具合に愕然とし、

 2歳で魔獣と呼ばれるヤバイ生き物が自分の住んでる場所の、すぐ目と鼻の先にウジャウジャ生息していることに気がつき、

 3歳で、父親が私を『たかいたか~い』と宙に浮かせていたのは腕力ではなく魔法らしいと気が付き、

 4歳でその辺のオッサンやお兄ちゃん達が兵士のフリした魔法使いや騎士だという事に気が付くという生活を送って来ましたよ。


 ――我ながらすっごい呑気だけどね。


 5歳になり、何故自分の寝室じゃない場所で朝の目覚めを度々迎えるのかと言う事に疑問を覚えて自分にアホほど魔力が有るんじゃないか、ということに気が付きました。

 寝てる間に勝手に寝ぼけて転移魔法を発動してりゃ自室のベッドで起きられるわけないよねー。

 毎朝メイドが総出で屋敷中を満遍なく探すことから始まる毎日でした。


 美人な母は面白がって


 『ソフィーちゃん、こんな事できないかなぁって考えてやってみて?』


 と。

 適当な事を言うので色々やってたら誰も知らないような魔法を勝手に構築していたみたいで『魔法の天才』と周りから言われるようになってしまいました。

 たぶん城に居た兵士達が寄ってたかって私のこと猫可愛がりしたせいもあるでしょう。
 遊びが魔法で作った水球や火の玉を的に当てたり、動いてる魔獣を土魔法の壁で囲ったりしてましたもんねー・・・。

 ま。威力が強すぎて、的はぶっ壊れて土の壁は囲いじゃ無くて丘になりましたが。


 その間、たま~にコッソリやって来る父親とおんなじ髪色のガチムチ系の自称『オニーチャン』が、この国の国王陛下だったという事を知りましたよ。


 ――なんでや? 王様って暇なのか?


 最近6歳のお誕生日を迎えましたが、未だに寝ぼけて転移魔法を発動するのが治まらないので、魔法の家庭教師をお父様が連れて来ましたが全力で魔法でかかってこいと言われてその通りに先生にウォーターアローをぶつけたら窓からすごい勢いで飛んでいってしまいました・・・


 全治3ヶ月だって。

 悪いことしちゃったな・・・。


 ――ちょっとショックです。


 落ち込んでベッドに潜り込んでたら、王様が又急に現れて――転移してくるんだよね、この人子供部屋に―― 頭をポンポンして


 「ソフィーはさ、俺の息子と結婚とかしちゃわない?」


 と。

 いきなり6歳児に縁談を持ってきました。


 ――なんでやねん、このイケオジ。

 前世なら年齢的にアンタが恋愛対象やで? 無理だってばよ~。


 「え~と、それって王子様じゃん」

 「うんそう。シルファっていうんだけどな~。お固くてさ、どうも融通がきかねえんだよな~」

 「ソレは、真面目って言うんじゃないの? でも何で私が王子様と結婚?」

 「あー、ソフィアは血統的に結婚相手が難しいんだよな。うちの息子か隣国の皇帝の甥くらいじゃね~とな」

 「何で?」

 「お前の親父は俺の弟。だからお前は俺の姪なの」

 「え?」


 このイケオジ、父様と髪の色は一緒だから親戚かなって昔から思ってたけど・・・ 


 ――え、兄弟だったの? 


 似てないから気が付かなかった・・・


 ――え、じゃあ、父様って王弟なの?


 「お前のかーちゃん、隣国の皇帝の妹って知ってる?」

 「え。知らない」


 たしかに母は隣国の出身特有の黒髪に、少し浅黒い肌をしておりますが・・・


 「えーと? 皇女樣? だったってこと?」

 「そういう事だな」

 「・・・・」


 隣国もそうですがこの国の王族も魔力が強くて有名だと兵士のオッサンたちに聞いてたのでそりゃあ自分、魔力が高いわけよね~ とその時に初めて納得しました。
 

 「まぁ、その辺の貴族なんかじゃ釣り合いが取れん」

 「政治的に?」

 「難しい言葉知ってんなぁ。まあそ言うことだな」


 ――めんどくっさ・・・


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