43 / 101
2
43. 仲良し・・・?
しおりを挟む「・・・そうだね、ってお前なぁ、確か今17歳だっけ? 前にも言ったが俺の年齢聞いてただろう? 30歳は過ぎてるって。こんな顔だが実際は40歳間近なんだぞ? そんなオジサンをパートナーに指名してどうするんだよ」
呆れた顔になるカインはやはり美少年だ・・・年齢は言わない。
「妖精族って寿命は天人くらいあるの?」
「いや、ちょっとだけ短くて120年位かな? 俺は先祖のどっかで人族が入ってるらしいから、もっと短いかもな」
「ふうん。でもまぁ人間いつ死ぬかなんてわかんないからね。実際私は飛行機事故で死ぬ予定だった訳だし? あの時カインさんと付き合ってれば良かったって死ぬ時後悔するのは嫌だから~やっぱり死ぬまで私と付き合って?」
あっけらかんと返され、カインは渋顔になった。
「お前な~!」
「私は、カインさんが好きなの。年齢はマジで関係無いよ? そもそもオッサンでも顔は美少年だから気にならないよ?」
「顔か?! 顔なのか?」
「うん。結婚するなら美少年がいいの。デカイのもゴツいのも、ケツ顎もお断りなの私。この世界の男の人って大抵がバタ臭い顔で歳と共に絶対髭面になるでしょ? 無理。その点カインさんは40歳近くてその美貌ならきっとヨボヨボになっても綺麗なおじいちゃんだと思うし」
ニヤっと不敵に笑う涼子。
「それに、カインさんは口悪いけど神官長には優しくしてた。根は優しいんだろうなってわかっちゃうよ」
「・・・」
答えないカインにニシシと悪ガキのように笑う涼子。
「私、狙った獲物は逃さない主義だから」
「え、・・・えぇ~」
・・・獲物は逃げられそうにない。
×××
『コンコンコン』
応接間のドアを叩く音がした。
「はい? どうぞ」
涼子の返事と共に、メイド服姿のウサギ獣人がドアを開けた。
「ああ、やっぱりリョーコ様お帰りだったんですね? 部屋から話し声がするので、もしやと思い確認に来させていただきました」
ピョコンとお辞儀をすると、ブリムの横で白いうさ耳がフルリと揺れる。
「え・・・あ、ああッ! そうか私も望さんも魔法で直接部屋に帰って来ちゃったんだった!! すっかり忘れてた。ごめんね。ただいま!」
「おかえりなさいませ? ローザ様は未だ帰って来ておられないので、私共も如何したものかと・・・神官様もおいでのようですので、お茶をお持ちしますね。お待ち下さいませ」
再びお辞儀をすると又耳がピョコンと揺れる。
「あ、じゃあ4人分お願い」
「え? お2人では?」
「実は隣の部屋に望さんともう1人いるんだ」
フム、と首を傾げたあとで
「ノゾミ様のお部屋は物音が全くしませんので気が付きませんでした。ああ、遮音魔法でもお使いなのですね。それでは至急4人分お持ちします」
1度丁寧なお辞儀をして、彼女は退室していった。
「遮音魔法?」
「防音の魔法だな。密談する時に使うヤツだ。隣の2人は周りに聞かせたくない感じだったしな」
「エッチな事だったり・・・する?」
慌ててバッとソファーから立ち上がり、望の部屋に続くドアに片耳を当てる涼子。
「おい・・・」
「だって気になるじゃん。ルーカスさん変だったしさ~」
「・・・やめとけ、どうせ聞こえねえよ」
「チッ・・・」
「お前、ホントに変わった女だよなッ!」
「イロイロ気になるお年頃なんだよッ!」
「え、2人共何やってるの?」
望とルーカスが応接室に入ると、何故か涼子とカインが絨毯敷の床に座って互いの頬を両手で引っ張り合っていた。
「ノジョミしゃんおかふぇりい」
「・・・おう」
「仲良くなったの?」
「「・・・うん。まぁ」」
2人は同時に手を引っ込め、咳払いをして立ち上がりバツが悪そうにお互いにそっぽを向いた。
「何があったのかしら?」
「・・・分からん」
×××
運ばれて来たお茶のカップに香り高い紅茶が注がれ、メイドが部屋を出て行くと早速涼子が話を切り出す。
「でさ、ルーカスさんと望さん一体何だったの? 遮音魔法が望さんの部屋に張られてるってメイドのルルちゃんが言ってたからさぁ、なんか難しい話しなのかなって・・・」
「うん。まぁ・・・結果から言うとね、ルーカスさんとお付き合いする事にしたの」
そう言って顔を赤らめルーカスを見上げる望。
「・・・そういう事です」
ルーカスが愛おし気に望の肩を抱く。
「え。あそうなの」
「ブホッ」
飲みかけの紅茶を吹き出しそうになったのはカインだ。
「やだなぁ。カインさん大丈夫?」
ゴホゴホと咽る彼の背中を甲斐甲斐しく擦る涼子。
「え、閣下、マジで? アンタ女嫌いじゃなかったのか?!」
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる