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第二章 臣下とは王のために存在する

医務室では、お静かに

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 王城と騎士団本部は、隣接している。

 境目さかいめに白亜のアーチがあるだけで、天井も床もつながっており、行き来ができるようになっている。

 アーチの前後で、がらりと雰囲気が変わるため、用途が違う建物であることは、一目瞭然だ。
 王城は豪奢な壁紙がふんだんに使われているが、騎士団本部に入ると、とたんに地味になる。
 
 調度品のひとつも置いていない簡素な廊下を、ギルバートは早足で歩く。

 今日中に殲滅せんめつすべき魔獣の特徴と、竜騎士団員の顔と能力を思い浮かべる。
 
 どうしても牛型魔獣ヘビーモスに対抗できる編成が思いつかず、自分ひとりで倒すのが、一番かんたんで確実な方法だとの結論に達する。

 狼型魔獣ダイアウルフの群れは、エリオットに丸投げしよう。
 そう決めたと同時に自分の執務室に着いて、ギルバートは扉を開けた。

「ギルくん、おかえりー!」

 あたりまえのように待ち伏せをしていたブラットリーが、明るく手を振る。
 彼が陣取るソファの周囲は、よくわからない部品や工具でいっぱいだ。

 室内の惨状さんじょうに、ギルバートの頬がひきつる。

「おまえ……ちゃんと片付けろよ」

 まったく悪びれたところのないブラットリーが、ソファに乗っていた機材を払いおとす。
 耳障りな音に、ギルバートはおもわず眉をしかめる。

 ブラットリーが、ソファの空いた部分を強調するように、ポンポンとたたく。
 報告の手間が省けたと思うことにして、ギルバートはおとなしくソファに腰を下ろす。

帰還きかん腕輪うでわ、どうだった!?」 

 ブラットリーの赤眼が、よごれたレンズ越しでも分かるぐらいに、かがやいている。
 ちゃんと見えているのか、と何度目かの疑問とともに、こいつ、俺のことを売ったんだよな、とぼんやり思う。
 ブラットリーの態度に、罪悪感のかけらも見当たらないため、ギルバートは考えるのをやめた。
 
 事実、彼の研究は役に立っている。
 帰還の腕輪に目線を落とし、ちいさく息を吐く。

「そうだな。すごく楽だった」
「くわしく!」

 ブラットリーが、さらに身を乗りだしてきた。

「魔力は、ほぼ要らないな」
「発動時の重力じゅうりょくは? 転移魔術と、どう違う?」

 ギルバートの返答にかぶせるように、ブラットリーが質問をたたみかける。
 三人掛けのソファが、ものすごくせまく感じる。

「重力……は、気にしたことがない」
主観しゅかんでいいから!」
「大差ないと思う……というか、そこまで気になるなら、自分で試してこい」

 ギルバートは、帰還の腕輪を、手首から抜きとろうとする。
 つなぎ目がない腕輪は、手をすぼめても、骨にひっかかってうまく抜けない。

「どうやって抜くんだ、これ」
「回しながら、すこしずつ押し上げていけば抜けるよ。……たぶん」

 ギルバートが腕輪と格闘しているのを見ながら、ブラットリーは語尾にちいさなつぶやきを付け足す。
 腕輪には、ギルバートの手首に合わせて収縮し、その直径で固定する術式が組んである。
 これで落とすことはない、と満足していたが、正直、外すときのことを考えていなかった。

「あのねギルくん。借りたところで、転移魔術が使えない人間に、違いはわからないから」

 だからひとまず、外すのはあきらめてください。
 そんな本音をこっそり混ぜて、ブラットリーはわらう。

 一方のギルバートは、ブラットリーの正論に、きょかれたようにまたたいた。

「……そう、だな」

 では、自分が使うしかないのか。
 そう思いながら、腕輪から指を離す。
 希少宝石パライバ・トルマリンが光をはじくのを、ぼんやりとながめた。

 実をいうと、ソファに座ったあたりから、ものすごい疲労感がおそってきて、あたまが回っていない。
 しかし、考えるべきことは、山積みだ。

――すぐに王命が発令されるから、エリオットに討伐隊の編成をまかせて、その間に俺がヘビーモスを討伐したほうが……ダイアウルフは行動範囲が広いから、見つけるまでが難儀だな……。
 
「ギルくん、どうしたの?」

 名前を呼ばれ、ハッと顔をあげる。
 ブラットリーがいるのを忘れていた。

「だいじょうぶ? 疲れてる?」

 二択ならイエスだが、そうも言っていられない事情がある。

「わるいが、おまえと話しているひまはない。エリオットを知らないか?」
「ええー。ぼくといるのに、他の男の名前を出すのぉ?」
「おまえ、年中ふざけてるな」

 ギルバートが、あきれ顔でブラットリーを見やる。

「ひどいなぁ。ぼくはいつだって真剣なのに。いまもほら、ご所望しょもう通信術具つうしんじゅつぐが完成しました! じゃーん!」

 ブラットリーが、一対いっついのスタッドピアスをかかげる。
 虹をとじこめた水晶ーーアイリスクオーツには、複雑な術式が組み込まれている。

「ほんとうか!? おまえ、すごいな!」 
「でしょー? ふたりがひとつずつ耳につけて、魔力を流すと、どんなに遠くにいても会話ができるよ」
「魔力を流すだけでいいのか?」
「うん! 試作品だから、一対しかないけど。リオくんと繋がれば、とりあえずは事足りるんでしょ?」
「そうだな。いやまて、これピアスか?」

 ギルバートの耳に、ピアスホールは開いていない。
 彼の困惑に、ブラットリーは心得たようにうなずく。

「だから、いまから医務室いむしつに行って、ピアスホールを開けようね」
「……いまから?」
「だいじょうぶ。ギルくんの主治医であるぼくがぁ、責任をもって、やりとげてあげるから」

 ブラットリーが立ち上がり、ギルバートに手を差し出す。
 その手をつかみ、ギルバートはうすく笑った。

「では、患者を売る、ご立派な主治医様に、おまかせしようか」 

 考えるのはやめたが、許すとは言っていない。
 そんな意を込めて、つかんだ手に強い力を込める。

 ブラットリーは、痛がるどころか、おもしろそうに目を細めた。

「その研究費は、回り回って、ギルくんのためになるんだよ」

 そう言って、ギルバートを引き上げる。
 立ち上がった彼にむかい、やはり、ひとかけらの罪悪感も見せないまま、無邪気ともいえる笑顔をみせた。 





 医務室いむしつは、騎士団本部の二階にある。
 ギルバートの執務室からは、徒歩五分。
 南の階段を下りて、長い回廊をすすんだ先にある。

 医者が常駐しており、24時間体勢で、なにかとケガの多い騎士団員のフォローにあたっている。

 趣味が高じて医師免許を取得したブラットリーも、医者のはしくれだ。
 医務室に入ると、勝手知ったるといったかんじで、薬棚を勝手にあさる。

「ギルくん、そこに座って」
「ああ」

 ブラットリーが準備したのは、ガンタイプのピアッサーだ。
 引き金をひくと、バネの力で針が飛びだし、穴が開くという単純な造りだ。

 ギルバートの右耳を検分し、開ける場所を決める。

 丹念たんねんに消毒する間も、ギルバートはされるがままだった。

 消毒液の独特な香りが、鼻をつく。
 ピアッサーで、彼の耳たぶをはさみ、ねらいをつけた。

「いくよ」

 バチン!!!

「うおっ!!?」
「あははは! ギルくん、すごい反応!!」

 いきおいあまってイスから落ちたギルバートが、右耳を押さえたまま、放心する。
 信じられないことが起こったような顔で、ブラットリーを見上げた。

「……予想の百倍、うるさかった」
「耳元だからねぇ。はい、手ぇどけてー」

 ブラットリーは患部を再度消毒し、通信術具を穴に差し込み、キャッチで止めた。

「わー、似合うー!」

 ギルバートの右耳に、アイリスクオーツの虹色が映える。
 耳の後ろ、ピアスキャッチからは、長さの違う三連のチェーンが垂れている。
 繊細なチェーンの、地金は白い。

 鏡ごしではうまく把握できずに、ギルバートはブラットリーに問う。

「これ、白銀じゃないだろうな」
「だいじょうぶ、白金プラチナだから」

 ギルバートが動くたび、チェーンが揺れて、きらめく。
 ブラットリーは、それに見惚みほれて、ため息をついた。

「想像どおりだぁ。すごくきれいだし、かわいい」
「かわっ……!?」

 ギルバートが、なんともいえない複雑そうな顔をした。
 邪魔そうに、チェーンを指ではじく。

「このかざり、必要か?」
「うん。アンテナの役割を果たしているから」

――嘘だけど。

 そう胸中でつぶやき、ブラットリーは、にっこりとわらう。

「……そうか」

 あっさり信じるギルバートに、心からの笑顔がこぼれた。

「じゃあ、あとはリオくんに――」
「ギルバート団長。ここでしたか」

 医務室の扉が開いて、話題のエリオットがあらわれた。
 タイミングの良さに、ギルバートとブラットリーは目を見合わせて、ニヤリとわらう。

「いらっしゃい、リオくーん! とっても、会いたかったぁ」
「よお、エリオット。おまえちょっとここに座れ」

 ギルバートが立ち上がり、直前まで座っていたイスを指定する。

「なにを企んでいるんですか」

 不審げなエリオットにかまわず、ブラットリーが腕をひっぱる。
 ギルバートは背後にまわり、エリオットの背中をイスの方へと押した。
 嫌な予感しかないエリオットが、足に力を入れる。

「あれ、ぜんっぜん、うごかない」
「おまえ、体幹たいかんすごいな!?」

 めずらしく結託けったくしているふたりを見て、エリオットは確信する。
 これはぜったいに、ろくなことにならない。

「詳細の説明を」

 説明を求めるが、ふたりはまったく聞き耳をもたない。

「いいから、おすわりだ!」
「座ったらぁ、手はおひざ!」

 彼らが、とてもおもしろがっていることだけは、わかった。

「……お断りします」
「おいおい、団長命令だぞ」

 そのうわついた声音に、エリオットは違和感を感じて振りかえる。
 視線でギルバートの異変を探ると、きょとんとする彼の右耳に、見慣れない飾りがあることに気付いた。
 しかも、そこからうっすらと血がにじんでいる。

「なんですかこれは!」
「いって!」

 おもわず両手で彼の顔をはさみ、右耳が見えるように首を固定する。
 
「ピアス……開けたんですか!?」
「おい、はなせ!」

 ギルバートが、抗議するように、エリオットをたたく。
 手を離したエリオットは、ブラットリーに鋭い視線をむけた。

「ブラットリー副所長」
「え、なに?」
「ブレイデンきょうに、許可は」

 低い声で問うと、ブラットリーとギルバートが、そろって首をかしげた。
 エリオットが、額にこぶしをあてて、うなる。

「なんとお詫びすれば……っ!」

 ギルバートは、ふしぎそうにエリオットの顔をのぞきこむ。

「エリオット? 何の話だ?」
「貴方は、ブレイデン公爵家の嫡男ですよ! もっと自覚をもちなさい!」
「自覚? してるしてる」
「しかも……よりによって、右耳……なぜ……」
「なぜって……これ、通信術具だぞ?」

 右耳をさして、ギルバートが告げる。

「俺とおまえで、一対いっつい。だからおとなしく、耳を差し出せ」

 つきつけられた指を手でどけて、エリオットはため息をつく。
 ギルバートの右耳をにらみながら、しばし考える。

 通信術具がどれぐらいの精度かは知らないが、職務しょくむ一環いっかんとしてならば、まだ言い訳が立つかもしれない。
 しかもさきほど、魔獣討伐の王命が、竜騎士団に下った。
 自分とギルバートは、いつも別部隊になるため、通信術具が役に立つ可能性もある。
 ブラットリーはこう見えて、高い技術力をほこる。
 いちど試してみるのも、ひとつの手か。

 そう結論づけて、あきらめてイスに座る。
 ブラットリーがピアッサー片手に、エリオットの左耳を検分しはじめた。

「リオくんは、左耳ね」
「……やっぱり。わかってやりましたね、ブラットリー副所長」
「ええー? なんのことぉ?」

 とぼけながら、エリオットの左耳を消毒する。
 ピアッサーで、耳たぶを挟み、ねらいをつけた。

「じゃ、いくよ」

 バチン!!!

「!!?」

 予想の百倍は大きな音に、エリオットは目を見開いて肩を揺らす。
 彼のめったに見ない挙動に、ギルバートとブラットリーは、腹をかかえて爆笑した。





「おまえのせいで、追い出されたじゃねーか」
「ええ? 共犯だよぉ」

 他の医者からうるさいと叱られ、三人仲良く医務室から追い出された。
  
 ギルバートは、無言でとなりを歩く、エリオットを見上げる。
 彼の左耳には、自分と同じ通信術具の、アイリスクオーツのピアスがはまっている。
 しかし、彼のキャッチは、目立たないほど小さい。

「なぜエリオットのは、アンテナが無い」
「どちらか片方で、だいじょうぶだから」

――嘘だけど。

 そう胸中でつぶやき、ブラットリーは、にっこりとわらう。
 その笑顔をうさんくさげに見やるギルバートが、不意に足を止めた。

 ちょうど回廊が二手に分かれた場所で、左に行けば、ギルバートの執務室しつむしつにたどりつく。

「ブラットリー。執務室のガラクタを、撤去しておけ」
「ガラクタじゃなくてぇ、希少金属レアメタルだよ」
「どちらでもかまわん。俺が帰るまで残っていたら、全部捨てるからな」

 ギルバートは身をひるがえし、右の通路に足をむける。

 帰還の腕輪が澄んだ音をたて、右耳の飾りとともにきらめいた。
 蜂蜜色の髪のあいだから、白金のチェーンがゆれる。
 窓からの陽射しをうける背中は、しなやかで神々しい。

 ブラットリーは、そのうつくしい生き物に目を奪われて、立ち尽くす。
 彼をいろどる術具は、すべて自分が作ったものだ。
 あらためて自覚すると、体の芯からふるえるような歓喜がわきあがってきた。
 
 悪寒にも似たゾクゾクとした感触に、鳥肌が立つ。
 血が沸騰ふっとうするように体中が熱く、脳みそが溶けてしまいそうだ。

 ギルバートの背中と、それを追うエリオットが見えなくなっても、ブラットリーはその場を動けなかった。
 ひとり通路に立ち尽くしたまま、恍惚こうこつとした表情で、熱っぽいため息を吐きだした。
 




「ギルバート団長、どちらへ?」

 執務室とは逆方向にむかう彼に、エリオットが問う。

「クソ術士のところだ。王命の遂行すいこうには、転移室の優先使用がみとめられている。先に行って、ヘビーモスだけでも倒してくる」
「おひとりで、ですか?」
「帰還の腕輪がある。いつでもここに帰ってこられる術具だ」

 腕輪のはまった右手を軽くかかげて、ギルバートはつづける。

「王命より、自分の命の方が大事に決まっている。あぶなくなったら、すぐに逃げ帰ってやるから安心しろ」
「だからといって、単身討伐を選ぶ理由にはなりません」
「ひとりのほうが都合がいい。知っているだろ。おまえは竜騎士団員から討伐隊を結成し、ダイアウルフの殲滅せんめつにあたれ」

 話は終わりだとばかりに、足早に去ろうとするギルバートの、腕をつかんで引き留めた。

「貴方はさきほど、単身討伐から帰還されたばかりです。せめて、すこしなりとも休憩を」
「必要ない」

 断言し、わずらわしげに腕をふりはらう。
 
「昼食もとっておられないのでは」
「一食ぐらい、抜いても死なん」

 歩く速度を上げるギルバートに、エリオットはあきれながら着いていく。

「またそのようなことを。騎士は、体が資本です」
「帰ったら、食べる」
「食べてから、討伐に行かれてはどうですか?」

 エリオットの言葉を、ギルバートは鼻でわらう。

「今日中に殲滅しろと厳命された。気になって、食事が喉を通らない」

 のらりくらりとかわされる。
 すでに転移室は、目と鼻の先。
 ギルバートは、こうと決めたら、曲げない頑固さがある。

 エリオットはあきらめて、ギルバートを見送ることにした。
 
「くれぐれも、ご無理なさいませんよう」
「エリオット」

 めずらしく、彼が振りかえる。
 その右耳にゆれる飾りに、一瞬気をとられ、彼の顔に視線を戻す。
 エリオットの視線をうけて、ギルバートが不敵に笑う。

「あとで連絡する」

 右耳の飾りを見せつけるように、彼が顔をかたむける。
 そうして、転移室へと入っていった。
  
 ギルバートの言動を思い返し、エリオットがおおきなため息をつく。
 あれでは、あたらしいおもちゃを与えられた子供だ。

 そのうえ彼は、疲労で判断力が落ちていることに、気づいていない。
 指摘して、意固地いこじになられるくらいなら――泳がせておいて、通信術具の精度に賭けたほうが、勝算が高い。
 早急に合流できれば、彼への危険は格段に軽減される。

 ギルバートに、単身討伐をさせる気がさらさらないエリオットは、すぐさまきびすを返し、竜舎りゅうしゃへと向かった。
 
 

 
 
 自然ゆたかな国立公園は、希少な動植物の楽園だ。
 みはらしのいい原っぱと、林と、山がある。
 けしきを楽しみながら、野生動物を観察できるので、観光客にも人気だ。

 やわらかい下草をふみしめ、アルデはあたりを見渡す。
 立入禁止令が出されているので、人の気配はない。

 しろいみきがならぶ林は、木漏れ日であふれている。
 鳥がさえずり、ここちよい風がアルデの頬をなでる。

 薬草は、湿りけをおびた地面に生える。
 アルデは、大木たいぼく根元ねもとを中心に探索する。
 
 下ばかり見ていたので、気づくのが遅れた。
 なにかの臭気を感じ、顔をあげたアルデが見たのは、巨大な牙で土を掘りかえす、牛のような魔獣だった。

 大木の幹に手をつけたまま、アルデの足は凍りつく。
 ヒッと息をのむと、悲鳴は音にならず、空気だけがのどをこすった。

 下手に動けば、気づかれるほどの距離しかなかった。
 アルデは、ガクガクとふるえる足で、ゆっくりと後退をこころみる。
 こちらを向くな、とただひたすらに願いながら。

 鼻息あらく、首をふった魔獣が、顔をあげる――アルデの願いもむなしく、目が合ってしまった。
 歪んだ牙がのぞく口で、魔獣がわらったように、アルデには見えた。

 地響きのような野太い咆哮ほうこうが、あたりに響きわたる。

 逃げだすこともできないまま、アルデは衝撃に備えて身を固くした。
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