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第四十二話 夜が長すぎます。※R18表現あり
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いやいやいやいやっ!
待て待て待て待てっ!
(どうして俺は縛られてるんだあ――――っ!)
説明しよう!
俺は今、はりつけにされた罪人のように、手首をヒモで縛られ、それぞれベッドの両端にゆるく括り付けられている。肩より下に腕を降ろすことが出来ない状態だ。ヘルプミー!
「痛くないですか?」
キュッと紐を結び終わったオスカーが、優しい口調で確認してきた。
全然痛くないです。
むしろ絶妙の縛り加減です……なんて言えるか―!
「……SだドSだと疑っていたが、やっぱりそうだったか。まさか変な道具とか使うんじゃないだろうな」
「ご期待に沿えず誠に残念ですが、俺はベッドの上ではいたって普通ですよ。ただ今回は、成長したあなたの身体を確認するという目的もあります。あなたは恥ずかしがり屋ですから、無意識に隠したがるでしょう? 俺が力を込めて抑え込むと、お身体に負担がかかります。苦渋の決断です。どうかお許しください」
「……許してたまるか。いっぺん死んでこい」
要約すると、【じっくりアレコレすんのに暴れられたら面倒だから縛らせてもらったぜ】ってことだよな?
それをドSと言わずして何という。
「お詫びといってはなんですが、今夜は最後まではしませんから」
「えっ? マジで?」
「はい。安心しましたか?」
「……不覚にも一瞬喜んじまった自分を殴りてえ。縛られて喜んでるなんて、ただの変態じゃねえか」
「黒神子様ともあろう方が、御自分を貶めてはいけませんよ」
「おまえが言うな」
会話の終わりを告げるように、オスカーがギシリとベッドをきしませた。
また男にのしかかられ、組み敷かれる体勢をとられる。反射的に押しやろうした掌は、ヒモをピンと張らせただけで、男の胸まで届くことはなかった。
「……カルス様」
腰に響く甘い低音で囁かれ、また深く唇を塞がれた。
「んっ……」
一度冷めたはずの熱は、巧みな舌の動きで簡単に掘り起されてしまう。身じろぎするたびに体温が上がり、こぼれる吐息も熱くなる。
「ふっ……う……お、すかぁ……」
吸われる舌を必死で取り返しながら、俺はなんとか男の名前を呼んだ。
生理的な涙に、また視界がぼやけてくる。
「もぉ……やだっ……やっ」
どうせ逃げられないなら、せめて早く終わらせてほしい。
本意ではないのに、下肢に熱が集まりだして、俺はいま非常に焦っている。これじゃあまるで、俺がヤル気満々みたいじゃないか。
オスカーがどこまでする気か知らないが、前戯の部分は出来れば【早送り】でお願いしたい。
「……はっ……はや……ぉく……」
「……早く奥に欲しい?」
オスカーが笑みを浮かべながら、俺の鎖骨から耳までをネロリと舐めあげた。
「――っ! 違うわバカタレ! 早く終わらせ……ひゃぅ!」
変な声でた!
自分の声とは思えない、甘ったるい声が出ちまった。不覚っ!
だって、いきなり脇腹を撫でられたら、誰だってこうなると思うんだ……っていうか、寝間着の前がいつの間にか全開になってるんだが、なんという手際の良さだ。また経験値の差を突きつけられて、男としての嫉妬心に一瞬灯がともる。
「白くて滑らかな肌ですね。……それに柔らかい。指先に吸い付くようだ」
「どうせ筋肉無いですよーだっ……ぅんっ! そんなっ…とこ、撫でるなっ!」
オスカーの大きな掌が、包み込むように胸に直に触れてきて焦る。そんな場所の刺激に慣れていない身体は戸惑うばかりだ。
「……やめっ、あっ!」
二本の指に、小さな尖りを軽くつままれた。
「このっ……やめろって! 俺にとってオッパイは触られるものじゃない! 触るものなんだ!」
「生憎ですが、あなたはこの先、ずっと触られっぱなしの人生になりますので、いまから慣れてください」
そんな、えげつない告知やめてっ!
未知の刺激が怖すぎて、とにかく懸命に上半身をよじれば、より強くつままれた。
「いっ……んっ! ひっ!」
痛みと同時に、また背筋にぞくっと得体の知れない電流が走る。
まるでそこだけ神経が剥き出しにされているようだ。硬い男の指先でコリコリと弄られるたびに、痛みだけではないジンとした痺れも伝わってきて、顔が仰け反り声も出てしまう。
「もぉ、やっ……痛い……」
「痛いですか? 確かに……少し赤くなってしまいましたね。舐めてあげます」
「ああぅっ!」
オスカーの顔が胸に寄せられ、俺の声は一際高くなった。
バカバカ! そこは舐めちゃ駄目でしょっ!
こんなの、やっぱり無理――――っ!
待て待て待て待てっ!
(どうして俺は縛られてるんだあ――――っ!)
説明しよう!
俺は今、はりつけにされた罪人のように、手首をヒモで縛られ、それぞれベッドの両端にゆるく括り付けられている。肩より下に腕を降ろすことが出来ない状態だ。ヘルプミー!
「痛くないですか?」
キュッと紐を結び終わったオスカーが、優しい口調で確認してきた。
全然痛くないです。
むしろ絶妙の縛り加減です……なんて言えるか―!
「……SだドSだと疑っていたが、やっぱりそうだったか。まさか変な道具とか使うんじゃないだろうな」
「ご期待に沿えず誠に残念ですが、俺はベッドの上ではいたって普通ですよ。ただ今回は、成長したあなたの身体を確認するという目的もあります。あなたは恥ずかしがり屋ですから、無意識に隠したがるでしょう? 俺が力を込めて抑え込むと、お身体に負担がかかります。苦渋の決断です。どうかお許しください」
「……許してたまるか。いっぺん死んでこい」
要約すると、【じっくりアレコレすんのに暴れられたら面倒だから縛らせてもらったぜ】ってことだよな?
それをドSと言わずして何という。
「お詫びといってはなんですが、今夜は最後まではしませんから」
「えっ? マジで?」
「はい。安心しましたか?」
「……不覚にも一瞬喜んじまった自分を殴りてえ。縛られて喜んでるなんて、ただの変態じゃねえか」
「黒神子様ともあろう方が、御自分を貶めてはいけませんよ」
「おまえが言うな」
会話の終わりを告げるように、オスカーがギシリとベッドをきしませた。
また男にのしかかられ、組み敷かれる体勢をとられる。反射的に押しやろうした掌は、ヒモをピンと張らせただけで、男の胸まで届くことはなかった。
「……カルス様」
腰に響く甘い低音で囁かれ、また深く唇を塞がれた。
「んっ……」
一度冷めたはずの熱は、巧みな舌の動きで簡単に掘り起されてしまう。身じろぎするたびに体温が上がり、こぼれる吐息も熱くなる。
「ふっ……う……お、すかぁ……」
吸われる舌を必死で取り返しながら、俺はなんとか男の名前を呼んだ。
生理的な涙に、また視界がぼやけてくる。
「もぉ……やだっ……やっ」
どうせ逃げられないなら、せめて早く終わらせてほしい。
本意ではないのに、下肢に熱が集まりだして、俺はいま非常に焦っている。これじゃあまるで、俺がヤル気満々みたいじゃないか。
オスカーがどこまでする気か知らないが、前戯の部分は出来れば【早送り】でお願いしたい。
「……はっ……はや……ぉく……」
「……早く奥に欲しい?」
オスカーが笑みを浮かべながら、俺の鎖骨から耳までをネロリと舐めあげた。
「――っ! 違うわバカタレ! 早く終わらせ……ひゃぅ!」
変な声でた!
自分の声とは思えない、甘ったるい声が出ちまった。不覚っ!
だって、いきなり脇腹を撫でられたら、誰だってこうなると思うんだ……っていうか、寝間着の前がいつの間にか全開になってるんだが、なんという手際の良さだ。また経験値の差を突きつけられて、男としての嫉妬心に一瞬灯がともる。
「白くて滑らかな肌ですね。……それに柔らかい。指先に吸い付くようだ」
「どうせ筋肉無いですよーだっ……ぅんっ! そんなっ…とこ、撫でるなっ!」
オスカーの大きな掌が、包み込むように胸に直に触れてきて焦る。そんな場所の刺激に慣れていない身体は戸惑うばかりだ。
「……やめっ、あっ!」
二本の指に、小さな尖りを軽くつままれた。
「このっ……やめろって! 俺にとってオッパイは触られるものじゃない! 触るものなんだ!」
「生憎ですが、あなたはこの先、ずっと触られっぱなしの人生になりますので、いまから慣れてください」
そんな、えげつない告知やめてっ!
未知の刺激が怖すぎて、とにかく懸命に上半身をよじれば、より強くつままれた。
「いっ……んっ! ひっ!」
痛みと同時に、また背筋にぞくっと得体の知れない電流が走る。
まるでそこだけ神経が剥き出しにされているようだ。硬い男の指先でコリコリと弄られるたびに、痛みだけではないジンとした痺れも伝わってきて、顔が仰け反り声も出てしまう。
「もぉ、やっ……痛い……」
「痛いですか? 確かに……少し赤くなってしまいましたね。舐めてあげます」
「ああぅっ!」
オスカーの顔が胸に寄せられ、俺の声は一際高くなった。
バカバカ! そこは舐めちゃ駄目でしょっ!
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