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捜す兄と見つかった妹(フリー台本)
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(仕事中の兄、電話が鳴る)
あ、父さん着いたの?
うん、どう?そっち
楽しくやってる?
俺も終わったら行くから
…え?
…いなくなった…って、どういうこと⁈
急にいなくなった?
その辺散策してんじゃないの?
既に1時間?
昼ごはんできたのに戻って来ない?
捜したの?中も外も⁈
くつがなくなってる…
くつないなら出かけたんだろ
…え?
カバンやスマホは置いたまま?
あー…いやぁ…
ちょっと早退できるか訊いてみるよ
(兄、コテージ到着)
父さん母さん、お待たせ
やっぱりいないの?
コテージの中も、周りも?
どこかで怪我でもしてんのかな?
あいつ無謀だからな
ちょっと先にコテージの中、俺、もう一度捜してみるよ
…いないな
部屋、風呂、トイレ、クローゼット、物置き、ベッドの下とかも…
後は外か…範囲が広すぎだな
14時前か…
(母「警察に連絡した方がいいんじゃ…」)
警察…って、小さな子供じゃないんだし
(母「でも、暗くなってからじゃ捜索もしてもらえない」)
そうだよな
暗くなったら捜索は翌日になるよな
日没まで4時間くらいか
ちょっと…いなくなった時の状況教えてくれる?
(父「3人で車で家を出て、ここに着いたのが、11時頃」)
うん、3人で11時頃にここに着いて
(父「父さんは荷物を車から運んでて、母さんは昼ごはんの用意を」)
父さんは荷物運んでて、母さんは昼ごはんの用意…あいつは?
(父「一番にコテージに入って、その後、母さんと昼ごはんの用意をしてると思ってたんだ」)
(母「母さんは父さんと荷物整理をしてると思ってたの」)
ああ、父さんは母さんといると思ってたし、母さんは父さんといると思ってたんだ
(母「でも、お昼ができて呼んでも来ないし」)
ああ、あいつが飯に来ないのはおかしいもんな
(父「そう言えば、着いた時見たっきり、2人とも姿を見てないな…って)
着いた時以来姿を見てない…って、そんな…忽然と消えるか?
散歩行って来るとかきいてないの?
(父、母「何も…」)
そんなミステリーやサスペンスみたいなことある⁈
…わかった
じゃ、父さん手分けして捜そう
俺と父さんは山ん中捜して来るから、母さんはあいつが帰って来るかも知れないからコテージにいて
15時に一旦コテージに戻ろう
その時点で、発見できなきゃ、警察に…
(母「あの子に何かあったら…」)
あの子に何かあったら…って、
母さん落ちついて
大丈夫、必ず見つけてくるから
母さん、ごめん
1人で不安だろうけど
大丈夫、必ず必ず見つけるから
じゃ、父さん行こう!
おおーい!…どこ行った⁈
どこにいる?
何があった?
何か事件にでも巻き込まれてるのか?
おおーい!
返事してくれ…返事してくれ…
どんな小さな声も聞き逃さないようにするから
頼む
どんな形でもいいから出て来てくれ…
お願いだから
おおーい!
神様
俺の大切な妹を返して下さい
俺たち家族の元に…
お願いします
無事に返して…
どうか、神様!
(電話が鳴る)
電話…母さん⁈
え⁈いた⁈
よかった…あ⁈出られない?
パニックになってる、助けてって
とにかく落ち着いて
母さん、大丈夫
大丈夫だから
ごめん、とにかくすぐ戻る
母さん!どこ⁈
(妹、ドンドン、「んーっ!んーっ!」)
何⁈
(母「階段のところ!」)
階段⁈
母さん、お待たせ
(妹、ドンドンドン、「出してーっ!出してーっ!」)
おまっ!、この中にいんの⁈
すぐ出してやる、ちょっと待ってろ
何これ?どうやって開けんの?
(母「それが…固くて開かないのよ!」)
何これ、かった!
(父、戻ってくる)
ああ、父さん!!
この中みたい
(妹「出してーっ!出してーっ!」)
引き戸だろ
動かない!
立て付けが…軋んで
(妹「怖いよーっ!早く出して!」)
今、出してやるから!
落ち着いて…
ぶち破る⁈
(父「いや、中は狭いだろうから危ないな」)
狭いから危ないか…
じゃ、力わざしかないか…
ふんっ!…んっ!…んっ!
あ!…ちょっと隙間あいたよ!
何かかませてこじ開けよう!
これは⁈
ああ!
せーの!んっ!…んーっ!!
もうちょっと!
んーっ!
…開いた!!
(妹、号泣している)
(妹を抱きしめて)
よーし、よし、よく頑張ったな
怖かったな…よし、よし…
大丈夫、もう大丈夫だから…
みんないるから
はいはい、よしよし…
(母「あ…よかった…よかった…」)
うん、よかったね、母さんも…
大丈夫?
(母「うん、私は…大丈夫…」)
とりあえず、あっちに行こう
お前、大丈夫?
立てる?
あれ?お前、くつ…
(妹「あ、くつ…」)
持って行ってやるから
(みんなでリビングのテーブルへ)
大丈夫?座れる?
横になった方がいい?
(妹「…大丈夫」)
ん、大丈夫?
(母「はい、お水」)
(妹「…ありがと」)
母さん、ありがと
母さんの方が疲れたでしょ?
座ってて
(兄、冷たく)
さて、と…
何があったのか教えてくれる?
(妹、うつむいたまま)
おばけに閉じ込められた?
(妹、力なく「…そんな」)
違うの?
じゃ、怖いおじさん?
(妹「今…何時?」)
今、15:30だね
(妹「…もうそんな時間…」)
そう、もうそんな時間だよ
お前が話さないなら
3人がここに着いてから今まで何があったか、俺が先に話そうか?
(妹「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」)
ごめんなさいって、そんなに謝ることしたの?
(妹「…」)
みんなきいてるよ
(妹「…ここに着いて、母さんお昼の用意してて、父さん荷物片付けてるから…私、コテージの中探検してて…」)
うん、コテージの中探検してたんだ、で?
(妹「そしたら…そしたら…」)
そしたら、何?
(妹「…あのスペース見つけて…」)
あのスペース見つけて?
(妹、目が泳いでる「…」)
そ.れ.で?
(妹「隠れて…びっくりさせてやろ…って」)
隠れてびっくりさせてやろうって思った訳だ
(妹「くつもなくなってれば、まさか中にいると思わないだろうし」)
くつがなかったら出て行ったって思うよな?
(妹「ある程度心配させてら出て行くつもりだったんだけど…」)
ん、ある程度心配させたら出て行くつもりだったんだ?
(妹「そしたら…寝ちゃって…」)
そしたら、寝ちゃってた…
(妹「目が覚めたら、自分で入ったの忘れて、どこにいるのかわからなくなって、真っ暗で狭いからパニックになっちゃって…」)
目が覚めたらどこにいるのかわからなくなって、暗くて狭くてパニック…か
入り口は開かないし、な
(妹「ん…ごめんなさい」)
ごめんなさい、って
ごめんなさいじゃ、済まないよな
こんなに心配させて、捜し回らせて、警察通報寸前だぞ!
(妹「…こんなことになると思わなくって…」)
こんなことになると思わなかっただぁ⁈
こっちは、どこかでけがしてるんじゃないか、事件に巻き込まれてるんじゃないか、死んでたらどうしよう、って…ろくなこと考えなかったよ!
(父「まぁ、眠ってしまったもん、仕方ないだろ」)
父さん!
眠ってしまったもん、仕方ないって、こいつ夕べ何時まで起きてたと思う⁈
俺、お前に旅行行くから早く寝ろって言ったよな?
それなのに、俺が夜中にトイレ行った時、まだソファでゲームしてたろ?
(妹「…」)
寝たの何時⁈
(妹「3時…くらい…」)
ったく、お前はぁ…
(妹「…ごめんなさい」)
ごめんなさいって、一発殴ってやりたいくらいだよ!
(父「おい!」)
大丈夫だよ、父さん、殴らないよ
もう!父さんが叱りなよ
(父「いやぁ、お前がそんなに怒ってたら出番ないだろ」)
怒ってるよ
そりゃあ、怒るだろ!
あーあ!
怒りの持って行き場がないよ
(父「まぁまぁ、もういいだろ…反省してるみたいだし」)
反省してる、か…
確かに、いつもなら言い訳しまくるあいつが素直を謝ってるけど
(母「でも無事でよかったわ、
みんなお昼食べてないもんね、ほっとしたらお腹空いてきちゃったね。中途半端な時間だから、早めの夕食にしようね」)
ああ、お昼…ホントだよ
昼飯どころじゃなかったよ
今の今まで腹減ってるのも忘れてたよ
ありがと、母さん
お前も手伝ってこい
(妹「…はい」)
(母と妹キッチンへ)
あーあ
何でだろ…
あいつが目の前にいると際限なく怒鳴ってしまう
(父「本当は無事に帰ってきて嬉しいくせに、な」)
そうだね、父さん
ホントだよ
ホントに…無事に帰って来て…
無事に帰って来てくれて…
…よかったよ
このままいなくなったら…俺、どうしようかと思ってた
(父「そりゃ、みんなそうだよ」)
そう、みんなそうだよね…何より大事な家族なんだから
(父「もう、あんまり怒ってやんなよ…だいぶこたえてるみたいだし」)
だいぶこたえてるみたい、か…
確かに、ね
あいつが座ってやっと居られるくらいのスペースで
あんなところで目覚ましたら
すごい恐怖だったろうね…
…はいはい、もう怒りませんよ
俺もここでゆっくりすんの楽しみにしてたんだし
(妹「…お待たせ、あの…ご飯できたよ」)
ああ、すぐ行くよ
おい
…もう怒ってないから
楽しくめし食うぞ
めしは楽しく食べなきゃ、な
(夕食後)
父さん
あいつやっぱり元気ないな
そうだな…
おーい
花火すっぞ
(妹「…」)
きこえた?
花火するんだろ?
(妹「…やっていいの⁈」)
やっていいの?って
やるために買ったんだろ?
(妹「兄…もう怒ってない?」
もう、怒ってないって言ったろ?
はい、反省はもう終わり!
父さんも母さんも外で待ってるぞ
おいで
(コテージの外、4人で手持ち花火をしている)
母さん、火ちょうだい
いいねぇ、夏だねぇ
(妹「あ、終わっちゃった」)
次の、俺のでつけろよ
あ、ほら、早くつけないと終わっちゃうよ…
…ああ、終わっちゃったじゃん
お前、へたくそか?
父さんにつけてもらいな
(妹「うん、父さんつけて」)
うわっ、あぶっねー
俺の方向いてる、向いてる
そっち向けろよ
(妹「あ、これ、キレイ」)
ああ、キレイだな
え?あれ?…
…何⁈お前、泣いてる?
煙が目に入っちゃった⁈
風下にいるからだろ
もっとこっち来いよ
大丈夫か?
目、痛いの?
(妹「…違う」)
え?違う⁈
じゃ、火が当たった?
首を横に振ってるだけじゃ、わかんないだろ
どこ?
どこが痛い?
泣いてるだけじゃわかんないよ
ちょっと俺に見せてみろって
おい…
おい…って…
あ、父さん着いたの?
うん、どう?そっち
楽しくやってる?
俺も終わったら行くから
…え?
…いなくなった…って、どういうこと⁈
急にいなくなった?
その辺散策してんじゃないの?
既に1時間?
昼ごはんできたのに戻って来ない?
捜したの?中も外も⁈
くつがなくなってる…
くつないなら出かけたんだろ
…え?
カバンやスマホは置いたまま?
あー…いやぁ…
ちょっと早退できるか訊いてみるよ
(兄、コテージ到着)
父さん母さん、お待たせ
やっぱりいないの?
コテージの中も、周りも?
どこかで怪我でもしてんのかな?
あいつ無謀だからな
ちょっと先にコテージの中、俺、もう一度捜してみるよ
…いないな
部屋、風呂、トイレ、クローゼット、物置き、ベッドの下とかも…
後は外か…範囲が広すぎだな
14時前か…
(母「警察に連絡した方がいいんじゃ…」)
警察…って、小さな子供じゃないんだし
(母「でも、暗くなってからじゃ捜索もしてもらえない」)
そうだよな
暗くなったら捜索は翌日になるよな
日没まで4時間くらいか
ちょっと…いなくなった時の状況教えてくれる?
(父「3人で車で家を出て、ここに着いたのが、11時頃」)
うん、3人で11時頃にここに着いて
(父「父さんは荷物を車から運んでて、母さんは昼ごはんの用意を」)
父さんは荷物運んでて、母さんは昼ごはんの用意…あいつは?
(父「一番にコテージに入って、その後、母さんと昼ごはんの用意をしてると思ってたんだ」)
(母「母さんは父さんと荷物整理をしてると思ってたの」)
ああ、父さんは母さんといると思ってたし、母さんは父さんといると思ってたんだ
(母「でも、お昼ができて呼んでも来ないし」)
ああ、あいつが飯に来ないのはおかしいもんな
(父「そう言えば、着いた時見たっきり、2人とも姿を見てないな…って)
着いた時以来姿を見てない…って、そんな…忽然と消えるか?
散歩行って来るとかきいてないの?
(父、母「何も…」)
そんなミステリーやサスペンスみたいなことある⁈
…わかった
じゃ、父さん手分けして捜そう
俺と父さんは山ん中捜して来るから、母さんはあいつが帰って来るかも知れないからコテージにいて
15時に一旦コテージに戻ろう
その時点で、発見できなきゃ、警察に…
(母「あの子に何かあったら…」)
あの子に何かあったら…って、
母さん落ちついて
大丈夫、必ず見つけてくるから
母さん、ごめん
1人で不安だろうけど
大丈夫、必ず必ず見つけるから
じゃ、父さん行こう!
おおーい!…どこ行った⁈
どこにいる?
何があった?
何か事件にでも巻き込まれてるのか?
おおーい!
返事してくれ…返事してくれ…
どんな小さな声も聞き逃さないようにするから
頼む
どんな形でもいいから出て来てくれ…
お願いだから
おおーい!
神様
俺の大切な妹を返して下さい
俺たち家族の元に…
お願いします
無事に返して…
どうか、神様!
(電話が鳴る)
電話…母さん⁈
え⁈いた⁈
よかった…あ⁈出られない?
パニックになってる、助けてって
とにかく落ち着いて
母さん、大丈夫
大丈夫だから
ごめん、とにかくすぐ戻る
母さん!どこ⁈
(妹、ドンドン、「んーっ!んーっ!」)
何⁈
(母「階段のところ!」)
階段⁈
母さん、お待たせ
(妹、ドンドンドン、「出してーっ!出してーっ!」)
おまっ!、この中にいんの⁈
すぐ出してやる、ちょっと待ってろ
何これ?どうやって開けんの?
(母「それが…固くて開かないのよ!」)
何これ、かった!
(父、戻ってくる)
ああ、父さん!!
この中みたい
(妹「出してーっ!出してーっ!」)
引き戸だろ
動かない!
立て付けが…軋んで
(妹「怖いよーっ!早く出して!」)
今、出してやるから!
落ち着いて…
ぶち破る⁈
(父「いや、中は狭いだろうから危ないな」)
狭いから危ないか…
じゃ、力わざしかないか…
ふんっ!…んっ!…んっ!
あ!…ちょっと隙間あいたよ!
何かかませてこじ開けよう!
これは⁈
ああ!
せーの!んっ!…んーっ!!
もうちょっと!
んーっ!
…開いた!!
(妹、号泣している)
(妹を抱きしめて)
よーし、よし、よく頑張ったな
怖かったな…よし、よし…
大丈夫、もう大丈夫だから…
みんないるから
はいはい、よしよし…
(母「あ…よかった…よかった…」)
うん、よかったね、母さんも…
大丈夫?
(母「うん、私は…大丈夫…」)
とりあえず、あっちに行こう
お前、大丈夫?
立てる?
あれ?お前、くつ…
(妹「あ、くつ…」)
持って行ってやるから
(みんなでリビングのテーブルへ)
大丈夫?座れる?
横になった方がいい?
(妹「…大丈夫」)
ん、大丈夫?
(母「はい、お水」)
(妹「…ありがと」)
母さん、ありがと
母さんの方が疲れたでしょ?
座ってて
(兄、冷たく)
さて、と…
何があったのか教えてくれる?
(妹、うつむいたまま)
おばけに閉じ込められた?
(妹、力なく「…そんな」)
違うの?
じゃ、怖いおじさん?
(妹「今…何時?」)
今、15:30だね
(妹「…もうそんな時間…」)
そう、もうそんな時間だよ
お前が話さないなら
3人がここに着いてから今まで何があったか、俺が先に話そうか?
(妹「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」)
ごめんなさいって、そんなに謝ることしたの?
(妹「…」)
みんなきいてるよ
(妹「…ここに着いて、母さんお昼の用意してて、父さん荷物片付けてるから…私、コテージの中探検してて…」)
うん、コテージの中探検してたんだ、で?
(妹「そしたら…そしたら…」)
そしたら、何?
(妹「…あのスペース見つけて…」)
あのスペース見つけて?
(妹、目が泳いでる「…」)
そ.れ.で?
(妹「隠れて…びっくりさせてやろ…って」)
隠れてびっくりさせてやろうって思った訳だ
(妹「くつもなくなってれば、まさか中にいると思わないだろうし」)
くつがなかったら出て行ったって思うよな?
(妹「ある程度心配させてら出て行くつもりだったんだけど…」)
ん、ある程度心配させたら出て行くつもりだったんだ?
(妹「そしたら…寝ちゃって…」)
そしたら、寝ちゃってた…
(妹「目が覚めたら、自分で入ったの忘れて、どこにいるのかわからなくなって、真っ暗で狭いからパニックになっちゃって…」)
目が覚めたらどこにいるのかわからなくなって、暗くて狭くてパニック…か
入り口は開かないし、な
(妹「ん…ごめんなさい」)
ごめんなさい、って
ごめんなさいじゃ、済まないよな
こんなに心配させて、捜し回らせて、警察通報寸前だぞ!
(妹「…こんなことになると思わなくって…」)
こんなことになると思わなかっただぁ⁈
こっちは、どこかでけがしてるんじゃないか、事件に巻き込まれてるんじゃないか、死んでたらどうしよう、って…ろくなこと考えなかったよ!
(父「まぁ、眠ってしまったもん、仕方ないだろ」)
父さん!
眠ってしまったもん、仕方ないって、こいつ夕べ何時まで起きてたと思う⁈
俺、お前に旅行行くから早く寝ろって言ったよな?
それなのに、俺が夜中にトイレ行った時、まだソファでゲームしてたろ?
(妹「…」)
寝たの何時⁈
(妹「3時…くらい…」)
ったく、お前はぁ…
(妹「…ごめんなさい」)
ごめんなさいって、一発殴ってやりたいくらいだよ!
(父「おい!」)
大丈夫だよ、父さん、殴らないよ
もう!父さんが叱りなよ
(父「いやぁ、お前がそんなに怒ってたら出番ないだろ」)
怒ってるよ
そりゃあ、怒るだろ!
あーあ!
怒りの持って行き場がないよ
(父「まぁまぁ、もういいだろ…反省してるみたいだし」)
反省してる、か…
確かに、いつもなら言い訳しまくるあいつが素直を謝ってるけど
(母「でも無事でよかったわ、
みんなお昼食べてないもんね、ほっとしたらお腹空いてきちゃったね。中途半端な時間だから、早めの夕食にしようね」)
ああ、お昼…ホントだよ
昼飯どころじゃなかったよ
今の今まで腹減ってるのも忘れてたよ
ありがと、母さん
お前も手伝ってこい
(妹「…はい」)
(母と妹キッチンへ)
あーあ
何でだろ…
あいつが目の前にいると際限なく怒鳴ってしまう
(父「本当は無事に帰ってきて嬉しいくせに、な」)
そうだね、父さん
ホントだよ
ホントに…無事に帰って来て…
無事に帰って来てくれて…
…よかったよ
このままいなくなったら…俺、どうしようかと思ってた
(父「そりゃ、みんなそうだよ」)
そう、みんなそうだよね…何より大事な家族なんだから
(父「もう、あんまり怒ってやんなよ…だいぶこたえてるみたいだし」)
だいぶこたえてるみたい、か…
確かに、ね
あいつが座ってやっと居られるくらいのスペースで
あんなところで目覚ましたら
すごい恐怖だったろうね…
…はいはい、もう怒りませんよ
俺もここでゆっくりすんの楽しみにしてたんだし
(妹「…お待たせ、あの…ご飯できたよ」)
ああ、すぐ行くよ
おい
…もう怒ってないから
楽しくめし食うぞ
めしは楽しく食べなきゃ、な
(夕食後)
父さん
あいつやっぱり元気ないな
そうだな…
おーい
花火すっぞ
(妹「…」)
きこえた?
花火するんだろ?
(妹「…やっていいの⁈」)
やっていいの?って
やるために買ったんだろ?
(妹「兄…もう怒ってない?」
もう、怒ってないって言ったろ?
はい、反省はもう終わり!
父さんも母さんも外で待ってるぞ
おいで
(コテージの外、4人で手持ち花火をしている)
母さん、火ちょうだい
いいねぇ、夏だねぇ
(妹「あ、終わっちゃった」)
次の、俺のでつけろよ
あ、ほら、早くつけないと終わっちゃうよ…
…ああ、終わっちゃったじゃん
お前、へたくそか?
父さんにつけてもらいな
(妹「うん、父さんつけて」)
うわっ、あぶっねー
俺の方向いてる、向いてる
そっち向けろよ
(妹「あ、これ、キレイ」)
ああ、キレイだな
え?あれ?…
…何⁈お前、泣いてる?
煙が目に入っちゃった⁈
風下にいるからだろ
もっとこっち来いよ
大丈夫か?
目、痛いの?
(妹「…違う」)
え?違う⁈
じゃ、火が当たった?
首を横に振ってるだけじゃ、わかんないだろ
どこ?
どこが痛い?
泣いてるだけじゃわかんないよ
ちょっと俺に見せてみろって
おい…
おい…って…
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