俺は兄弟に愛されすぎている…

日高 アンズ

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2ー6(冬空目線)

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 僕の名前は、白壁  冬空。
四季をここに閉じ込めてから今日で3日。
朝日が差し込む中ただいま僕は、横で眠っているこの世で一番愛おしい人を見つめている。
黒い前髪を目が隠れるくらいまで伸ばし、キョロっとした三白眼がとても可愛い僕の天使。
白壁  四季だ。

僕もよく、天使なんて呼ばれたりするけど僕なんかより全然可愛い。
その可愛さと言ったら、一生誰の目にも止まらない場所に監禁して、僕のことだけをずっと考えられるようになるまで沢山愛しちゃうくらいだ。

そして僕はチラッと、反対側に目を向けた。
そこには、寄り添うようにしてベッタリとくっついている害虫………いや間違えた。
白壁夏来がすぅすぅと寝息を立てている。

たまたま運良く四季を見つけられただけなのに、独り占めしようとする害虫だ。
まぁ、気持ちは分からなくもない。
多分僕がみつけていたら、絶対こいつら(兄弟)には言わなかっただろう。
夏来はしっかり和春に連絡しただけでも偉い。

そう思っていると、夏来の目がうっすら開いた。
そして
「はあぁ~。あれっ?冬空早いねおはよぅ。」
と目を擦りながら言ってきた。

それに僕は
「なっちゃんこそ。まだ4時半だよー。今日仕事早いの?」
といつものキュルキュルとした話口調に切り替える。
四季に好かれるためにいついかなる時も、たとえ兄弟であっても僕のイメージを崩してはならないのだ。

「うん。今日は、6時から仕事があるからもう少ししたら出ないと。」
「そっかー。」

早く出ていけ!!そうすれば、四季とイチャイチャする時間が増える。
そう思いながらも笑顔の反面、夏来を睨みながらそう答えると
「あははっ。そんな怖い顔しないで。もう出てってあげるから。」

なっ!?
僕の完璧な笑顔が見破られるとは…。
夏来は、俺のこの完璧な笑顔を見破ることができる数少ない人の一人だ。
こいつのこういう透かしたところが僕はホントに気に食わない。

「なんでそんな事わかるの?」
僕の問いかけに
「そりゃ家族なんだからわかるよ。
笑顔だけど全く目が笑ってなかったからね。」
と夏来は長いまつ毛を伏せながらこういった。
家族ならわかる‥‥か。
もしかしたら四季も僕の本性を知っているのだろうか。
ボーゼンとしている僕をよそに

夏来は
「あっ。もうそろそろ行かなきゃ。
シーくんが起きる所を見れなかったのは残念だけど昨日沢山イチャイチャしたから満足満足。
   そういえば、もうすぐ和春帰ってくるだろうから、よろしくね。」
と言ってベットを降り、寝ている四季に軽くキスをして、正面のドアから出ていった。

僕は、夏来が出ていったのを見届けるとキスされた四季の唇を拭いて、その上に僕の唇を落とした。
そして、四季をぎゅっと抱きしめて
「やっぱりあいつはいけ好かない。」
そうボソッと呟いた。


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