超次元時空戰國艦隊

斉藤美琴【♂】

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最終章

登場兵器 特殊特別編のみだけ……❷

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(2章開幕です!短めですが……)


 隆人はティナの案内で長いこと過ごしてきた迷宮から遂に出ることに成功する。そしてその先に広がっていたのはまさに大都市といえるものであった。


「うわ、すごいなこれは……」
「どうですかリュート様、これが迷宮都市です」


 迷宮都市ディアラ、それはグランザム連合王国に位置する都市であり、その地下に広がる迷宮によって栄えている。 
 その迷宮ーー大迷宮ディアラはその世界でも最大規模の迷宮でありその底は見えず、一説には世界の果てに続いているのではないかとも言われる程の魔境である。


 その一方で今なお数多くの冒険者達にとっての憧れの場であり毎日多くの冒険者が迷宮にもぐる。
 そしてその冒険者を相手にする商店や宿ができ、それが村になりやがて街になった。


 現在その規模は王国の都市でも最大クラスにまでなっており、迷宮を中心とした半径2キロの円状の都市に数万人がひしめきあっている。


 ちなみに、世界には他にもいくつか迷宮都市があるが、その全てが元となった迷宮の名称をそのまま都市の名称としている。


「予想以上に大きいね、これは驚いたな」
「迷宮から見て北が貴族区、東が商業区、南側の一部が行政区で、南側の残りと西側が住居区になっているんですよ」


 この都市に始めてきた隆人に、ある意味先輩と言えるティナが迷宮都市の構造を教えてくれる。


 ちなみに、今更だがこの世界には貴族が存在する。この王国にいるのは官僚として政治的な立場を持つ法衣貴族と、自分達の領地を持ちそこを管理している領地貴族の二種類が存在する。と、この辺の話はおいおい出てくるとして、この迷宮都市も貴族の領地である。
 そしてこの規模の都市をまかされる程の貴族となると派閥を持っており、その派閥内の貴族達の別邸と呼べるものがあるのが、先の貴族区なのである。
 街の北側にあるが基本的に一般市民はほとんど近づかない場所でもある。


「先ずはギルド……冒険者ギルドに行きましょう!私の帰還報告とリュート様もこの都市に滞在するのであれば登録しておいた方がいいですし」
「そうだね、しばらくはここを拠点にするだろうし身分がないのは色々不便そうだ」
「冒険者ギルドはすぐそこにあります、場所としては商業区になりますね」


 一応冒険者ギルドは政府とは独立した組織であり、街の商業区に存在することが多い。


 迷宮の出口から商業区の方面に進むこと数分、隆人達は冒険者ギルドに着いた。周辺と比べて一際大きな建物で横には厩舎のようなものもある。
 ティナは慣れた足取りでギルドの中に入っていき、隆人もそれに着いていくようにギルドに入った。


「広いね、そして……うぅん……」
「どうしたのですか?リュート様」
「いや、テンプレだなって思ってね」
「てんぷれ?何のことでしょう?」
「……なんでもないよ」


 冒険者ギルドの中は一言で言えば「予想通り」であった。入って右側に受付のようなところが何列かあり、そこに何人かの冒険者が列を作っている。そして左側は酒場のようになっていた。アルコールが入った冒険者達が騒いでいる。
 まさにテンプレ、小説やゲームの中にある冒険者ギルドのイメージそのものだった。


「ではリュート様、受付の列に並びましょうか。冒険者登録は受付で申請すればできますよ」
「ありがとう、助かるよ。にしてもなんか騒がしくないか?」


 たしかに、ギルドの中の様子は忙しないといったものである。職員達もあたふたと動き回っているし、冒険者達も忙しそうに準備している。


「ねぇ君、何かあったのかい?」
「なんだお前知らないのか?下層にAランクの魔物が出たらしい!さっき下層探索中のパーティが一つ壊滅状況で帰ってきて、ギルドに着くなり大声で報告してきたんだよ。今緊急の討伐隊の招集やらなんやらでギルドは大騒ぎさ」


 隆人はその場にいた冒険者1人に話を聞く。それによると迷宮で問題が起き、ギルドはその対処に追われているということらしい。
 そして隆人達にとってこの話は聞き覚えなんてものではない。「下層」「Aランクの魔物」という単語で大体の予想がついた。


「ねぇ、そのAランクの魔物ってもしかしてサイクロプスじゃない?」
「なんだ知ってるじゃないか、そうだよ35階層にサイクロプスが出たんだ、DかCランクまでしかいないはずの下層でAランクなんて前代未聞の大事件だよ!」
「…………リュート様」
「うん、多分……ね」


 そこまで聞いて隆人達は納得した。ここで騒ぎになっているAランクの魔物は十中八九アイツサイクロプスだろう。


「これは、思った以上に大騒ぎになっちゃったんですね……。早く報告しないと手遅れになりそうです」
「俺の冒険者登録は後回しだね」


 早くサイクロプスの討伐報告をしないとと受付に並ぶーーわけもなく、緊急用にすぐ横に準備されている別受付の方に向かう。


「すいません!緊急の報告なんですけど!」
「……どうしました?」


 ティナの声にギルドの中から人が出てくる。ティナがサイクロプスの討伐についての報告をする。


「ーーというわけで、サイクロプスについては討伐完了しました」
「わかりました。一応確認は必要ですが警戒レベルは下げても良さそうですね」


 とりあえず一通りの説明を終え、ひと段落と思ったところで……


「ティナちゃん!無事だったんだね!」


 そんな声と共に男4人組のパーティが近づいてくる。
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