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第三章 怪奇、幽霊学習塾! 退魔剣客ふたたび
第15話 手紙
しおりを挟む久美子が自宅マンションに帰宅したのは遅い時刻だった。ポストに一通の郵便物が入っていた。
(兄さん……)
差出人の名前を見た。従兄からである。部屋に入り、灯りとストーブをつけると、久美子は封を開けた。
“親愛なる久美子へ。最近、調子はどうですか?僕は元気です。"
楷書で書かれた達筆な文字である。久美子に字を教えたのは書道の有段者である彼だった。頭脳明晰な上、スポーツマンでもある。万能な男だ。
“東京は寒いですが、鹿児島はどうだい?風邪なんかひいてないだろうね?"
(ええ、大丈夫よ、兄さん……)
“なんて書いている僕のほうが風邪で二日、寝込みました。"
(ダメよ……健康には気をつけないと……)
心の中で手紙と会話する久美子。電話でやりとりをしたのは、いつが最後だったろうか?
“なかなか会うことが出来ませんが、さぞ綺麗になっていることでしょう。よかったら写真でも送ってください。"
(そうよ、私、綺麗になったわ。でも、写真をどうするの?また、私をオナペットにしてくれる?)
幼い頃の久美子の下着をかぶり、自慰をしていた彼の姿は、いまだに目に焼きついている……
従兄は大学時代、長期休暇を利用して、よく久美子の実家を訪れた。まだ小学生だった彼女が従兄に誘われるまま、共に風呂に入り、夜は一緒のベッドで寝ることを周囲が咎めることはなかった。久美子はまだ幼く、仲の良い従兄妹同士に見えたのだ。
“頭を洗ってあげるよ"
風呂場で、そう言われるたびに、背を向けた。体を密着させてきた従兄の一物はいつも逞しく勃起していた。毎回、尻にそれを押しつけられたが、無力な久美子は抵抗出来なかった。いや、本当に出来なかったのか?
“久美子の髪は綺麗だね"
言いながら、頭を流してくれた。
“目を開けていいよ"
言われたとおりにした。振り返って盗み見た従兄の性器は元の大きさに戻っていた。
“男の人のあそこって、こんなに都合よく大きくなったり小さくなったりするものなのかしら?"
幼い久美子は不思議に思った。つい数秒前までは硬く、そして高熱を発していたはずである。自慰のときと同じく……
“キスをしてくれたら、また、来年もここに来るよ"
いっしょに寝ながら、ベッドで毎晩言われた。久美子は言われたとおりに従兄の頬に口づけた。逆らったことはなかった。
当時は幼く、そして無力だった。だからなのだろう。従兄の狂気に反抗出来なかったのだ。久美子は、そう思っていた。だが、本当に出来なかったのか?“しなかった"だけではないのか?自身の奥底に潜む淫乱な性が、そうさせているだけではなかったか。
従兄に背を向け、眠っていると身体をまさぐられた。されるがままになっていた。もし、抵抗したら二度と来てくれなくなるだろう。気まずくなるのは避けたかった。
“ハァ……ハァ……"
耳元で荒い鼻息がする。彼は体を密着させ、幼い久美子を散々に触った。
“熱い……"
そう。なにかが燃えるように熱かった。今、自分の腿のあたりに押し付けられている一物なのか?それとも、自身の身体が放熱しているのか?不思議なほどに嫌な感じはしない。
“兄さん……なぜ、こんなことをするの?私、お嫁にいけなくなりますわ"
その質問を喉の奥に流し込んだ。もし、そうなったら責任をとってもらえるかもしれない。
従兄の手は、主に久美子の胸を好んだ。今とは違い、当時は膨らんでなどいなかった。そこをパジャマの上から触られた。目を覚まされたらいけないと思っていたのだろう。軽く、優しい手つきだった。だが、それでも少女の感性を存分に刺激した。
やがて、パジャマの中に手が入ってきた。中はキャミソールタイプの下着一枚である。従兄の手は暖かい。少しだけ汗ばんでいたのかもしれない。
久美子は極力、息を止めていた。呼吸が乱れれば、起きていることに気づかれるかもしれない。だが、昂ぶる心臓の鼓動だけはどうにも止められない。直に胸を触られたら、興奮していることがバレる。
“お願い、神様……私の鼓動を止めてください……"
久美子は、信心の対象である神に祈った。
(夢……?)
ソファーに座ったままの格好で目が覚めた。少しだけ、うとうととしていたようである。久美子は時計を見た。夢を見ていた時間は、ほんの五分ほどだった。
まだ、着替えていなかった。白いブラウス。塾講師のスタイルのままである。履いているストレートのパンツの腿の上に、従兄からの手紙が乗っていた。
部屋は暖まっていた。ストーブのつまみを回し、火力を調節する。シャワーを浴びなければならないが、すぐに、その気力がわかない。久美子は手に口を当て、欠伸をした。
姿見の前に立った。鏡の世界に映る自分の顔は聖女の如く美しい。いまだ服を着ている身体も、また同様に……
いつもの“儀式”が始まった。久美子は鏡を見ながらストレートのパンツを脱ぎ、傍らに投げ捨てた。ブラウスの裾からのぞく形の良い太腿は彫刻のように白く、輝いている。
(フフッ、兄さん……裸シャツの写真なんて送ったら、喜ぶかしら?あのときみたいに私で、いやらしいことをする?)
パンティを隠す罪作りなブラウスのボタンに手をかけた。ちらりとブラジャーが露出する。今日はネイビーブルーだった。
(見て……)
下着を残し、すべてを脱いだ。濃い青が白い身体を彩っている。肩紐から縁まわりまでは濃紺色と言ってよい。パンティの色も揃えている。
(兄さんの想像どおりよ……私、綺麗になったわ)
自分のいやらしい下着姿を晒すと、疲れた心身を充足させることができる。街で男共の好色な視線を感じることも大好きだ。どこか硬質の美貌には清楚さと色香が共存している。
頭の後ろで手を組んでみた。脱毛を済ませた白い腋からは雌の匂いが発散している。それが部屋の中に充満していることを彼女は気づいているのか?
(腋毛、そのままにしていても、セクシーだったかしら?)
元々、そこは黒々と濃く繁っていた。そういうのを好む男もいると聞いている。従兄はどっちだろうか?
(セックス、したい?)
誰に訊ねたのか。そして、彼女は誰のものにもならない。美しい女神のような退魔士は、散々にフェロモンをふりまくだけで、特定の恋人を作ることはないのである。
久美子は姿見の前に立ったまま、青いパンティの中に手を入れた。
(兄さん……私、ひとりでする姿も綺麗なのよ……)
いじりはじめた。鏡の中の久美子も、それに倣う。次第に押しよせてくる快感がたまらない。
「あぁ……」
美しい唇から喘ぎ声が漏れた。目の前に立つ鏡像が淫乱な表情で感じている。自分も同じ顔をしている、はずである。
「いい……気持ちいいわ、兄さん……」
青い下着に包まれた白い身体が次第に紅潮していくような気がした。快楽の縁にたどり着くまで、さほどの時間はかからなかった。
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