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第二章 大隅秘湯、夜這い旅? 人気ゴルファーの謎

第8話 夜這いと黒下着

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 和美たちが予約していた宿は、元々は老舗の旅館であった。経営者が代わったとき、リーズナブルな値段で宿泊できる安宿として改築されたものである。看板に“ビジネス温泉旅館"と書かれていた。 


 表の駐車場に車を停め、全員が降りた。 


「うーん」 


 長旅から解放された和美が、伸びをした。ただでさえ巨大な胸がさらに強調される。着ているタートルネックが、きついきついと不満を漏らしそうだ。 


(こういうとき、“申し訳ありません。大変混雑している上に当館の手違いで、部屋がひとつしか空いておりませんでして。ですからみなさん同じ部屋で寝泊まりしていただきたいのですが"なんて展開が待ち受けていたりするもんよね。隼人くんと同じ部屋とかになっちゃったら、わたし、もう、辛抱不可能よ) 


 彼女は、傍らに立つ美しい少年をいやらしい目で見た。期待して歩き出す。 


「実は……」 


 受付で、従業員の女が口ごもった。和美の期待通りになるのか。 


「本日はガラガラでございまして、皆様以外のお客様はいらっしゃいません」 


 和美がコケた。 


「どうしたの?和美さん」 


 狙われている隼人が無垢な顔で訊ねた。思わずなめ回したくなるような美貌である。艷やかな肌が、新雪の如く白い。 


「い、いいえいいえ、なんでもないのよ」 


 気をとりなおした和美が、宿帳にサインをする。考えてみれば、旅行シーズンではない。駐車場には、他に車もなかった。 


 あまりにも空いていたので、二部屋分の料金で三部屋借りられた。旅館側のサービスである。中は和室で古いが、そこそこ広い。玄関がふすまで仕切られており、障子を開けると外が見える。意外と風情のある庭は、老舗を気取っていたころの名残か。ししおどしが、かっぽーんと鳴った。 


「料理は朝晩二食でございます。あと、温泉は現在、男湯が改装工事中でございまして、女湯のみが使えます。男性のお客様はいらっしゃいませんので、ゆっくりおつかりくださいませ」 


 女将らしき女が、三ツ指ついて言った。またも、ししおどしが鳴った。かっぽーん。 


(混……浴……ッ!) 


 和美は思った。どうやら、ここの従業員は隼人のことを女の子だと思っているのだろう。いや、小学生なのだから、女湯に入っても、さほどの問題は生じない。 


(ということは……隼人くんと、ふたりっきりで入れるチャンスだわ) 


 こぶしを握った。ガッツポーズにも似ている。 


「どうしたの和美ちゃん?さっきから変だよ」 


 と、敏子が訊いた。 


「トシちゃん、今日の予定は?」 


 和美は答えず、逆に聞き返した。 


「とりあえず、明日、猪熊ゴルフスクールに行こうか。“組織"には、明日から調査開始と言ってあるし」 


 と、敏子。一行のリーダーは、彼女である。和美は従う立場だ。 


「わかったわ。今日は旅の疲れをとって、明日への性器……いや、鋭気を養いましょう」 


 和美は真面目な顔をして言った。内心は不真面目である。 





 その日の晩飯は、魚尽くしであった。ここO町は漁獲が盛んで、良い魚が手に入る。全員に一部屋割り当てられていたが、食事はいっしょにとろうということで、敏子の部屋に集まった。テーブルの上には、前菜のサラダのほか、次々と出される刺し身盛り、蓋物、天麩羅、焼き魚、茶碗蒸し等々。安宿で、これだけ出るとは想定外である。 


「美味しいね」 


 隼人は楽しそうである。少し、顔が赤い。いつもと違う生活環境に、テンションが上がっているのか。 


「そうだね」 


 敏子は満足そうである。小さな体にたくさんの栄養をつけて、明日から頑張ろうと誓った。 


 和美は魚肉の春巻きを食べた。ジューシーな肉汁が口の中にほとばしる。美味いが、熱い。 


(名案!) 


 彼女は思った。 


(男は、女がこういう棒形の物を食べるシーンを見ると、いやらしい行為を連想して欲情するって週刊誌に書いてあったわ。ならばッ……) 


 和美は、春巻きを咥えながら静止した。隼人が、こっちを見てくれるまで待った。 


 見てくれなかった。和美は、口の中をやけどした。 


「あちち……」 

「どうしたの?和美ちゃん」 


 と、敏子。 


「なんでもないわ……」 


 そう答えた。少し、寂しかった。 


 締めのだし茶漬けが、これまた美味い。漬けにした刺身がご飯の上に乗っており、それにだし汁をかけたものである。三つ葉の風味が爽やかなアクセントをもたらしている。 


「隼人くん、明日はついてくるだけでいいからね。無理はしなくていいんだよ」 


 敏子が言った。彼女も、隼人のことが気に入ったようである。 


「うん」 


 そう答えた隼人の白い顔は、まだほんのりと染まっている。可愛いお姉さんたちに囲まれて、照れているのか。食欲がないらしく、半分ほど残していた。 


(あまり食べないのね。だから痩せぎすなのかしら) 


 和美は思った。残すともったいないので、敏子とふたりで手伝うことにした。 


(こんなに食べて太ったらどうしよ?) 


 敏子は思った。だが、心配無用。ロリータ要員として確固たる地位を築きつつある彼女に肉が付くことはない。いくら食べても、胸が大きくなることなどないのである。 





 食後、和美と敏子は温泉につかった。隼人も誘ったのだが、疲れているので、先に寝ると言い、自室に戻っていた。少年の華奢な体に長旅は酷だったのかもしれない。 


「時は来た……!」 


 風呂からあがり、バスタオルで体を拭いた和美が言った。白く、そして、肉感的な全裸である。Gカップバストが燃える決意をあらわすかの如く、ブルン、とゆれた。豊満な身体が、いやらしすぎる。


「今宵、わたしは隼人くんと結ばれるわ」 


 そのまま、脱衣場を出ようとした。 


「待って。待って頂戴。早まってはダメ!」 


 裸で出ようとしたことを咎めたわけではない。隼人はまだ小学生ではないか。だから、敏子は止めた。和美の足にすがりついた。 


「止めないで、トシちゃん。和風旅館の庭で、ししおどしが“かっぽーん"と鳴ったとき、それは、情事の合図なのよ。昔の人は、いいことしか言わないわ」 


 昔の人は、そんなことを言ったのか。


「で、でも、それは犯罪だよ。淫行条例違反だよ。思いなおして……!」 


 そう言って懸命に止めようとする敏子も実は全裸である。彼女のロリータボディは、幼児体型の見本と言って良いほどに見事な幼児体型だ。AAカップのバストを筆頭に、全身の肉が薄い。肩は小さく、お尻も小さく、手足は細く、身長はかなり低い。なのに、陰毛は黒々と生えているではないか。その手のマニア絶賛の超級合法ロリである。その魅力は、和美のダイナマイトボディとは対極に位置する。


「そ、それは確かに、そうね」 


 和美の足が止まった。 


「そうだよ、そうだよ。隼人くんは先輩としてのあたしたちを信頼してついてきてくれたんだよ。それを裏切るなんて人でなしだよ!」 

「悪かったわ。わたし、どうかしてたわ」 


 全裸の和美が詫びた。 


「わ、わかってくれたのね。和美ちゃん!」 


 敏子は、ほっとした。こちらに背を向け、がっくりと肩を落とす和美を見ると不憫な気もするが、この場合、自分が言うことに間違いはない。自信があった。 


 だが、敏子の位置からは見えなかった。ニヤリと暗い笑いを浮かべる和美の顔が…… 





 深夜一時すぎ。 


 抜き足刺し足忍び足で、浴衣姿の和美は隼人の部屋の前にやって来た。なせが、手にトランプを持っている。敏子の部屋は、灯りが消えていたので、もう休んでいるだろう。こちらは、入り口のふすまから光が漏れている。隼人は、まだ起きているのだろうか。風呂に行っている可能性もある。 


(トシちゃん、ごめんね。だけど、わたし、もう辛抱たまらんわ) 


 そ~っと戸を開け、中に入る。隼人は布団にくるまり眠っていた。電気は、ついたままである。


(暗いとこに一人でいるの怖いのかしら。まだまだ子供ねぇ)


 その子供に、夜這いをかけようとしているのだが。隼人は小学五年生。和美は大学一年生である。


「は・や・と・くゥーん……」


 呼んでみた。ハスキーボイスを裏返し、色っぽく言ったつもりだったが、少々けったいな声になってしまっている。


「お姉さんと、トランプしましょう」


 そう言った。トランプを両手できりながら、近づいた。すると、隼人の荒い息が聞こえるではないか。和美のただならぬ雰囲気を感じ取り、興奮しているのか。


「ひょっとして、起きてるのかなぁ?」


 隼人の美しい顔をのぞき込んでみた。寝ている。いや、寝たふりか?これは、トランプに代わる強力な最終カードをきるしかない。


 和美は、浴衣を脱いだ。すると、圧倒的肉感ボディが姿をあらわした。それは、なんと、黒のいやらしい下着をつけていたのだ。このときのために、彼女が用意した物だった。





 
 
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