変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう

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超次元屋敷

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あれからずっと突き進んでいるが、一向に部屋らしいものは見つからない。

道は一本道のままで、時折曲がり道があるくらいで、特に変わり得ない風景が続いていた。

「はあ、はあ、もう…疲れた……。ちょっと休もうよー。」

思ったよりも体力がない奴だなと呆れつつ、俺は足を止めて振り返った。

「あのなあ、もし一休みしている間に、翔馬に何かあったら、お前は責任取れるのか?」

正直怒ってなどいなかったが、あえてきつい口調で言った。

「………そうだよね。早く見つけないといけないよね。」

てっきりいつもの様にビビって叫び出すかと思っていたので、意外な反応に、俺は耳を疑った。

「……分かればいいんだよ。」
「でっ、でもさ………。」

今度は一体何なんだよ。

俺は眉間に皺を寄せて、文也を軽く睨んだ。

「やっぱりおかしいよ!さっきから部屋らしい部屋もないし、人っ子ひとりいないなんて!」

それもそうだなと思った。
まさか、嵌められたか?

ガラガラガラ…

「「っ!!」」

すると突然、歯車が動くような音が廊下中に響き渡ると、廊下全体が傾き始めた。

「何これ何これ?ここって、カラクリ屋敷だったのーーー⁉︎」
「馬鹿っ!つべこべ言ってないで、壁に向かって走れ!!」

次第に廊下が回転し、ついには天井と床が逆転した。

何とか下に叩きつけられることは回避したが、すぐに違和感に気づいた。

どういうわけか、先程まで何の変哲もなかったはずの廊下に、扉がいくつも現れていたのだ。

一体どんな仕掛けをすれば、こんなことが出来るのかと感心していると、急に文也が焦り出した。

「はっ春くん…。あっちから、大勢の足音が聞こえるよ!」

文也が先程まで俺たちが歩いていた方向を指さした。

すると次第に、大勢の村人たちの姿が見えてきた。

咄嗟に俺は、足がすくんで動けないでいる文也の腕を引っ張って、近くの部屋に入った。

「………。」

そこで目に入ったのは、女物のサンバ衣装を着て踊り狂う村人たちの姿だった。

「やあ!君たちも踊るかい?」
「いや、遠慮する。」

俺はすぐさま後ずさって、部屋から出た。

「………はあ⁉︎」

最初に入ってきた扉から出たはずだが、何故か全然違う廊下に出ていた。

「ええーーー!!ここどこーーー?もう戻れないよ。ミイラ取りがミイラになったんだよーーー!!」

ドカッ!

いい加減うるさいので、思わず頭をぶん殴った。

「騒ぐな。まずは状況確認だ。」

試しにもう一度、同じ扉を開けてみる。

するとやはり、先程のサンバ野郎たちの姿はなく、今度はお取り込み中の奴らの姿があった。

それを見た文也がまた絶叫を上げそうだったので、すかさず口を塞いでまた扉を閉めた。

「どういう原理か知らないが、扉を開け閉めするたびに、部屋が変わるみたいだな。」

しかしそれは、逆に好都合だと思った。

この仕掛けを利用すれば、無駄な移動をすることなく、翔馬の元にたどり着けるかもしれない。

ガチャ バタン
ガチャ バタン

「春くん、何してるの?」

側から見れば、完全にとち狂った行動だろうが、そんなことは全く気にならなかった。

それからしばらく、何度も扉を開け閉めしていると、ある部屋にいた人物に思わず手を止めた。

そこには、この村には相応しくない人物がいた。
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