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ちょっとした復讐

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花魁たちには上手く誤魔化すことができたが、これからはそうはいかない。
何かしら手を打っておくべきだろう。

「おい、文也。隠れるぞ。」

前方から二人組の村人がやって来るのに気づき、俺たちはすぐに柱に身を潜めた。

「どっどうしよう、こっちに来るよ!」

今にも叫びそうな文也の口を押さえて、静かにするよう、人差し指でジェスチャーした。

「文也、俺は左の奴をやるから、お前は右の奴をやれ。」

文也は青ざめた顔で必死に首を横に振るが、ほかに選択肢がないと分かり、観念した様子で頷いた。

ギリギリまで村人を引きつけ、俺は合図を送ると、村人に殴りかかった。

囚われていた時は数に圧倒されて身動きが取れなかったが、一対一なら大したことなかった。

一方文也の方は………。

「ひえーーー!すみません、これには深ーーい訳が……。」

さらに弱くて話にならなかった。

見かねた俺は、背後から奇襲をかけ、村人を気絶させた。

するとさっきまで真っ青な顔をしていた文也や、得意げに笑みを浮かべた。

「なーんちゃて!実はこれは相手を油断させるための作戦だったんだ。」
「嘘つけ。ビビって腰が抜けてたくせに。」

俺はすぐに目を逸らすと、村人の服に手をかけた。

「ええっ⁉︎まっまさか……ヤッちゃうつもりなんじゃ………。」

こいつ、俺をどれだけ変態扱いすれば気が済むんだ。

「バーカ。こいつらの服を奪って、村人に成り代わるんだよ。」

すると文也は偉そうに人差し指を立て、左右に振ってチッチッチと抜かしてきた。

「それじゃあ駄目だよ、遥華くん。いくら服装を変えたって、顔がバレてるんじゃ意味がないよ。だ・か・ら…。」

文也は言葉を溜めながら、ポケットから何かを取り出した。

「じゃーん。おしろいと口紅!さっき、オカマから盗んできたんだ。これで顔を変えれば、バレっこないって。」

こいつは、つくづくアホだと呆れ返った。

化粧なんてすれば、余計目立つだろうに。

だが、少し面白い事を考えたので、敢えて乗ってみることにした。

「そうだな。その青あざ、目立つからな。俺が隠してやる。だからまずはさっさと着替えろ。」

俺は近くの部屋を探り、人がいないことを確認すると、そこに村人たちを運んだ。

そして村人たちの服を剥ぎ取ると、俺たちも服を脱ぎ、剥ぎ取った服に着替えた。

「さあ、後は化粧をするだけか。だが俺は、肌が弱いから、無理だな。文也だけしろ。」
「えっ………?」

困惑した表情を浮かべる文也を無視して、俺は歩み寄った。

「緊張するなよ。ちゃんと美人にしてやるから…。」
「うっ…うわ………っ⁉︎」

今にも叫び出しそうだったので、思い切り左手で口を押さえた俺は、満面の笑みを浮かべた。
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