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兄
まさかの失態
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次の日の朝、まだ腰に違和感が残っていたが、ゆっくりしてもいられず、俺はベッドから身体を起こした。
今日は日曜日、遥華と遊園地に行く約束をした日だ。
正直言って、あんまり乗り気ではなかったが、今更断って遥華をガッカリさせるわけにもいかず、俺は服を着替え、海斗を起こしに行こうとした。
すると扉が開く音が聞こえ、海斗が顔を覗かせた。
「おはよう、兄さん。起きてるみたいだね。」
「……おはよう。今日は、やけに早起きだな。」
いつもの海斗なら、俺が起しに行くまでぐっすりと眠っているはずだ。
それなのに今は、服も着替えている。
一体何があったのだろうか。
「……久しぶりに3人で遊ぶってなると、つい浮かれて、目が覚めちゃったんだ。」
無邪気に笑うその顔には、嘘偽りなんかなかった。
「ああ。そうだよな。俺も楽しみにしてた。」
本心とは真逆のことを口にした。
最近は、誰に対しても嘘をついてばかりだ。
だがそのことに対して、心を痛める余裕も無くなっていた。
俺は海斗に急かされるように、リビングに向かい、そこで用意されている朝食を目にした。
俺が驚いていると、奥からコーヒーカップを両手に持った海斗が笑顔でやってきた。
「昨日、兄さん疲れてそうだったから、代わりに僕が用意したんだよ。」
用意されていた朝食は、卵のサンドイッチとサラダという簡単なものだ。
それでも俺の知っている海斗からは想像できないほど、立派なものだった。
海斗の事なら何でも知っていると思っていたので、意外な一面を知り、少々面食らった。
そんな俺に気づいたのか、海斗は少しはにかんで、でもどこか得意げだった。
その後家を出て遥華と合流すると、電車に乗って遊園地に向かった。
その道中、海斗と遥華はたわいもない会話をしていたが、俺はその輪に入れず、相槌を打つくらいしかできなかった。
電車に乗ると、嫌でもあの男の顔と、昨夜の出来事が思い起こされる。
そして、快楽に飲まれた自分自身の事も。
「………っ!」
ふと視線を足元に落とすと、ある異変に気づいた。
そしてその事を2人に知られないために、俺は席を立った。
「兄さん、どうかした?」
「ちょっと、トイレ行ってくる…。」
揺れる電車の中、俺は疼く身体を抑えながらトイレへと向かった。
そして個室に入るなり、ズボンのチャックを開け、ものを扱き出した。
今までも制欲を抑えられなくなる時は何度もあったが、まさか3人で会っている時にまでこうなるとは思ってもいなかった。
恥ずかしさと罪悪感でいっぱいだったが、一度火がついた身体は治ることを知らない。
あまり時間をかけすぎると、2人に怪しまれる。
そう思い、懸命に手を動かすが、なかなかイクことができない。
その時俺は、ある事実に気づき愕然とした。
散々あそこの中を弄り弄られた身体は、もう前の刺激だけではイケなくなってしまったのだ。
しかしバイブなんて持ってきているわけもなく、仕方なく自分の人差し指をあそこに突っ込むことにした。
ズボンを下までずり下ろし、腰を曲げて尻を突き出すような体勢になる。
そして唾液で濡らした人差し指を、ゆっくりと中に挿れていく。
そんな僅かな刺激さえ、身体は過剰に反応した。
「んっ……んん…っ………ん…。」
ものを刺激する右手は止めず、人差し指はある一点を探して突き動かす。
「ん…ぁ……んん………ッ…あああ…っん…!」
その部分に触れた瞬間、一気に快楽が押し寄せ、頭に電気が流れたような衝撃に襲われた。
気持ち良すぎて、もう何も考えられない。
倒れないよう、右手で壁を押さえて、その部分を重点的に責め続ける。
「ああ…っ……あん……っ…あ……ッ…あああっ!!」
とうとう声を抑えることも忘れて、俺は欲を吐き出し、壁に身体を預けた。
「はあ…はあ…はあ………。」
身体の熱が収まり、思考できるようになってくると、途端に羞恥に駆られた。
こんな、誰が入って来るか分からないところで、大声を上げてしまった。
もしかすると、誰かに聞かれていたかもしれない。
そう考えると、この場から離れるのが恐ろしくなり、もう少し入っていようかと思っていた時だった。
「………兄さん?」
その瞬間、頭が真っ白になった。
トイレの個室の前に、海斗がいる。
予想だにしなかった事態に、汗がどっと噴き出る。
「具合悪そうだけど、大丈夫?」
まさか、聞かれていたのだろうか。
聞いていたのだとしたら、何をしていたのか、本当に分からなかったのだろうか。
混乱する思考の中で、必死に言い訳を考えようと頭を振り絞る。
「そ……っ…その、腹壊したみたいで……。」
「えっ…⁉︎」
海斗は驚いたような声を出した後、押し黙ってしまった。
何かまずいことでも言っただろうか。
「ひょっとして、今朝の朝食があたったのかな……。」
しまったと思ったが、もう遅かった。
今日は海斗が朝食を作ってくれたことなど、すっかり忘れてしまっていた。
「そうじゃない!多分、寝冷えか何かだと思う……。」
俺は必死に否定したが、返事は返ってこない。
俺はズボンを上げると、まだおぼつかない足取りで個室から出た。
そこには俯いたまま、拳を握りしめている海斗の姿があった。
「もう、平気だから、心配するな。」
海斗は黙ったまま、俺を見つめてきた。
その瞳には、今の俺はどう映っているのか、ふと思いにふけた。
「……もしまた、体調が悪くなったら、無理しなくていいから。」
俺は軽く頷くと、海斗に連れられて席に戻った。
待っていた遥華も、心配そうに俺を見つめていた。
「リッくん大丈夫?顔色悪いよ。」
遥華にまで余計な心配をかけさせるわけにはいかない。
「いや、もう大丈夫だ。」
そう言うと俺は、2人から目を逸らし、席に座った。
その後、目的の駅を降りるまで、誰も一言も喋らなかった。
今日は日曜日、遥華と遊園地に行く約束をした日だ。
正直言って、あんまり乗り気ではなかったが、今更断って遥華をガッカリさせるわけにもいかず、俺は服を着替え、海斗を起こしに行こうとした。
すると扉が開く音が聞こえ、海斗が顔を覗かせた。
「おはよう、兄さん。起きてるみたいだね。」
「……おはよう。今日は、やけに早起きだな。」
いつもの海斗なら、俺が起しに行くまでぐっすりと眠っているはずだ。
それなのに今は、服も着替えている。
一体何があったのだろうか。
「……久しぶりに3人で遊ぶってなると、つい浮かれて、目が覚めちゃったんだ。」
無邪気に笑うその顔には、嘘偽りなんかなかった。
「ああ。そうだよな。俺も楽しみにしてた。」
本心とは真逆のことを口にした。
最近は、誰に対しても嘘をついてばかりだ。
だがそのことに対して、心を痛める余裕も無くなっていた。
俺は海斗に急かされるように、リビングに向かい、そこで用意されている朝食を目にした。
俺が驚いていると、奥からコーヒーカップを両手に持った海斗が笑顔でやってきた。
「昨日、兄さん疲れてそうだったから、代わりに僕が用意したんだよ。」
用意されていた朝食は、卵のサンドイッチとサラダという簡単なものだ。
それでも俺の知っている海斗からは想像できないほど、立派なものだった。
海斗の事なら何でも知っていると思っていたので、意外な一面を知り、少々面食らった。
そんな俺に気づいたのか、海斗は少しはにかんで、でもどこか得意げだった。
その後家を出て遥華と合流すると、電車に乗って遊園地に向かった。
その道中、海斗と遥華はたわいもない会話をしていたが、俺はその輪に入れず、相槌を打つくらいしかできなかった。
電車に乗ると、嫌でもあの男の顔と、昨夜の出来事が思い起こされる。
そして、快楽に飲まれた自分自身の事も。
「………っ!」
ふと視線を足元に落とすと、ある異変に気づいた。
そしてその事を2人に知られないために、俺は席を立った。
「兄さん、どうかした?」
「ちょっと、トイレ行ってくる…。」
揺れる電車の中、俺は疼く身体を抑えながらトイレへと向かった。
そして個室に入るなり、ズボンのチャックを開け、ものを扱き出した。
今までも制欲を抑えられなくなる時は何度もあったが、まさか3人で会っている時にまでこうなるとは思ってもいなかった。
恥ずかしさと罪悪感でいっぱいだったが、一度火がついた身体は治ることを知らない。
あまり時間をかけすぎると、2人に怪しまれる。
そう思い、懸命に手を動かすが、なかなかイクことができない。
その時俺は、ある事実に気づき愕然とした。
散々あそこの中を弄り弄られた身体は、もう前の刺激だけではイケなくなってしまったのだ。
しかしバイブなんて持ってきているわけもなく、仕方なく自分の人差し指をあそこに突っ込むことにした。
ズボンを下までずり下ろし、腰を曲げて尻を突き出すような体勢になる。
そして唾液で濡らした人差し指を、ゆっくりと中に挿れていく。
そんな僅かな刺激さえ、身体は過剰に反応した。
「んっ……んん…っ………ん…。」
ものを刺激する右手は止めず、人差し指はある一点を探して突き動かす。
「ん…ぁ……んん………ッ…あああ…っん…!」
その部分に触れた瞬間、一気に快楽が押し寄せ、頭に電気が流れたような衝撃に襲われた。
気持ち良すぎて、もう何も考えられない。
倒れないよう、右手で壁を押さえて、その部分を重点的に責め続ける。
「ああ…っ……あん……っ…あ……ッ…あああっ!!」
とうとう声を抑えることも忘れて、俺は欲を吐き出し、壁に身体を預けた。
「はあ…はあ…はあ………。」
身体の熱が収まり、思考できるようになってくると、途端に羞恥に駆られた。
こんな、誰が入って来るか分からないところで、大声を上げてしまった。
もしかすると、誰かに聞かれていたかもしれない。
そう考えると、この場から離れるのが恐ろしくなり、もう少し入っていようかと思っていた時だった。
「………兄さん?」
その瞬間、頭が真っ白になった。
トイレの個室の前に、海斗がいる。
予想だにしなかった事態に、汗がどっと噴き出る。
「具合悪そうだけど、大丈夫?」
まさか、聞かれていたのだろうか。
聞いていたのだとしたら、何をしていたのか、本当に分からなかったのだろうか。
混乱する思考の中で、必死に言い訳を考えようと頭を振り絞る。
「そ……っ…その、腹壊したみたいで……。」
「えっ…⁉︎」
海斗は驚いたような声を出した後、押し黙ってしまった。
何かまずいことでも言っただろうか。
「ひょっとして、今朝の朝食があたったのかな……。」
しまったと思ったが、もう遅かった。
今日は海斗が朝食を作ってくれたことなど、すっかり忘れてしまっていた。
「そうじゃない!多分、寝冷えか何かだと思う……。」
俺は必死に否定したが、返事は返ってこない。
俺はズボンを上げると、まだおぼつかない足取りで個室から出た。
そこには俯いたまま、拳を握りしめている海斗の姿があった。
「もう、平気だから、心配するな。」
海斗は黙ったまま、俺を見つめてきた。
その瞳には、今の俺はどう映っているのか、ふと思いにふけた。
「……もしまた、体調が悪くなったら、無理しなくていいから。」
俺は軽く頷くと、海斗に連れられて席に戻った。
待っていた遥華も、心配そうに俺を見つめていた。
「リッくん大丈夫?顔色悪いよ。」
遥華にまで余計な心配をかけさせるわけにはいかない。
「いや、もう大丈夫だ。」
そう言うと俺は、2人から目を逸らし、席に座った。
その後、目的の駅を降りるまで、誰も一言も喋らなかった。
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