あなたと再びの恋を

Saeko

文字の大きさ
上 下
24 / 27
第二章 最愛の人との再会

第十話 公にしましょうか?3

しおりを挟む
私達2人がソファに座ったのを見計らったタイミングで、秘書の疋田さんが入れてくれて下さった珈琲。それを1口飲まれた黒石社長は、カップをソーサーに置くと
拓斗きみが今日ここに来た理由は、例の事だね?」
「そう。だから優花を連れてきたんだ。勿論、認めてくれるよね?俺達の事」
半ば食い気味で、しかも会社のトップである社長に対してタメ口で詰め寄る様に言う拓斗に対し
「あぁ。キミとの約束だから、勿論認めるさ。」
と、黒石社長は拓斗の言葉を特に気にする様子も無く笑顔で返していらしたの。
すると拓斗は
「ありがとう、社長。あ!そうだ!社長?今から俺がやる事の証人になってくれない?」
「ん?証人?何のだ?」
黒石社長に何かの証人になってくれと言う拓斗。私はそんな彼が何を考えているのか分からず首を傾げていると、
「優。左手出して?」
と、横から拓斗にはそう言われたわ。だから私は左手のてのひらを上にして拓斗に差し出したのね。すると、そんな私の仕草に、拓斗は何故だか大笑いをしてから、私の手をそっと裏返したわ。そしてその手握ってこう言ったの。

「七菱優花さん。私、光瀬拓斗と結婚してください。私の生涯をかけて、貴女を幸せにすると誓います。」

と…

私の薬指に嵌められた、私の誕生石である真っ赤なルビーを真ん中に配置し、その周りにダイアモンドをあしらった指輪。
指輪が嵌った自身の指と拓斗を、交互に驚きの眼でもって見る私に拓斗は、
「勿論、受けてくれるだろ?俺のプロポーズ」
と自信満々でそう言ったの。そんな拓斗に、私はコクコクと まるで福島県の張子の牛の様に頷くことしか出来なかったわ。でも、私の行動を見た拓斗は、
「え?何?なんかあんま嬉しそうじゃなくね?」
と少し拗ねた様に言ってきたのね。だから私は慌てて
「ち、違うわ拓斗!そ、その……突然の事で驚いてしまって…その……」
と言い訳したのだけど、
揶揄からかってごめん。優の仕草がめちゃくちゃ可愛らしかったからつい」
と、自身の口に手を当ててクククッと小さく笑ってからそう言った拓斗は、私の頭をポンポンしたの。それから社長を見やった拓斗は、
「ちゃんと見ててくれたよね?」
「あぁ」
「ありがと。じゃ、これ。サインして?」
と言って、拓斗サイドの欄は既に記入済みの婚姻届の保証人欄にサインを書いて頂く旨を求める拓斗。それに対して黒石社長は、何の抵抗を示すこと無くスラスラとご自身の名前を記入なさったの。

その後拓斗は私と一緒に私の実家へ

両親に結婚の挨拶をしてくれたのだけれど、あまりに突然の事に、父は大慌てだったわ。なのだけれど、父とは正反対に母はとても落ち着いていらして、私と拓斗との結婚をとても喜んでくれたの。(後日、何故拓斗との結婚をすんなり受け入れてくれたのかを母に聞いてみたのね。そしたら母は、何もかも ┄ 高等部の頃、彼とお付き合いしていた事や一柳院家から嫌がらせを受けても、完全に放置していた事等 ┄ お見通しだったらしいわ。)
そして、保証人欄への記入を渋る父を一瞥した母が、スラスラとサインをしてくれ、私は"七菱優花”から"光瀬優花”になったのよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

王太子の愚行

よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。 彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。 婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。 さて、男爵令嬢をどうするか。 王太子の判断は?

[完結]裏切りの学園 〜親友・恋人・教師に葬られた学園マドンナの復讐

青空一夏
恋愛
 高校時代、完璧な優等生であった七瀬凛(ななせ りん)は、親友・恋人・教師による壮絶な裏切りにより、人生を徹底的に破壊された。  彼女の家族は死に追いやられ、彼女自身も冤罪を着せられた挙げ句、刑務所に送られる。 「何もかも失った……」そう思った彼女だったが、獄中である人物の助けを受け、地獄から這い上がる。  数年後、凛は名前も身分も変え、復讐のために社会に舞い戻るのだが…… ※全6話ぐらい。字数は一話あたり4000文字から5000文字です。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

さようなら、あなたとはもうお別れです

四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。 幸せになれると思っていた。 そう夢みていたのだ。 しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

最後の思い出に、魅了魔法をかけました

ツルカ
恋愛
幼い時からの婚約者が、聖女と婚約を結びなおすことが内定してしまった。 愛も恋もなく政略的な結びつきしかない婚約だったけれど、婚約解消の手続きの前、ほんの短い時間に、クレアは拙い恋心を叶えたいと願ってしまう。 氷の王子と呼ばれる彼から、一度でいいから、燃えるような眼差しで見つめられてみたいと。 「魅了魔法をかけました」 「……は?」 「十分ほどで解けます」 「短すぎるだろう」

処理中です...