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第二章 最愛の人との再会
第十話 公にしましょうか?3
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私達2人がソファに座ったのを見計らったタイミングで、秘書の疋田さんが入れてくれて下さった珈琲。それを1口飲まれた黒石社長は、カップをソーサーに置くと
「拓斗が今日ここに来た理由は、例の事だね?」
「そう。だから優花を連れてきたんだ。勿論、認めてくれるよね?俺達の事」
半ば食い気味で、しかも会社のトップである社長に対してタメ口で詰め寄る様に言う拓斗に対し
「あぁ。キミとの約束だから、勿論認めるさ。」
と、黒石社長は拓斗の言葉を特に気にする様子も無く笑顔で返していらしたの。
すると拓斗は
「ありがとう、社長。あ!そうだ!社長?今から俺がやる事の証人になってくれない?」
「ん?証人?何のだ?」
黒石社長に何かの証人になってくれと言う拓斗。私はそんな彼が何を考えているのか分からず首を傾げていると、
「優。左手出して?」
と、横から拓斗にはそう言われたわ。だから私は左手の掌を上にして拓斗に差し出したのね。すると、そんな私の仕草に、拓斗は何故だか大笑いをしてから、私の手をそっと裏返したわ。そしてその手握ってこう言ったの。
「七菱優花さん。私、光瀬拓斗と結婚してください。私の生涯をかけて、貴女を幸せにすると誓います。」
と…
私の薬指に嵌められた、私の誕生石である真っ赤なルビーを真ん中に配置し、その周りにダイアモンドをあしらった指輪。
指輪が嵌った自身の指と拓斗を、交互に驚きの眼でもって見る私に拓斗は、
「勿論、受けてくれるだろ?俺のプロポーズ」
と自信満々でそう言ったの。そんな拓斗に、私はコクコクと まるで福島県の張子の牛の様に頷くことしか出来なかったわ。でも、私の行動を見た拓斗は、
「え?何?なんかあんま嬉しそうじゃなくね?」
と少し拗ねた様に言ってきたのね。だから私は慌てて
「ち、違うわ拓斗!そ、その……突然の事で驚いてしまって…その……」
と言い訳したのだけど、
「揶揄ってごめん。優の仕草がめちゃくちゃ可愛らしかったからつい」
と、自身の口に手を当ててクククッと小さく笑ってからそう言った拓斗は、私の頭をポンポンしたの。それから社長を見やった拓斗は、
「ちゃんと見ててくれたよね?」
「あぁ」
「ありがと。じゃ、これ。サインして?」
と言って、拓斗サイドの欄は既に記入済みの婚姻届の保証人欄にサインを書いて頂く旨を求める拓斗。それに対して黒石社長は、何の抵抗を示すこと無くスラスラとご自身の名前を記入なさったの。
その後拓斗は私と一緒に私の実家へ
両親に結婚の挨拶をしてくれたのだけれど、あまりに突然の事に、父は大慌てだったわ。なのだけれど、父とは正反対に母はとても落ち着いていらして、私と拓斗との結婚をとても喜んでくれたの。(後日、何故拓斗との結婚をすんなり受け入れてくれたのかを母に聞いてみたのね。そしたら母は、何もかも ┄ 高等部の頃、彼とお付き合いしていた事や一柳院家から嫌がらせを受けても、完全に放置していた事等 ┄ お見通しだったらしいわ。)
そして、保証人欄への記入を渋る父を一瞥した母が、スラスラとサインをしてくれ、私は"七菱優花”から"光瀬優花”になったのよ。
「拓斗が今日ここに来た理由は、例の事だね?」
「そう。だから優花を連れてきたんだ。勿論、認めてくれるよね?俺達の事」
半ば食い気味で、しかも会社のトップである社長に対してタメ口で詰め寄る様に言う拓斗に対し
「あぁ。キミとの約束だから、勿論認めるさ。」
と、黒石社長は拓斗の言葉を特に気にする様子も無く笑顔で返していらしたの。
すると拓斗は
「ありがとう、社長。あ!そうだ!社長?今から俺がやる事の証人になってくれない?」
「ん?証人?何のだ?」
黒石社長に何かの証人になってくれと言う拓斗。私はそんな彼が何を考えているのか分からず首を傾げていると、
「優。左手出して?」
と、横から拓斗にはそう言われたわ。だから私は左手の掌を上にして拓斗に差し出したのね。すると、そんな私の仕草に、拓斗は何故だか大笑いをしてから、私の手をそっと裏返したわ。そしてその手握ってこう言ったの。
「七菱優花さん。私、光瀬拓斗と結婚してください。私の生涯をかけて、貴女を幸せにすると誓います。」
と…
私の薬指に嵌められた、私の誕生石である真っ赤なルビーを真ん中に配置し、その周りにダイアモンドをあしらった指輪。
指輪が嵌った自身の指と拓斗を、交互に驚きの眼でもって見る私に拓斗は、
「勿論、受けてくれるだろ?俺のプロポーズ」
と自信満々でそう言ったの。そんな拓斗に、私はコクコクと まるで福島県の張子の牛の様に頷くことしか出来なかったわ。でも、私の行動を見た拓斗は、
「え?何?なんかあんま嬉しそうじゃなくね?」
と少し拗ねた様に言ってきたのね。だから私は慌てて
「ち、違うわ拓斗!そ、その……突然の事で驚いてしまって…その……」
と言い訳したのだけど、
「揶揄ってごめん。優の仕草がめちゃくちゃ可愛らしかったからつい」
と、自身の口に手を当ててクククッと小さく笑ってからそう言った拓斗は、私の頭をポンポンしたの。それから社長を見やった拓斗は、
「ちゃんと見ててくれたよね?」
「あぁ」
「ありがと。じゃ、これ。サインして?」
と言って、拓斗サイドの欄は既に記入済みの婚姻届の保証人欄にサインを書いて頂く旨を求める拓斗。それに対して黒石社長は、何の抵抗を示すこと無くスラスラとご自身の名前を記入なさったの。
その後拓斗は私と一緒に私の実家へ
両親に結婚の挨拶をしてくれたのだけれど、あまりに突然の事に、父は大慌てだったわ。なのだけれど、父とは正反対に母はとても落ち着いていらして、私と拓斗との結婚をとても喜んでくれたの。(後日、何故拓斗との結婚をすんなり受け入れてくれたのかを母に聞いてみたのね。そしたら母は、何もかも ┄ 高等部の頃、彼とお付き合いしていた事や一柳院家から嫌がらせを受けても、完全に放置していた事等 ┄ お見通しだったらしいわ。)
そして、保証人欄への記入を渋る父を一瞥した母が、スラスラとサインをしてくれ、私は"七菱優花”から"光瀬優花”になったのよ。
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