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第一章 婚約者からの冷遇
第一話 平凡顔はお嫌いですか? 1
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「お前みたいな地味─まぁよく言えば平々凡々顔の女は、この自他ともに認めるイケメンの俺にとって相応しくない。よってこの婚約は破棄させて貰う。」
と両家で決めた所謂政略結婚を、自身の右腕で私のよく知る女性の腰を抱いて椅子に座っている状態で破棄すると言ったのは、私─物流の大手企業である七菱物産の長女─七菱 優花(25歳)の婚約者一柳院 京平(33歳)さんだ。
ここはとあるカフェテリアの個室
私は婚約者である京平さんに呼びつけられこの場に来た。しかも彼から連絡があったのは30分前の事だったの。
京平さんの家である一柳院家は旧華族の家なのだけれど、ずっと女系家族だったの。その為、歴代当主は婿養子を娶り繁栄してきた家系だったのね。でもそんな女系の歴史の中、京平さんは一柳院初の男児の跡継ぎとして産まれたの。でもその所為かしら…。幼い頃からご両親 ┄ 特に母君の苑子夫人や祖母君の翠子様からたいそう可愛がられて育ったものだから、とんでもなく我儘なお坊ちゃまに成長してしまったのよね。
それに、確かに京平さんは容姿端麗なのだけど、超が付くほどのナルシシストなの。しかも最近は筋トレにハマっているらしくて、やたらと姿見でご自分の身体を写しては、SNSに投稿しているらしいのよ。
"らしい”というのは、私は京平さんのSNSに、一切興味が無いからなの。だから見た事も見る気もさらさら無いのだけれど、学園の親切な(自称)友達がそう教えてくれたのね。
そんな京平さんと私は幼馴染みの関係なの。彼との婚約が決まったのは、私が19歳京平さんが27歳の時だったわ。
当時一柳院家の事業が芳しくなく、京平さんのお父様である一柳院宗介おじ様から融資を頼まれた私の父が、優花を其方へ嫁がせてくれるのならば融資しようじゃないかと、私からしたら大層失礼で勝手な話を持ちかけたの。
でもその時の宗介おじ様は藁をもすがる思いだったのでしょうね。二つ返事で私を京平さんのお嫁さんにする事を了承し、父から多額の融資を得たの。
「優花。君と一柳院京平君との婚約が決まったぞ。」
と宗介おじ様の会社と融資契約が決定したその晩の夕食時、父からそう言われたの。その言葉に、いつも比較的物静かな私も思わず「え?」と声に出してしまう程動揺したわ。
「京平さんと?私が?どうしてですか?お父様」
「どうしてって……お前に少しも男っ気が無いから、私は心配で…」
と申し訳なさそうに答える父に苛立ちを覚えてしまった私は、思わずダイニングテーブルをバーンと叩いて
「私にそのような気配が無い理由なんて父様もご存知でしょうに!」
と声を荒らげ、父に抗議したの。
そう…父は知っている
私に男っ気がない理由を
そしてそれが従姉妹にある事を……
昔から私に強いライバル心を抱くその従姉妹から大切なものを守る為に、態と特定の異性と仲良くしないようにしているというのに
それなのに何故?何故父は……頭の中に疑問符が心の中には怒りの渦がそれぞれ渦巻いて、とても冷静にはなれそうになかったの。
そんな私を母は
「貴女の気持ちは分かるわ、優花。でも今は食事中よ。兎に角お座んなさい。」
と優雅に口元をナプキンで拭きながらそう言った後、
「あなたもあなたですわ。話など食事が終わってからになされば良かったのに。」
と父に心底呆れたと言わんばかりの表情でもってそう言ったの。
「そんな事言っても……「黙らっしゃい!」ひっ!」
恨めしそうに母を見ながら言った父は、ギロリと睨み返された上にピシャリと怒られ、怯えて黙ったの。
そう…我が家は母のが強いのよ
と両家で決めた所謂政略結婚を、自身の右腕で私のよく知る女性の腰を抱いて椅子に座っている状態で破棄すると言ったのは、私─物流の大手企業である七菱物産の長女─七菱 優花(25歳)の婚約者一柳院 京平(33歳)さんだ。
ここはとあるカフェテリアの個室
私は婚約者である京平さんに呼びつけられこの場に来た。しかも彼から連絡があったのは30分前の事だったの。
京平さんの家である一柳院家は旧華族の家なのだけれど、ずっと女系家族だったの。その為、歴代当主は婿養子を娶り繁栄してきた家系だったのね。でもそんな女系の歴史の中、京平さんは一柳院初の男児の跡継ぎとして産まれたの。でもその所為かしら…。幼い頃からご両親 ┄ 特に母君の苑子夫人や祖母君の翠子様からたいそう可愛がられて育ったものだから、とんでもなく我儘なお坊ちゃまに成長してしまったのよね。
それに、確かに京平さんは容姿端麗なのだけど、超が付くほどのナルシシストなの。しかも最近は筋トレにハマっているらしくて、やたらと姿見でご自分の身体を写しては、SNSに投稿しているらしいのよ。
"らしい”というのは、私は京平さんのSNSに、一切興味が無いからなの。だから見た事も見る気もさらさら無いのだけれど、学園の親切な(自称)友達がそう教えてくれたのね。
そんな京平さんと私は幼馴染みの関係なの。彼との婚約が決まったのは、私が19歳京平さんが27歳の時だったわ。
当時一柳院家の事業が芳しくなく、京平さんのお父様である一柳院宗介おじ様から融資を頼まれた私の父が、優花を其方へ嫁がせてくれるのならば融資しようじゃないかと、私からしたら大層失礼で勝手な話を持ちかけたの。
でもその時の宗介おじ様は藁をもすがる思いだったのでしょうね。二つ返事で私を京平さんのお嫁さんにする事を了承し、父から多額の融資を得たの。
「優花。君と一柳院京平君との婚約が決まったぞ。」
と宗介おじ様の会社と融資契約が決定したその晩の夕食時、父からそう言われたの。その言葉に、いつも比較的物静かな私も思わず「え?」と声に出してしまう程動揺したわ。
「京平さんと?私が?どうしてですか?お父様」
「どうしてって……お前に少しも男っ気が無いから、私は心配で…」
と申し訳なさそうに答える父に苛立ちを覚えてしまった私は、思わずダイニングテーブルをバーンと叩いて
「私にそのような気配が無い理由なんて父様もご存知でしょうに!」
と声を荒らげ、父に抗議したの。
そう…父は知っている
私に男っ気がない理由を
そしてそれが従姉妹にある事を……
昔から私に強いライバル心を抱くその従姉妹から大切なものを守る為に、態と特定の異性と仲良くしないようにしているというのに
それなのに何故?何故父は……頭の中に疑問符が心の中には怒りの渦がそれぞれ渦巻いて、とても冷静にはなれそうになかったの。
そんな私を母は
「貴女の気持ちは分かるわ、優花。でも今は食事中よ。兎に角お座んなさい。」
と優雅に口元をナプキンで拭きながらそう言った後、
「あなたもあなたですわ。話など食事が終わってからになされば良かったのに。」
と父に心底呆れたと言わんばかりの表情でもってそう言ったの。
「そんな事言っても……「黙らっしゃい!」ひっ!」
恨めしそうに母を見ながら言った父は、ギロリと睨み返された上にピシャリと怒られ、怯えて黙ったの。
そう…我が家は母のが強いのよ
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