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第二章 決断と静養
第20話 悠介の怒りと翔太の処遇 5
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俺が准子にした事全てが許されるとは決して思っていない。けど、准子は優しい女だから、きっと俺を許してくれるだろう。
そんな事を思っていたら、
「今から沢木君の処分内容を言い渡す。
1.現在の主任待遇を外し、予定通りの支店での勤務とする。
2.今回の言動を鑑み、今後3年間の給与及び賞与を3%カットとする。
以上が社長からの命だ。この内容をよく読み、下部に署名をしなさい。」
と部長がそう仰いながら、再びパソコンの画面を俺に見せた。
そこには、先程部長が仰った内容が書かれていた。
俺は、画面内の文が、先程部長から口頭で言われた事と同じ内容である事を確認すると、画面を下方に送り署名欄を見つけると、そこに名前を書いた。
そのまま部長へパソコンをお返しすると、それに不備が無い事を確認した部長が一回だけ深く大きく息を吐いた。
そして、
「俺は君に期待を寄せていた。だからこそ今回の事は非常に残念だ。」
と両手組んで机の上に置いてそう仰った。
俺は部長から期待されていたのか。
部長の言葉に、期待を裏切ってしまった事への罪悪感が溢れた。
「人間は時に過ちを犯してしまう生き物だ。だがな、それにより築き上げた信頼は一瞬にして無くなってしまうんだ。今回は、社長と山下さんの温情でこの程度の処分で済んだが、本来であれば懲戒解雇案件だったのは分かっているだろう。解雇されずに済んだのだから、支店で初心にかえって死ぬ気でやってみろ!いいな。」
という部長の言葉に、俺は涙を止める事が出来なかった。
なんとか涙を止め、俺は部長に深くお礼をし部屋を出ると、赴任先の支店長に電話をかけ、本日のドタキャンの非礼を詫びた。
支店長の三枝さんは
「もし今回の行為が対顧客だったらどうなっていたか、沢木君なら分かっていると思う。失墜した信頼を取り戻すのはとても大変だよ。」
と山仲部長と同じ事を仰った。
「はい。それは分かっています。其方へ参りましたら、初心にかえり死ぬ気で頑張ります。」
と答え、改めてご挨拶へ伺うアポを取った。
そして、本社にある私物の整理や、抱えている顧客への引き継ぎと挨拶に、移動になる迄の残りの日を費やしたんだ。
―――――*☼*―――――*☼*―――――
時任部長と私と兄が待つ部屋に、一人の女性が入ってきた。
そして、
「時任部長。此方が沢木さん、此方が新村さんからお預かり致しました念書です。ご確認下さい。」
と言って、二枚の書類を部長に差し出していた。
部長はそれを受け取り目を通された後、私達兄妹の前に広げて下さった。
それは念書と書かれた書類で、それぞれに翔太と未奈さんの署名があった。
「此方で大丈夫だとご了承頂けましたら、弊社では書類を写真に撮らせて貰った物を保管致しますので、原本は山下さんがお持ち下さい。」
と仰った。
兄は、
「承知致しました。どうぞ、お撮り下さい。」
と言って、時任部長に念書を一旦戻していた。
部長はそれを机に並べ、パソコン内蔵のカメラで撮影され、フォルダに入れ保管した画面を私達に見せて下さった後、原本二通を社名が印刷された封筒の中に入れ、私達の前に差し出して下さったんだ。
兄はそれを受け取り私に渡してきた為、私は持っていた鞄の中に入れる事にした。
椅子から立ち上がり部屋を出ようとした私達に、
「今までありがとう山下さん。貴女の仕事はとても丁寧で、私達人事部もとても助かっていました。」
と、部長と書類を持って来られた女性が頭を下げて下さった。
私は溢れそうになる涙を堪えながら、
「今までお世話になりました。」
とだけ言ってお辞儀をすると、兄に支えられながらその場をあとにしたんだ。
社屋の外に出ると、振り返り社屋を仰ぎみた。
そして深々と一礼しながら、
「ありがとうございました。」
と言い、兄と一緒にマンションへ帰ったんだ。
これでもう二度と、翔太や未奈さんと関わる事が無くなる事に安堵しながら…。
そんな事を思っていたら、
「今から沢木君の処分内容を言い渡す。
1.現在の主任待遇を外し、予定通りの支店での勤務とする。
2.今回の言動を鑑み、今後3年間の給与及び賞与を3%カットとする。
以上が社長からの命だ。この内容をよく読み、下部に署名をしなさい。」
と部長がそう仰いながら、再びパソコンの画面を俺に見せた。
そこには、先程部長が仰った内容が書かれていた。
俺は、画面内の文が、先程部長から口頭で言われた事と同じ内容である事を確認すると、画面を下方に送り署名欄を見つけると、そこに名前を書いた。
そのまま部長へパソコンをお返しすると、それに不備が無い事を確認した部長が一回だけ深く大きく息を吐いた。
そして、
「俺は君に期待を寄せていた。だからこそ今回の事は非常に残念だ。」
と両手組んで机の上に置いてそう仰った。
俺は部長から期待されていたのか。
部長の言葉に、期待を裏切ってしまった事への罪悪感が溢れた。
「人間は時に過ちを犯してしまう生き物だ。だがな、それにより築き上げた信頼は一瞬にして無くなってしまうんだ。今回は、社長と山下さんの温情でこの程度の処分で済んだが、本来であれば懲戒解雇案件だったのは分かっているだろう。解雇されずに済んだのだから、支店で初心にかえって死ぬ気でやってみろ!いいな。」
という部長の言葉に、俺は涙を止める事が出来なかった。
なんとか涙を止め、俺は部長に深くお礼をし部屋を出ると、赴任先の支店長に電話をかけ、本日のドタキャンの非礼を詫びた。
支店長の三枝さんは
「もし今回の行為が対顧客だったらどうなっていたか、沢木君なら分かっていると思う。失墜した信頼を取り戻すのはとても大変だよ。」
と山仲部長と同じ事を仰った。
「はい。それは分かっています。其方へ参りましたら、初心にかえり死ぬ気で頑張ります。」
と答え、改めてご挨拶へ伺うアポを取った。
そして、本社にある私物の整理や、抱えている顧客への引き継ぎと挨拶に、移動になる迄の残りの日を費やしたんだ。
―――――*☼*―――――*☼*―――――
時任部長と私と兄が待つ部屋に、一人の女性が入ってきた。
そして、
「時任部長。此方が沢木さん、此方が新村さんからお預かり致しました念書です。ご確認下さい。」
と言って、二枚の書類を部長に差し出していた。
部長はそれを受け取り目を通された後、私達兄妹の前に広げて下さった。
それは念書と書かれた書類で、それぞれに翔太と未奈さんの署名があった。
「此方で大丈夫だとご了承頂けましたら、弊社では書類を写真に撮らせて貰った物を保管致しますので、原本は山下さんがお持ち下さい。」
と仰った。
兄は、
「承知致しました。どうぞ、お撮り下さい。」
と言って、時任部長に念書を一旦戻していた。
部長はそれを机に並べ、パソコン内蔵のカメラで撮影され、フォルダに入れ保管した画面を私達に見せて下さった後、原本二通を社名が印刷された封筒の中に入れ、私達の前に差し出して下さったんだ。
兄はそれを受け取り私に渡してきた為、私は持っていた鞄の中に入れる事にした。
椅子から立ち上がり部屋を出ようとした私達に、
「今までありがとう山下さん。貴女の仕事はとても丁寧で、私達人事部もとても助かっていました。」
と、部長と書類を持って来られた女性が頭を下げて下さった。
私は溢れそうになる涙を堪えながら、
「今までお世話になりました。」
とだけ言ってお辞儀をすると、兄に支えられながらその場をあとにしたんだ。
社屋の外に出ると、振り返り社屋を仰ぎみた。
そして深々と一礼しながら、
「ありがとうございました。」
と言い、兄と一緒にマンションへ帰ったんだ。
これでもう二度と、翔太や未奈さんと関わる事が無くなる事に安堵しながら…。
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