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第一章 理不尽
第9話 倒れた恋人(沢木翔太目線)
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『おかけになった電話番号はお客様のご都合でお繋する事が出来ません。』
「くっそ!何故だ!なんで連絡が出来ない?」
俺─沢木翔太─は、何度かけても繋がらない電話に苛立っていた。
思い出すのは昨日の事。
俺は専務室に呼ばれ、未奈が俺の子を妊娠していると聞かされた。そして鈴木専務から責任を取れとも。
どうしたらこの場をのりきる事が出来るか?と考えていると、未奈が准子に
「山下さん。翔太君をどうか開放してやって下さい。縛り付けないであげて欲しいんです。翔太君いつも言ってました。『准子の束縛が酷くて辛い』って……。翔太君を好きなら、彼を自由にさせてあげて欲しいんです。お願いします!」
と言い放った。
俺は勿論そんな事を言った覚えは一度もないが、
「頼む、准子。俺をもう開放してくれ。頼むよ!」
と気づいた時にはそう言っていたんだ。
俺は秘書課で、鈴木専務と第1専務秘書の広澤さんから、准子が嫌がらせを受けていたのを知っている。他の秘書課の人間からも助けて貰えず、准子がたった1人で戦っていた事も。
なのに……
反論しようと口を開くも、その専務と広澤さんから詰め寄られ責められた准子は、顔を真っ青にしてその場に倒れ意識を失ってしまった。
「准!!」
と倒れた准子に駆け寄ろうとするも、
「翔太君!未奈がいるのに、准子さんに触らないでよ!!」
とヒステリックに叫んだ。
俺は倒れた准子を見下ろしたまま動けないでいると、騒ぎを聞きつけた副社長が走り込んで来たんだ。
「「ふっ、副社長!どうされたんですか?」」
と頬を染める広澤さんとは対照的に慌てる鈴木専務。
男の俺から見てもかっこいい男の副社長が現れた事で、未奈もぽっと頬を染めている。
だが、そんな俺達をガン無視の副社長は、床に倒れている准子を見つけ抱き起こした。
「准!准子!どうした?准。返事をしろ!」
と准子の頬をパシパシと叩いている。とそこへ、
「副社長。山下さんを医務室へお連れしましょう。」
と、副社長にとっては大学時代の先輩にあたる、秘書課課長の手塚課長がそう言った。
「あぁそうだな。俺が准子を運んで行くよ。」
「承知致しました、ご一緒致します。」
と言いながら、准子をお姫様抱っこした副社長と手塚課長が専務室を出ていく。とその時、副社長が准子を抱いたまま
「鈴木専務。後ほどどういう事が起こったのかお聞き致しますので……」
と眼光鋭く専務を睨みつけた。
「あの!副社長。わたくしは山下さんの教育係なんですの。ですのでわたくしも…「来なくて良い。准子の事は私達に任せて、貴女は仕事に戻って下さい。」は…はい。」
そう言って副社長はスタスタと歩き出した。それに続いて手塚課長も行くかと思ったのだが、
「あ~!君は確か沢木君とアシスタントの新村さんだったね?あなた方にも後程お話を聞かせて下さいね。」
と口元は笑っていながらも、目は全く笑っていない笑顔でそう言ってから、副社長を追いかけていった。
今度は残った俺達が、准子と同じ様に真っ青な顔になっていたんだ。
「くっそ!何故だ!なんで連絡が出来ない?」
俺─沢木翔太─は、何度かけても繋がらない電話に苛立っていた。
思い出すのは昨日の事。
俺は専務室に呼ばれ、未奈が俺の子を妊娠していると聞かされた。そして鈴木専務から責任を取れとも。
どうしたらこの場をのりきる事が出来るか?と考えていると、未奈が准子に
「山下さん。翔太君をどうか開放してやって下さい。縛り付けないであげて欲しいんです。翔太君いつも言ってました。『准子の束縛が酷くて辛い』って……。翔太君を好きなら、彼を自由にさせてあげて欲しいんです。お願いします!」
と言い放った。
俺は勿論そんな事を言った覚えは一度もないが、
「頼む、准子。俺をもう開放してくれ。頼むよ!」
と気づいた時にはそう言っていたんだ。
俺は秘書課で、鈴木専務と第1専務秘書の広澤さんから、准子が嫌がらせを受けていたのを知っている。他の秘書課の人間からも助けて貰えず、准子がたった1人で戦っていた事も。
なのに……
反論しようと口を開くも、その専務と広澤さんから詰め寄られ責められた准子は、顔を真っ青にしてその場に倒れ意識を失ってしまった。
「准!!」
と倒れた准子に駆け寄ろうとするも、
「翔太君!未奈がいるのに、准子さんに触らないでよ!!」
とヒステリックに叫んだ。
俺は倒れた准子を見下ろしたまま動けないでいると、騒ぎを聞きつけた副社長が走り込んで来たんだ。
「「ふっ、副社長!どうされたんですか?」」
と頬を染める広澤さんとは対照的に慌てる鈴木専務。
男の俺から見てもかっこいい男の副社長が現れた事で、未奈もぽっと頬を染めている。
だが、そんな俺達をガン無視の副社長は、床に倒れている准子を見つけ抱き起こした。
「准!准子!どうした?准。返事をしろ!」
と准子の頬をパシパシと叩いている。とそこへ、
「副社長。山下さんを医務室へお連れしましょう。」
と、副社長にとっては大学時代の先輩にあたる、秘書課課長の手塚課長がそう言った。
「あぁそうだな。俺が准子を運んで行くよ。」
「承知致しました、ご一緒致します。」
と言いながら、准子をお姫様抱っこした副社長と手塚課長が専務室を出ていく。とその時、副社長が准子を抱いたまま
「鈴木専務。後ほどどういう事が起こったのかお聞き致しますので……」
と眼光鋭く専務を睨みつけた。
「あの!副社長。わたくしは山下さんの教育係なんですの。ですのでわたくしも…「来なくて良い。准子の事は私達に任せて、貴女は仕事に戻って下さい。」は…はい。」
そう言って副社長はスタスタと歩き出した。それに続いて手塚課長も行くかと思ったのだが、
「あ~!君は確か沢木君とアシスタントの新村さんだったね?あなた方にも後程お話を聞かせて下さいね。」
と口元は笑っていながらも、目は全く笑っていない笑顔でそう言ってから、副社長を追いかけていった。
今度は残った俺達が、准子と同じ様に真っ青な顔になっていたんだ。
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