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第四章 留学
第三話 渡米前日1
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姫菜子達の話があったその日の昼休み。
いつものように、姫菜子・菫香・玲音と龍輝の4人でランチを終え、思い思いの時間を過ごしていると、菫香が突然
「ね?姫菜。明日のお昼って空いてる?」
と話し始めた。
「空いてるけど…突然どうしたの?」
と尋ねる姫菜子に、菫香は
「ジャジャーン!」
と言いながら、姫菜子に自身のスマホの画面を見せた。
そこには、『姫菜子の送別会を実施する許可を得た』と書かれていたのだ。
「何?これは」
と首を傾げて菫香に問う姫菜子に、
「ママからのメール、皆んなに送るね~。」
と返事なのか?スルーだったのか?どちらなのか分からない返事が返ってきた。とほぼ同時に、姫菜子・玲音・龍輝のスマホがメッセージを受信したという通知音を響かせたのだ。
《姫菜子&龍輝 送別会》
日時 〇月△日 11:00~
場所 櫻井柊邸
「え?これ本当なの?」
「俺も行っていいの?」
姫菜子と龍輝が殆ど同時に言ったので、菫香は苦笑いをした。
「あんた達、息ぴったりじゃないの。」
そう言われた2人は顔を見合せると、
「そうかしら?」
「そうなのか?」
とまた2人同時に言った事で、今度は玲音が大笑いしたのだった。
「あんた達が仲良しだって事はよく分かったわよ。で?勿論参加よね?」
「私、菫のママのお爺様のお家を知らないんだけど…」
「大丈夫よ。パパがお迎えに行ってくれると思うわ。」
「じゃ、俺は?どうしたらいいんだ?」
「龍輝は…そうね……。貴方、姫菜の家は知ってるわよね?」
「勿論さ。」
「だったら、姫菜の家に10:30には居て頂戴。一緒に乗せて貰うようにパパに言っておくわ。」
「了解!」
姫菜子と龍輝は早速スマホにスケジュールを打ち込んでいた。
それを見ていた玲音が、
「姫菜子、吹っ切れたのか?アイツの事を。」
と菫香の耳元に口を寄せ、小さな声で聞いていた。
「だといいけどね。違うと思うわ。」
「だよなぁ。ったくあの馬鹿野郎。早く元の旭陽に戻れよな。龍輝にかっ拐われられるぞ。」
そう言って、此処には居ない友達を思い目を伏せる玲音の肩に頭を乗せる菫香。
菫香と玲音は、姫菜子が旭陽を忘れられないでいる事を分かっていた。
ただ1つ不思議だったのは、旭陽は極偶にではあったが、クラスメイト達と楽しそうに話す姫菜子を見て優しく微笑んでいたかと思うと、次の瞬間頭を抱え苦しそうな顔をする。
そしてその後の旭陽は、姫菜子の存在を無視するかのような目付きになるのだ。
それはまるで、強烈な暗示にかかっているのでは?と思える程、瞬時にスイッチが切り替わる。
玲音は言った。
「菫香。櫻井記念病院に、優秀な心療内科医か精神科医はいないのか?」
玲音の肩から頭を上げた菫香は、玲音を見つめながら、
「え?心療内科医?精神科医?どうして?」
「ん~。なんとなくなんだけどさ。旭陽を診て貰おうかと思ってさ。」
「旭陽がおかしくなったのは、あの女が絡んできてからよね?あの女が旭陽に何かしたって考えるのは普通かも……。」
「だろ?だからさ。」
「分かったわ。お爺様に相談してみるわね。」
そう言う菫香の額にキスを落とす玲音。
そんな玲音に微笑むと、菫香は龍輝にからかわれて笑う姫菜子を見ながら、祖父の櫻井柊に電話をかけたのだった。
いつものように、姫菜子・菫香・玲音と龍輝の4人でランチを終え、思い思いの時間を過ごしていると、菫香が突然
「ね?姫菜。明日のお昼って空いてる?」
と話し始めた。
「空いてるけど…突然どうしたの?」
と尋ねる姫菜子に、菫香は
「ジャジャーン!」
と言いながら、姫菜子に自身のスマホの画面を見せた。
そこには、『姫菜子の送別会を実施する許可を得た』と書かれていたのだ。
「何?これは」
と首を傾げて菫香に問う姫菜子に、
「ママからのメール、皆んなに送るね~。」
と返事なのか?スルーだったのか?どちらなのか分からない返事が返ってきた。とほぼ同時に、姫菜子・玲音・龍輝のスマホがメッセージを受信したという通知音を響かせたのだ。
《姫菜子&龍輝 送別会》
日時 〇月△日 11:00~
場所 櫻井柊邸
「え?これ本当なの?」
「俺も行っていいの?」
姫菜子と龍輝が殆ど同時に言ったので、菫香は苦笑いをした。
「あんた達、息ぴったりじゃないの。」
そう言われた2人は顔を見合せると、
「そうかしら?」
「そうなのか?」
とまた2人同時に言った事で、今度は玲音が大笑いしたのだった。
「あんた達が仲良しだって事はよく分かったわよ。で?勿論参加よね?」
「私、菫のママのお爺様のお家を知らないんだけど…」
「大丈夫よ。パパがお迎えに行ってくれると思うわ。」
「じゃ、俺は?どうしたらいいんだ?」
「龍輝は…そうね……。貴方、姫菜の家は知ってるわよね?」
「勿論さ。」
「だったら、姫菜の家に10:30には居て頂戴。一緒に乗せて貰うようにパパに言っておくわ。」
「了解!」
姫菜子と龍輝は早速スマホにスケジュールを打ち込んでいた。
それを見ていた玲音が、
「姫菜子、吹っ切れたのか?アイツの事を。」
と菫香の耳元に口を寄せ、小さな声で聞いていた。
「だといいけどね。違うと思うわ。」
「だよなぁ。ったくあの馬鹿野郎。早く元の旭陽に戻れよな。龍輝にかっ拐われられるぞ。」
そう言って、此処には居ない友達を思い目を伏せる玲音の肩に頭を乗せる菫香。
菫香と玲音は、姫菜子が旭陽を忘れられないでいる事を分かっていた。
ただ1つ不思議だったのは、旭陽は極偶にではあったが、クラスメイト達と楽しそうに話す姫菜子を見て優しく微笑んでいたかと思うと、次の瞬間頭を抱え苦しそうな顔をする。
そしてその後の旭陽は、姫菜子の存在を無視するかのような目付きになるのだ。
それはまるで、強烈な暗示にかかっているのでは?と思える程、瞬時にスイッチが切り替わる。
玲音は言った。
「菫香。櫻井記念病院に、優秀な心療内科医か精神科医はいないのか?」
玲音の肩から頭を上げた菫香は、玲音を見つめながら、
「え?心療内科医?精神科医?どうして?」
「ん~。なんとなくなんだけどさ。旭陽を診て貰おうかと思ってさ。」
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「だろ?だからさ。」
「分かったわ。お爺様に相談してみるわね。」
そう言う菫香の額にキスを落とす玲音。
そんな玲音に微笑むと、菫香は龍輝にからかわれて笑う姫菜子を見ながら、祖父の櫻井柊に電話をかけたのだった。
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