44 / 56
第三章 逆行~中学 高校~
第二十二話 前の生とは違う姫菜子
しおりを挟む
龍輝の父親 博龍に会ったその晩の事。
姫菜子は、慎也にスクールに陽子が現れ絡んで来た事、それを回避する為龍輝が機転を効かせてくれた事、龍輝の父親に会って以前話した事がある留学のサポートを申し出てくれた事を話した。
「そうか…。その女、旭陽君を取り込んだんだね。」
「そうみたい。」
「どうやら姫菜の夢のとおりになりそうだ。相手は祥太郎君ではないようだが。」
「う、ん。」
「大丈夫だよ、姫菜。姫菜の事は僕が守るからね。それからその張さんの事なんだけど。僕に会いたいって言ってたんだね?」
「えぇ。そう仰っていたわ。」
「分かった。一度会って話をしてみよう。連絡先を聞いているかい?」
「うん。お名刺を頂いたわ。これよ。」
そう言って真也に博龍から貰った名刺を差し出した。
慎也は早速博龍に連絡をし、面会のアポイントメントを取り付けた。
「来週の金曜日、夕食を取りながら話をする事になったよ。姫菜子にも同席して欲しいと言われたけど、大丈夫かな?」
「うん。大丈夫よ。」
*☼*―――――*☼*―――――*☼*
陽子はあれから何度もストーカーの様にスクールに現れる様になった。
陽子は旭陽にしがみつき姫菜子に見せつけようとするも、いつでも姫菜子の隣りにいて、常に彼女をガードする様に立ちはだかる背の高い龍輝や玲音のおかげで、姫菜子は陽子の毒牙に晒される事は無かった。
逆に陽子はイラついていた。
折角前の生の時と同じ様に、姫菜子が好きな男を奪い、姫菜子の友達や大事な物をも奪い取ってやろうとしているのに、一向に姫菜子に近づけないばかりか、姫菜子自身が旭陽を取られても悔しがったり寂しがったりする様子が見られないからだ。
「一体どういうこと?なんでなのよ!」
姫菜子達が楽しそうに話しながら陽子と旭陽の隣りを通り、止まっている黒塗りのリムジンに乗り込む姿を見てギリギリと爪を噛む陽子。
「陽子さん?」
心配そうに陽子の顔を見る旭陽の事等、まるで眼中に無い様だ。
「前は上手くいったのに!有り得ない!」
と苛苛しながら帰っていく陽子を、旭陽は寂しそうな表情で見送っていた。
そして今夜。
慎也は姫菜子を連れ、博龍と会食をする事になっている。
18歳になった姫菜子の身長は、亡くなった菜摘美と同じ位に伸び、大人の女性の色気まで出てきていた。
前の生では、ただただ『世間を知らないお嬢様』だったのに、今回の生での経験等で、姫菜子はただのお嬢様では無くなっていたのだ。
菜摘美のドレスを着た姫菜子の姿を見た慎也は、
「菜摘美」
と思わず言ってしまった位、姫菜子は菜摘美そっくりになっていた。
「それは菜摘美のドレスだね。とても良く似合ってるよ。流石、僕達のお姫様だ。」
そう言って目を細める慎也に、姫菜子はこのドレスを選んで良かったと思うのだった。
「さぁ!行こうか。お姫様。」
と慎也は姫菜子に手を差し出した。
その手を取った姫菜子はニッコリと微笑むと、
「はい!パパ。」
と言って迎えに来た張家のリムジンに乗り込むのだった。
姫菜子は、慎也にスクールに陽子が現れ絡んで来た事、それを回避する為龍輝が機転を効かせてくれた事、龍輝の父親に会って以前話した事がある留学のサポートを申し出てくれた事を話した。
「そうか…。その女、旭陽君を取り込んだんだね。」
「そうみたい。」
「どうやら姫菜の夢のとおりになりそうだ。相手は祥太郎君ではないようだが。」
「う、ん。」
「大丈夫だよ、姫菜。姫菜の事は僕が守るからね。それからその張さんの事なんだけど。僕に会いたいって言ってたんだね?」
「えぇ。そう仰っていたわ。」
「分かった。一度会って話をしてみよう。連絡先を聞いているかい?」
「うん。お名刺を頂いたわ。これよ。」
そう言って真也に博龍から貰った名刺を差し出した。
慎也は早速博龍に連絡をし、面会のアポイントメントを取り付けた。
「来週の金曜日、夕食を取りながら話をする事になったよ。姫菜子にも同席して欲しいと言われたけど、大丈夫かな?」
「うん。大丈夫よ。」
*☼*―――――*☼*―――――*☼*
陽子はあれから何度もストーカーの様にスクールに現れる様になった。
陽子は旭陽にしがみつき姫菜子に見せつけようとするも、いつでも姫菜子の隣りにいて、常に彼女をガードする様に立ちはだかる背の高い龍輝や玲音のおかげで、姫菜子は陽子の毒牙に晒される事は無かった。
逆に陽子はイラついていた。
折角前の生の時と同じ様に、姫菜子が好きな男を奪い、姫菜子の友達や大事な物をも奪い取ってやろうとしているのに、一向に姫菜子に近づけないばかりか、姫菜子自身が旭陽を取られても悔しがったり寂しがったりする様子が見られないからだ。
「一体どういうこと?なんでなのよ!」
姫菜子達が楽しそうに話しながら陽子と旭陽の隣りを通り、止まっている黒塗りのリムジンに乗り込む姿を見てギリギリと爪を噛む陽子。
「陽子さん?」
心配そうに陽子の顔を見る旭陽の事等、まるで眼中に無い様だ。
「前は上手くいったのに!有り得ない!」
と苛苛しながら帰っていく陽子を、旭陽は寂しそうな表情で見送っていた。
そして今夜。
慎也は姫菜子を連れ、博龍と会食をする事になっている。
18歳になった姫菜子の身長は、亡くなった菜摘美と同じ位に伸び、大人の女性の色気まで出てきていた。
前の生では、ただただ『世間を知らないお嬢様』だったのに、今回の生での経験等で、姫菜子はただのお嬢様では無くなっていたのだ。
菜摘美のドレスを着た姫菜子の姿を見た慎也は、
「菜摘美」
と思わず言ってしまった位、姫菜子は菜摘美そっくりになっていた。
「それは菜摘美のドレスだね。とても良く似合ってるよ。流石、僕達のお姫様だ。」
そう言って目を細める慎也に、姫菜子はこのドレスを選んで良かったと思うのだった。
「さぁ!行こうか。お姫様。」
と慎也は姫菜子に手を差し出した。
その手を取った姫菜子はニッコリと微笑むと、
「はい!パパ。」
と言って迎えに来た張家のリムジンに乗り込むのだった。
1
お気に入りに追加
654
あなたにおすすめの小説
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる