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第三章 逆行~中学 高校~

第二十二話 前の生とは違う姫菜子

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龍輝の父親 博龍に会ったその晩の事。

姫菜子は、慎也にスクールに陽子が現れ絡んで来た事、それを回避する為龍輝が機転を効かせてくれた事、龍輝の父親に会って以前話した事がある留学のサポートを申し出てくれた事を話した。

「そうか…。その女、旭陽君を取り込んだんだね。」

「そうみたい。」

「どうやら姫菜の夢のとおりになりそうだ。相手は祥太郎君ではないようだが。」

「う、ん。」

「大丈夫だよ、姫菜。姫菜の事は僕が守るからね。それからその張さんの事なんだけど。僕に会いたいって言ってたんだね?」

「えぇ。そう仰っていたわ。」

「分かった。一度会って話をしてみよう。連絡先を聞いているかい?」

「うん。お名刺を頂いたわ。これよ。」

そう言って真也に博龍から貰った名刺を差し出した。

慎也は早速博龍に連絡をし、面会のアポイントメントを取り付けた。

「来週の金曜日、夕食を取りながら話をする事になったよ。姫菜子にも同席して欲しいと言われたけど、大丈夫かな?」

「うん。大丈夫よ。」

*☼*―――――*☼*―――――*☼*

陽子はあれから何度もストーカーの様にスクールに現れる様になった。

陽子は旭陽にしがみつき姫菜子に見せつけようとするも、いつでも姫菜子の隣りにいて、常に彼女をガードする様に立ちはだかる背の高い龍輝や玲音のおかげで、姫菜子は陽子の毒牙に晒される事は無かった。

逆に陽子はイラついていた。
折角前の生の時と同じ様に、姫菜子が好きな男を奪い、姫菜子の友達や大事な物をも奪い取ってやろうとしているのに、一向に姫菜子に近づけないばかりか、姫菜子自身が旭陽を取られても悔しがったり寂しがったりする様子が見られないからだ。

「一体どういうこと?なんでなのよ!」

姫菜子達が楽しそうに話しながら陽子と旭陽の隣りを通り、止まっている黒塗りのリムジンに乗り込む姿を見てギリギリと爪を噛む陽子。

「陽子さん?」

心配そうに陽子の顔を見る旭陽の事等、まるで眼中に無い様だ。

「前は上手くいったのに!有り得ない!」

と苛苛しながら帰っていく陽子を、旭陽は寂しそうな表情で見送っていた。


そして今夜。
慎也は姫菜子を連れ、博龍と会食をする事になっている。

18歳になった姫菜子の身長は、亡くなった菜摘美と同じ位に伸び、大人の女性の色気まで出てきていた。

前の生では、ただただ『世間を知らないお嬢様』だったのに、今回の生での経験等で、姫菜子はただのお嬢様では無くなっていたのだ。

菜摘美のドレスを着た姫菜子の姿を見た慎也は、

「菜摘美」

と思わず言ってしまった位、姫菜子は菜摘美そっくりになっていた。

「それは菜摘美のドレスだね。とても良く似合ってるよ。流石、僕達のお姫様だ。」

そう言って目を細める慎也に、姫菜子はこのドレスを選んで良かったと思うのだった。

「さぁ!行こうか。お姫様。」

と慎也は姫菜子に手を差し出した。

その手を取った姫菜子はニッコリと微笑むと、

「はい!パパ。」

と言って迎えに来た張家のリムジンに乗り込むのだった。
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