誰にも奪わせない 〜ボロ雑巾の様に捨てられた令嬢の復讐~

Saeko

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第三章 逆行~中学 高校~

第二十二話 龍輝の父 2

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「お話中すみません。ねぇ、龍輝。いい加減私達にも分かる言葉で話してくれない?」

龍輝達の会話が途切れた瞬間を狙って口火を切ったのは菫香だった。

「あ!ごめんごめん。紹介するよ。俺の父 張 博龍だよ。父さん。此方から、香住姫菜子さん。連城菫香さん。濱田玲音さんだよ。菫香は、連城弁護士の娘さん。玲音は、さくら濱銀行の副頭取の息子さんだ。」

「初めまして。私、龍輝の父 博龍と申します。いつも愚息がお世話になっております。」

「香住姫菜子です。宜しくお願い致します。」
「連城菫香です。いつも龍輝にはお世話になってます。」

「濱田玲音です。菫香とは幼馴染みです。宜しくお願いします。」

立ち上がり、それぞれが博龍から求められた握手に応えながら自己紹介をした。

「早速ですが、ビジネスのお話を致しましょう。どうぞおかけ下さい。」

と、とても流暢な日本語で話す博龍は、温厚そうな笑みを浮かべ、姫菜子に話しかけた。

「ビジネス…ですか?」

「はい。息子から、姫菜子さんは、将来お父様の跡を継ぎたい思っていると聞きました。違いますか?」

「はい。」

「その為に、語学留学をしたい。ゆくゆくは、アメリカの大学でMBAを取得したいとお考えですよね?」

「はい。よくご存じですね?」

「よく、ビジネス雑誌とか経済本とか読んでただろ?伊達に姫菜子を見てただけじゃないよ。」

そう言って姫菜子にウィンクする龍輝。

菫香と玲音は、
(旭陽が居なくなったからって、猛チャージかけ始めたんだ。)
とお互いの顔を見て、無言で頷き合う。

「それがどうビジネスと繋がるのでしょう?」

「私共は、これから日本で会社を大きくしていきたいと考えております。それには日本の企業との結び付きも大事になるでしょう。貴女のお父様の会社と懇意になれたらと考えております。ですので、貴女の留学のサポートを、私共で全面的にさせて頂きたいのです。」

「それで、父に恩を売ろうと?」

「私は投資家でもあります。貴女の将来を見込んで、先行投資をさせて頂きたいと。」

「暴落して、元本割れするかもしれませんよ?」

姫菜子の言葉に、博龍は声を上げて笑った。

『なかなか気の強いお嬢さんだ。実に気に入ったよ。』

『だろ?』

『お前も一緒に行け!そして必ず落としてこい!』

『了解!』

博龍親子はそっくりな笑みを浮かべると、

「この件につきましては、一度貴女のお父様とお話させて頂きたい。どうかその機会を頂ける様、お父様にお話下さいませんか?」

確かに父に話さないといけないだろうと思った。が、龍輝にMBAを取りたいと考えていた事を気づかれていたとは思ってもみなかった為正直焦った。

(龍輝……侮れない男だわ。)

姫菜子はそう思いながら、

「わかりました。持ち帰り、父に話をしてみます。」

「ありがとうございます、姫菜子さん。」

と博龍は綺麗で不敵な笑みを浮かべた。
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