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第三章 逆行~中学 高校~
第二十一話 龍輝の父 1
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龍輝の父 博龍は元香港マフィアの父を持ち、自身は貿易商を営んでいる。
リムジンが停まった場所は、都内のオフィス街の一角だ。
予め話が行っていたのだろう。
龍輝はガードマンに止められる事無く、すんなりと社屋ビルの中に入っていった。
勿論、姫菜子達もその後に続いた。
博龍がいる社長室は、ビルの最上階である12階にあった。
龍輝を迎えに来た男が、まるで任侠映画に出てくる男のようだった為、きっと"や"から始まるお仕事をされているみたいな男が龍輝の父親だろうと勝手に想像していた姫菜子達は、このまま外国へ売り飛ばされたらどうしよう!と内心怯えていた。
姫菜子達がそんな事を考えている等微塵も思っていない龍輝は、父親に自分の好きな女を紹介出来ると意気揚々だった。
幸いな事に、最大のライバルだった旭陽は今、姫菜子に嫌われている。
チャンスは今しかない!
いつも「ビジネスチャンスを逃すな。」と父親から言われている龍輝は、これを機に一気に攻め込む気満々なのだ。
エレベーターを降り、迎えてくれた男性秘書の後について入った応接室で待っていると、黒髪を後ろに流し、細身の長身で黒の三つ揃いのスーツをビシッと着こなした、細い銀縁眼鏡のインテリジェンスな紳士が入って来たのだ。
(以下 中国語でのやり取りとしてお読み下さい。『』で記載致します。)
『忙しい中時間を作ってくれてありがとう、父さん。』
『この娘が例のお前が狙っている女性なんだな?』
『あぁ、そうだよ。可愛いだろ?』
『美人だな。将来が楽しみだ。』
『だろ?』
『で?本題は?』
『前に話しただろ?留学の件だ。姫菜子も一緒に行かせたい。姫菜子の父親は観光事業や公共施設建設等、国内外で幅広いビジネスを展開しているんだ。聞いた事あるだろ?【香住コーポレーション】。』
『香住?あの香住の娘だと?』
『そうだよ。姫菜子は香住コーポレーションの一人娘なんだ。香住と仕事が出来ればウチももっと大きくなれるだろ?』
『お前の言うとおりだ。流石俺の息子だな。いい女を連れて来たものだ。』
中国語で繰り広げられている親子の会話を、ただ聞いているだけの姫菜子達は、スクールで陽子から離れるだけの口実だと思い、龍輝の言葉に乗っただけだと思っていたのだが、どうやらそうでは無かったという事がやっと分かってきた。
それは、早口で繰り広げられている会話の中に、『姫菜子』『香住』と、明らかに日本語であろう言葉が聞き取れたからだった。
(龍輝は何を考えているのかしら?)
姫菜子は、一抹の不安を抱えながらも、龍輝達の会話が終わるのをじっとまっていた
リムジンが停まった場所は、都内のオフィス街の一角だ。
予め話が行っていたのだろう。
龍輝はガードマンに止められる事無く、すんなりと社屋ビルの中に入っていった。
勿論、姫菜子達もその後に続いた。
博龍がいる社長室は、ビルの最上階である12階にあった。
龍輝を迎えに来た男が、まるで任侠映画に出てくる男のようだった為、きっと"や"から始まるお仕事をされているみたいな男が龍輝の父親だろうと勝手に想像していた姫菜子達は、このまま外国へ売り飛ばされたらどうしよう!と内心怯えていた。
姫菜子達がそんな事を考えている等微塵も思っていない龍輝は、父親に自分の好きな女を紹介出来ると意気揚々だった。
幸いな事に、最大のライバルだった旭陽は今、姫菜子に嫌われている。
チャンスは今しかない!
いつも「ビジネスチャンスを逃すな。」と父親から言われている龍輝は、これを機に一気に攻め込む気満々なのだ。
エレベーターを降り、迎えてくれた男性秘書の後について入った応接室で待っていると、黒髪を後ろに流し、細身の長身で黒の三つ揃いのスーツをビシッと着こなした、細い銀縁眼鏡のインテリジェンスな紳士が入って来たのだ。
(以下 中国語でのやり取りとしてお読み下さい。『』で記載致します。)
『忙しい中時間を作ってくれてありがとう、父さん。』
『この娘が例のお前が狙っている女性なんだな?』
『あぁ、そうだよ。可愛いだろ?』
『美人だな。将来が楽しみだ。』
『だろ?』
『で?本題は?』
『前に話しただろ?留学の件だ。姫菜子も一緒に行かせたい。姫菜子の父親は観光事業や公共施設建設等、国内外で幅広いビジネスを展開しているんだ。聞いた事あるだろ?【香住コーポレーション】。』
『香住?あの香住の娘だと?』
『そうだよ。姫菜子は香住コーポレーションの一人娘なんだ。香住と仕事が出来ればウチももっと大きくなれるだろ?』
『お前の言うとおりだ。流石俺の息子だな。いい女を連れて来たものだ。』
中国語で繰り広げられている親子の会話を、ただ聞いているだけの姫菜子達は、スクールで陽子から離れるだけの口実だと思い、龍輝の言葉に乗っただけだと思っていたのだが、どうやらそうでは無かったという事がやっと分かってきた。
それは、早口で繰り広げられている会話の中に、『姫菜子』『香住』と、明らかに日本語であろう言葉が聞き取れたからだった。
(龍輝は何を考えているのかしら?)
姫菜子は、一抹の不安を抱えながらも、龍輝達の会話が終わるのをじっとまっていた
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