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第三章 逆行~中学 高校~
閑話7 18歳のメイド 2
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その音を聞きつけた陽子の母 美子は、陽子の足元で粉々になった鉢を見て絶句した。
「あんた、なんて事してくれたんだい!!これは愛美お嬢様が大切になさっていた鉢なんだよ?しかも、当時ご婚約者でいらした矢幡様からの贈り物で、職人が作った一点物なんだ。それをあんたは。今すぐお嬢様の所へ行って誠心誠意謝ってくるんだね!」
そう言って美子は、
「なんだい、なんだい。今朝起きてからずっとおかしいままじゃないか。悪いもんでも食べたのかね?はぁ…バカ娘が壊したんだから、母親のあたしが弁償するんだろうな。はぁ……折角次のお給金で温泉にでも行こうってあの人と話していたのに…はぁ……」
とぶつぶつ言いながら、陽子を残して立ち去っていった。
すると教育係の女が陽子の前に来て、
『お嬢様の大切な鉢を壊したと美子さんから聞きました。今すぐお嬢様に謝ってきなさい。』
と書いた紙を出してきた。
「分かったわよ!行ってくりゃいいんでしょ?」
そう言って陽子はズカズカと歩くと、愛美の前に立ち、
「大事な鉢を誤って壊してしまいました~。すいませ~ん。」
と巫山戯た謝罪をした為、愛美に左頬をぶたれてしまった。
「貴女ね!悪い事をしたと思ったのなら、それ相応の謝り方があるでしょ?ったく。美子さんは働き者でとても感じのいい方なのに、貴女は本当に使えないわね。あの鉢代は、貴女の給料から差し引くようお父様に言っておくわ!とっとと持ち場に付きなさい!」
愛美に打たれた頬を擦りながら持ち場につこうと歩きだした陽子。
(そういえば、祥太郎はどうしたのかしら?)とキョロキョロと目を動かし、祥太郎を探した。が、陽子の目に入って来たのは別の人物。
慎也に付き添われて歩く姫菜子がいた。
(あれは、姫菜子!と、慎也だわ。そうか!アタシは生き返ったんじゃなくて、アタシを可哀想に思った神様だかなんだかが『人生をやり直してみなさい』とかで、18歳に戻してくれたんだわ。)
陽子はにんまり笑うと、姫菜子の方へ向かって歩き出した。が、直ぐまた足を止めた。
姫菜子の前に愛美が洸矢と一緒に立ったからだ。
(姫菜子の前に出るのは今じゃないわね。でも見てらっしゃい、姫菜子。今回は失敗しないわ。神様がくれたこのチャンスを無駄にしないで、今度こそ全て奪ってあ・げ・る。)
陽子はまた踵を返してサンルームの方へ戻った。
頭の中で、どうやって香住の家に入り込むか?作戦をねりながら
「あんた、なんて事してくれたんだい!!これは愛美お嬢様が大切になさっていた鉢なんだよ?しかも、当時ご婚約者でいらした矢幡様からの贈り物で、職人が作った一点物なんだ。それをあんたは。今すぐお嬢様の所へ行って誠心誠意謝ってくるんだね!」
そう言って美子は、
「なんだい、なんだい。今朝起きてからずっとおかしいままじゃないか。悪いもんでも食べたのかね?はぁ…バカ娘が壊したんだから、母親のあたしが弁償するんだろうな。はぁ……折角次のお給金で温泉にでも行こうってあの人と話していたのに…はぁ……」
とぶつぶつ言いながら、陽子を残して立ち去っていった。
すると教育係の女が陽子の前に来て、
『お嬢様の大切な鉢を壊したと美子さんから聞きました。今すぐお嬢様に謝ってきなさい。』
と書いた紙を出してきた。
「分かったわよ!行ってくりゃいいんでしょ?」
そう言って陽子はズカズカと歩くと、愛美の前に立ち、
「大事な鉢を誤って壊してしまいました~。すいませ~ん。」
と巫山戯た謝罪をした為、愛美に左頬をぶたれてしまった。
「貴女ね!悪い事をしたと思ったのなら、それ相応の謝り方があるでしょ?ったく。美子さんは働き者でとても感じのいい方なのに、貴女は本当に使えないわね。あの鉢代は、貴女の給料から差し引くようお父様に言っておくわ!とっとと持ち場に付きなさい!」
愛美に打たれた頬を擦りながら持ち場につこうと歩きだした陽子。
(そういえば、祥太郎はどうしたのかしら?)とキョロキョロと目を動かし、祥太郎を探した。が、陽子の目に入って来たのは別の人物。
慎也に付き添われて歩く姫菜子がいた。
(あれは、姫菜子!と、慎也だわ。そうか!アタシは生き返ったんじゃなくて、アタシを可哀想に思った神様だかなんだかが『人生をやり直してみなさい』とかで、18歳に戻してくれたんだわ。)
陽子はにんまり笑うと、姫菜子の方へ向かって歩き出した。が、直ぐまた足を止めた。
姫菜子の前に愛美が洸矢と一緒に立ったからだ。
(姫菜子の前に出るのは今じゃないわね。でも見てらっしゃい、姫菜子。今回は失敗しないわ。神様がくれたこのチャンスを無駄にしないで、今度こそ全て奪ってあ・げ・る。)
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頭の中で、どうやって香住の家に入り込むか?作戦をねりながら
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