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第三章 逆行~中学 高校~
閑話6 18歳のメイド 1
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「陽子!ほら。早く起きなさい!」
(うっさいわね。やっと外に出られたんだから、少しくらい寝かせなさいよ。)
「いつまで寝てんだよ?この娘は。今日は坊っちゃまのお祝いパーティがあるんだから、忙しいってのにさ。」
(はぁ?坊っちゃま?)
「ほら!いつまで寝てんだい!とっとと起きな!!」
美子はそう言って陽子の布団を引っ張った。
「……!!さっむ!ちょっと!何してくれんのよ!」
「親に向かってその口のきき方はなんだい。ほら。忙しいんだからとっとと起きといで。」
陽子は目を開けて驚いた。
(は?此処は?見た事もない部屋だわ。てゆーか、アタシは昨日母親に殺されたはずよね?)
陽子は起き上がりグルっと辺りを見回した。
最期に見たボロ屋の壁とは違い、ベージュの壁紙が貼られた部屋。
作り付けの洋服ダンスと机。
よく見るとタンスには制服がかかっていた。
「ちょっと!何よ、この制服。」
「はぁ?あんたまだ寝ぼけてんのかい?冴島の旦那様のご好意で、坊っちゃまと同じ学園に入れてもらったの、忘れちまったのかい?」
「はぁ?学園て何よ。アタシは24歳な「朝っぱらから馬鹿言ってんじゃないよ!あんたはまだ18歳だろ?兎に角早く起きなさいよ。とっとと顔を洗っといで。そしたらコレを着て食堂へ来るんだよ?いいね?あ~忙しい、忙しい。」」
そう言って、美子は陽子にメイド服を投げつけると、パタパタと出て行った。
その姿を陽子は唖然として見ていた。
(アタシが18?どういう事よ。)
理由も分からずフラフラとベッドから降りると、陽子はタンスの鏡を見て驚いた。
拘置所から出た、疲れきって眉間に皺が深く刻まれた女では無く、キメの細かい綺麗な肌のJKの様な女がそこに写っていたからだ。
「は?アタシどうしちゃったの?まさか生き返った?」
陽子はパニックになり、部屋の中をウロウロと歩き回った。
すると、美子ではないメイド服姿の女性が部屋に来て、陽子に有無を言わさず半ば強引に支度をさせると、使用人の食堂まで連れて行き、陽子に食事を取らせた。
食事が終わると直ぐに陽子の手を引っ張って、南に面したサンルームに連れてきた。既に運び込まれていたテーブルを並べさせ、テーブルクロスをかけていくのを手伝わされる。
それ等が終わると、今度は厨房へ連れて行き、陽子に料理やスイーツをどんどん運ばせる。
どうやらその女は、口がきけないらしく、陽子への指示は全て筆談だった。
陽子はそんな女の指示に対して、何故か素直に聞いている。
どうやらその女は、陽子の教育係だった。
準備が終わった途端、わらわらと人が集まり、その中には、当主の冴島宗太郎と妻の順子、長男の亮太郎と婚約者の麻耶。
嫁いだ宗太郎の娘の愛美と夫の矢幡こ洸矢が、招待客にそれぞれ対応していた。
陽子は指導係の女の指示を聞き、飲み物の給仕をしたりと忙しなく動いていた。
それはある程度の期間、メイドという仕事に携わってきた動きだった。
(ちょっと待って?なんでアタシがメイドなんて仕事やってんよの。しかも18とかって一体なんなのよ!)
誰もいない場所へ移動した時、陽子は思わずそこにあった鉢を蹴飛ばした。
陶器で出来たその鉢は、ガチャン!と大きな音を立て木っ端微塵になった。
(うっさいわね。やっと外に出られたんだから、少しくらい寝かせなさいよ。)
「いつまで寝てんだよ?この娘は。今日は坊っちゃまのお祝いパーティがあるんだから、忙しいってのにさ。」
(はぁ?坊っちゃま?)
「ほら!いつまで寝てんだい!とっとと起きな!!」
美子はそう言って陽子の布団を引っ張った。
「……!!さっむ!ちょっと!何してくれんのよ!」
「親に向かってその口のきき方はなんだい。ほら。忙しいんだからとっとと起きといで。」
陽子は目を開けて驚いた。
(は?此処は?見た事もない部屋だわ。てゆーか、アタシは昨日母親に殺されたはずよね?)
陽子は起き上がりグルっと辺りを見回した。
最期に見たボロ屋の壁とは違い、ベージュの壁紙が貼られた部屋。
作り付けの洋服ダンスと机。
よく見るとタンスには制服がかかっていた。
「ちょっと!何よ、この制服。」
「はぁ?あんたまだ寝ぼけてんのかい?冴島の旦那様のご好意で、坊っちゃまと同じ学園に入れてもらったの、忘れちまったのかい?」
「はぁ?学園て何よ。アタシは24歳な「朝っぱらから馬鹿言ってんじゃないよ!あんたはまだ18歳だろ?兎に角早く起きなさいよ。とっとと顔を洗っといで。そしたらコレを着て食堂へ来るんだよ?いいね?あ~忙しい、忙しい。」」
そう言って、美子は陽子にメイド服を投げつけると、パタパタと出て行った。
その姿を陽子は唖然として見ていた。
(アタシが18?どういう事よ。)
理由も分からずフラフラとベッドから降りると、陽子はタンスの鏡を見て驚いた。
拘置所から出た、疲れきって眉間に皺が深く刻まれた女では無く、キメの細かい綺麗な肌のJKの様な女がそこに写っていたからだ。
「は?アタシどうしちゃったの?まさか生き返った?」
陽子はパニックになり、部屋の中をウロウロと歩き回った。
すると、美子ではないメイド服姿の女性が部屋に来て、陽子に有無を言わさず半ば強引に支度をさせると、使用人の食堂まで連れて行き、陽子に食事を取らせた。
食事が終わると直ぐに陽子の手を引っ張って、南に面したサンルームに連れてきた。既に運び込まれていたテーブルを並べさせ、テーブルクロスをかけていくのを手伝わされる。
それ等が終わると、今度は厨房へ連れて行き、陽子に料理やスイーツをどんどん運ばせる。
どうやらその女は、口がきけないらしく、陽子への指示は全て筆談だった。
陽子はそんな女の指示に対して、何故か素直に聞いている。
どうやらその女は、陽子の教育係だった。
準備が終わった途端、わらわらと人が集まり、その中には、当主の冴島宗太郎と妻の順子、長男の亮太郎と婚約者の麻耶。
嫁いだ宗太郎の娘の愛美と夫の矢幡こ洸矢が、招待客にそれぞれ対応していた。
陽子は指導係の女の指示を聞き、飲み物の給仕をしたりと忙しなく動いていた。
それはある程度の期間、メイドという仕事に携わってきた動きだった。
(ちょっと待って?なんでアタシがメイドなんて仕事やってんよの。しかも18とかって一体なんなのよ!)
誰もいない場所へ移動した時、陽子は思わずそこにあった鉢を蹴飛ばした。
陶器で出来たその鉢は、ガチャン!と大きな音を立て木っ端微塵になった。
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