誰にも奪わせない 〜ボロ雑巾の様に捨てられた令嬢の復讐~

Saeko

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第三章 逆行~中学 高校~

閑話4 美子の復讐

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陽子に言われ渋々コルク栓を抜いた状態のワインボトルを持ってきた美子。
陽子にグラスとワインボトルを差し出すと、それをひったくる様にして奪い取り、グラスへと注ぐ。

「ふぅ~。美味しいわ~。やっぱり私にはワインよね。」

と意味の分からない事を言い出す陽子に、美子が話を始めた。

「で?この後あんたはどうすんのさ?」

「どうするもこうするも無いわよ!どうせ執行猶予がつくだけなんだから、裁判終わったら奪い取った姫菜子の宝石売り飛ばして、海外へ逃げるわよ。」

「そんなに高価な物を……あんた香住のお屋敷で何してんのさ!」

「煩いわね!!姫菜子は死んだんだから、持ち主がいなくなった宝石位取ったって、香住家はどうにもならいわよ!」

「宝石は姫菜子お嬢様の亡くなったお母様の物もあるんだろ?」

「そうだけど、どっちも死んだんだからアタシのにしたって構わないでしょう?ってか大体あんたのその話し方。そんな風にいつまでも使用人口調が直んないから、いつまでも慎也に相手にされないのよ。ほんっと使えないんだから。」

そう言って美子を蔑みワインをぐびぐび飲む陽子だった。が、急激に眠気を感じる。

「やっと効いてきたようだね。あんたが飲んだそのワインには、睡眠薬が入ってたのさ。」

驚く陽子の顔を見た美子がにやりと笑う。

「あたしがなぁんにも知らないって思ってたのかい?ほんと、バカな娘だよ。あんたの父親そっくりさ。」

「…………」

「あんたは、あたしの男を身体を使ってそそのかし、あたしにバラされたくなきゃ言う事聞けと言って、嫌がるあの人に無理矢理お嬢様を誘拐させたんだろ?可哀想に。面会に行った時、あの人は泣いていたんだ。『すまない、美子。』って言ってね!あんたのせいで、あの人は前科者になっちまった!」

「…………く……そ…。」

「眠気にゃ勝てないだろ?大丈夫。そのまま寝ちまいな。あんたは、酒を飲みながら煙草を吸って、眠くなって寝てしまった。煙草が畳に落ちて一気に火が燃え広がって、家は全焼。あたしはあんたを助けようと家に戻ろうとするが、駆けつけた消防隊に止められて、あんたはそのまま死んじまうってシナリオさ。どうだい?上手く出来てるだろ?」

「そ、んな……さ、せな……。」

「あんたが奪った宝石は、香住の旦那様にお返ししといてやるよ。どうせいつもんとこに隠してあるんだろ?」

陽子は、大事な物を車のスペアタイヤが入っている場所に隠すくせがある。
借家の庭には、陽子の車がちゃんと置いてあるのだ。

「く…そ……ば……。」

「あぁ、そうそう。死ぬ前に良い事教えてやるよ。DNA鑑定に使ったあんたの髪の毛。あたしが直々に警察に提供したやったんだよ。『愚かな娘を罰してやって下さい。』ってね。あーはっはっは!ざまぁないね陽子。じゃあね、おやすみ。あたしの可愛い娘。永遠にね。」

そう言って美子は、火をつけた煙草を強引に陽子に咥えさせ、畳の上の座布団の上に落とした。

陽子は、既に意識が朦朧とする中、それでも必死で煙草を取ろうとするが、焦点が合わない為煙草が取れない。

やがて、座布団に火が燃え移り、綿がパチパチといいながら燃えだした。

(くそ!あのババァ。折角上手くいきそうだったのに……もし、生まれ変わることが出来たら…今度こそ……成功させてや……る。)


その後、美子が計画したとおり、家は全焼。
陽子は焼死体で見つかり、煙草の不始末での事故死とされた。

後日 美子は、陽子が盗んだ全ての宝石を香住家に届けた後、消息を絶ったのだった。
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