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第三章 逆行~中学 高校~
第五話 卒業証書授与式 1
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卒業式の日。
卒業証書を手にしたクラスメイト達が、担任教諭からの初等部最後の話を聞く為に、教室に入った。
「皆さん、ご卒業おめでとうございます。春から殆どの皆さんは、中等部へ進学となりますが、香住姫菜子さんは違う中学へ行くことになりました。」
「「「え?姫菜子さん(ちゃん)が?」」」
クラスメイト達が一斉に姫菜子の方へ向き直った。
(もう……。内緒にして欲しいって頼んでおいたのに……。)
姫菜子の希望とは真逆の話をした担任に腹が立ったが、前の生の時もこの先生はこういう人だと知っていた為諦めるしか無かった。
「香住さん。前に出て皆さんにお別れをどうぞ。」
そう言われ致し方なく姫菜子は前に出て話しをする事にした。
「幼稚舎の頃からこの学園で9年間学びましたが、中等部への進学では無く、他校へと行く事にしました。本当は内緒で行こうと思っていましたが、先生にお別れを言う機会を頂いたので、ご挨拶する事にしました。皆さん!9年間ありがとうございました。さようなら。」
そう言って姫菜子は頭を下げると、自席にもどった。
秘密でとお願いした事を破られた事をチクリと嫌味を言ったのだが、担任は全く気付いていないようだ。
(全く……。生徒のプライバシーを守って欲しいわよね。でもまぁいいわ。これが終わったら、明日は旭陽達に会えるのよ。)
そう思うと、口角が上がるのが抑えられない。
そうこうしている内に、担任の話が終わっていた。
「諸君達の未来が素晴らしいものになるよう、僕は毎日主に祈ろう。解散!」
担任の言葉に、児童達は次々に立ち上がると、園庭で待つ親の元へ向かった。
姫菜子もそれに倣い、慎也の所へ行こうとしたのだが、一部のクラスメイトに囲まれてしまった。
「酷いじゃない。私達、姫菜子ちゃんが中等部へ行かないなんて聞いてないわ。」
「そうよ。何で何も言ってくれなかったの?」
「「私達、お友達でしょ?」」
と言って詰め寄って来た。
姫菜子がその者達の顔を見ると、前の生で陽子の嘘を信じ、姫菜子を裏切った者達だった。
『従姉妹の陽子さんのお祖母様の形見を取るなんて最低ね。』
『この前なんて、陽子さんにお屋敷の掃除をさせていたんですって?』
『挙句、掃除が不十分だと言って、バケツの水をひっくり返したって聞いたわ。』
『私は、大学の課題や卒業論文を押し付けたって聞いたわ。』
『婚約者の冴島さんって、本当は陽子さんの婚約者だったんでしょ?なのに、陽子さんの悪口を言って、無理矢理冴島さんを奪ったんですって?陽子さん泣いていたわ。』
姫菜子はそれ等全てを否定した。
物を取ったのは陽子の方だし、掃除は毎週一度ハウスクリーニング業者を頼んでいるのだから、陽子が掃除をやるなんて事はない。
卒論だって課題だって自分でやった。
祥太郎と婚約したのだって、陽子が香住家に押しかけて来る前の事だ。
ちゃんと説明したし否定もした。にもかかわらず、今目の前にいる当時友人と呼べる程の仲にまでなった彼女達は、姫菜子の言葉を信じず、全てに於いて拒否をした。
卒業証書を手にしたクラスメイト達が、担任教諭からの初等部最後の話を聞く為に、教室に入った。
「皆さん、ご卒業おめでとうございます。春から殆どの皆さんは、中等部へ進学となりますが、香住姫菜子さんは違う中学へ行くことになりました。」
「「「え?姫菜子さん(ちゃん)が?」」」
クラスメイト達が一斉に姫菜子の方へ向き直った。
(もう……。内緒にして欲しいって頼んでおいたのに……。)
姫菜子の希望とは真逆の話をした担任に腹が立ったが、前の生の時もこの先生はこういう人だと知っていた為諦めるしか無かった。
「香住さん。前に出て皆さんにお別れをどうぞ。」
そう言われ致し方なく姫菜子は前に出て話しをする事にした。
「幼稚舎の頃からこの学園で9年間学びましたが、中等部への進学では無く、他校へと行く事にしました。本当は内緒で行こうと思っていましたが、先生にお別れを言う機会を頂いたので、ご挨拶する事にしました。皆さん!9年間ありがとうございました。さようなら。」
そう言って姫菜子は頭を下げると、自席にもどった。
秘密でとお願いした事を破られた事をチクリと嫌味を言ったのだが、担任は全く気付いていないようだ。
(全く……。生徒のプライバシーを守って欲しいわよね。でもまぁいいわ。これが終わったら、明日は旭陽達に会えるのよ。)
そう思うと、口角が上がるのが抑えられない。
そうこうしている内に、担任の話が終わっていた。
「諸君達の未来が素晴らしいものになるよう、僕は毎日主に祈ろう。解散!」
担任の言葉に、児童達は次々に立ち上がると、園庭で待つ親の元へ向かった。
姫菜子もそれに倣い、慎也の所へ行こうとしたのだが、一部のクラスメイトに囲まれてしまった。
「酷いじゃない。私達、姫菜子ちゃんが中等部へ行かないなんて聞いてないわ。」
「そうよ。何で何も言ってくれなかったの?」
「「私達、お友達でしょ?」」
と言って詰め寄って来た。
姫菜子がその者達の顔を見ると、前の生で陽子の嘘を信じ、姫菜子を裏切った者達だった。
『従姉妹の陽子さんのお祖母様の形見を取るなんて最低ね。』
『この前なんて、陽子さんにお屋敷の掃除をさせていたんですって?』
『挙句、掃除が不十分だと言って、バケツの水をひっくり返したって聞いたわ。』
『私は、大学の課題や卒業論文を押し付けたって聞いたわ。』
『婚約者の冴島さんって、本当は陽子さんの婚約者だったんでしょ?なのに、陽子さんの悪口を言って、無理矢理冴島さんを奪ったんですって?陽子さん泣いていたわ。』
姫菜子はそれ等全てを否定した。
物を取ったのは陽子の方だし、掃除は毎週一度ハウスクリーニング業者を頼んでいるのだから、陽子が掃除をやるなんて事はない。
卒論だって課題だって自分でやった。
祥太郎と婚約したのだって、陽子が香住家に押しかけて来る前の事だ。
ちゃんと説明したし否定もした。にもかかわらず、今目の前にいる当時友人と呼べる程の仲にまでなった彼女達は、姫菜子の言葉を信じず、全てに於いて拒否をした。
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