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第二章 逆行~幼少期〜
第六話 未来を変える出逢い 1(ハワイ)
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日本の地を離れ、ハワイの地に着くまでの快適な空の旅は、姫菜子の心を少しだけ自由にしたようだ。
それを証拠に、ダニエル・K・イノウエ国際空港に降り立った姫菜子は、慎也の左手を右手でギュッと握り、左手で機内持ち込み用の赤い小さなスーツケースを引きながらキョロキョロと辺りを見渡している。
一応ミッションスクールに通っている為、英語はそれなりに出来る姫菜子は、入国審査もすんなりと通ることが出来、大きな荷物を受け取ったあと、
「Aloha。Welcome to Hawaii.」
と言われレイをかけて貰った時も、少しも臆すること無く、
「Thank you. I would like to enjoy the winter vacation.」
と答えていた。
そんな姫菜子の様子を目を細めて見ている慎也は、(これで少しでも気持ちが落ち着いてくれたら良いな。)と思っていた。
「さぁ、僕のお姫様。ハワイの駐在員の白鷺君が待っててくれているから行こうか。」
「うん。早く行こう、パパ。」
そう言って姫菜子は慎也の腕を引っ張って歩きだそうとする。
慎也は笑いながら、スーツケースを乗せたカートの上に姫菜子を乗せ、
「迷子になっちゃうと困るからね。」
と言って、空港の出入り口を目指した。
スーツケースの上に乗った事で目線が上がった姫菜子は、また嬉しそうにキョロキョロと辺りを見渡していた。
空港の出入り口を出て、送迎レーンに到着すると、慎也を呼ぶ声が聞こえた。
「香住副社長。長旅お疲れ様でした。」
声に気づいた姫菜子が、その方向を指を差すと、慎也は頷きカートを押した。
「お迎えありがとう、白鷺君。」
「いえ。お荷物はこれだけですか?」
「あぁそうだよ。」
そう言いながら、姫菜子を抱き上げ地面にそっと下ろした。
「娘の姫菜子だ。姫菜子。白鷺 孝介君だよ。」
「香住慎也の娘の、香住姫菜子です。」
姫菜子は着ていたワンピースのスカートを少しだけ持ち上げて、まるで御伽噺のお姫様の様に、白鷺孝介に挨拶をした。
「可愛らしいお嬢様ですね。」
「だろ?自慢のお姫様なんだ。」
そう言って姫菜子を抱っこする慎也。
中身は22歳の姫菜子は恥ずかしさのあまり、慎也の肩に顔を隠してしまった。
「照れてしまわれましたか。本当に可愛らしいですね。さぁ、ホテルまでお送り致します。どうぞお乗り下さい。」
そう言われた慎也は、姫菜子を下に下ろし、白鷺の車に乗り込んだ。
その隙に白鷺は、スーツケースをトランクに積んでいた。
「これから行くホテルはね?パパの会社が手掛けたホテルなんだよ。だから色々無理もきくんだ。部屋からハワイの海が一望出来るし、プライベートビーチもある。勿論プールも付いてるから、姫菜もきっと気に入ると思うよ。」
「白鷺さんは、ホテルの人なの?パパ」
「いや、違うよ。白鷺君はこれから会社が手掛ける大プロジェクトの総指揮官なんだ。」
「凄い人なのね?白鷺さんは。」
「そうだね。此方には家族で駐在してるから、その家族も呼んで今度一緒に食事でもしような。」
「うん。楽しみ。」
そんな会話をしていると、トランクに荷物を積み終えた白鷺が運転席に乗り込んだ。
「それでは参りますね。」
そう言うと白鷺は、静かに車を走らせた。
それを証拠に、ダニエル・K・イノウエ国際空港に降り立った姫菜子は、慎也の左手を右手でギュッと握り、左手で機内持ち込み用の赤い小さなスーツケースを引きながらキョロキョロと辺りを見渡している。
一応ミッションスクールに通っている為、英語はそれなりに出来る姫菜子は、入国審査もすんなりと通ることが出来、大きな荷物を受け取ったあと、
「Aloha。Welcome to Hawaii.」
と言われレイをかけて貰った時も、少しも臆すること無く、
「Thank you. I would like to enjoy the winter vacation.」
と答えていた。
そんな姫菜子の様子を目を細めて見ている慎也は、(これで少しでも気持ちが落ち着いてくれたら良いな。)と思っていた。
「さぁ、僕のお姫様。ハワイの駐在員の白鷺君が待っててくれているから行こうか。」
「うん。早く行こう、パパ。」
そう言って姫菜子は慎也の腕を引っ張って歩きだそうとする。
慎也は笑いながら、スーツケースを乗せたカートの上に姫菜子を乗せ、
「迷子になっちゃうと困るからね。」
と言って、空港の出入り口を目指した。
スーツケースの上に乗った事で目線が上がった姫菜子は、また嬉しそうにキョロキョロと辺りを見渡していた。
空港の出入り口を出て、送迎レーンに到着すると、慎也を呼ぶ声が聞こえた。
「香住副社長。長旅お疲れ様でした。」
声に気づいた姫菜子が、その方向を指を差すと、慎也は頷きカートを押した。
「お迎えありがとう、白鷺君。」
「いえ。お荷物はこれだけですか?」
「あぁそうだよ。」
そう言いながら、姫菜子を抱き上げ地面にそっと下ろした。
「娘の姫菜子だ。姫菜子。白鷺 孝介君だよ。」
「香住慎也の娘の、香住姫菜子です。」
姫菜子は着ていたワンピースのスカートを少しだけ持ち上げて、まるで御伽噺のお姫様の様に、白鷺孝介に挨拶をした。
「可愛らしいお嬢様ですね。」
「だろ?自慢のお姫様なんだ。」
そう言って姫菜子を抱っこする慎也。
中身は22歳の姫菜子は恥ずかしさのあまり、慎也の肩に顔を隠してしまった。
「照れてしまわれましたか。本当に可愛らしいですね。さぁ、ホテルまでお送り致します。どうぞお乗り下さい。」
そう言われた慎也は、姫菜子を下に下ろし、白鷺の車に乗り込んだ。
その隙に白鷺は、スーツケースをトランクに積んでいた。
「これから行くホテルはね?パパの会社が手掛けたホテルなんだよ。だから色々無理もきくんだ。部屋からハワイの海が一望出来るし、プライベートビーチもある。勿論プールも付いてるから、姫菜もきっと気に入ると思うよ。」
「白鷺さんは、ホテルの人なの?パパ」
「いや、違うよ。白鷺君はこれから会社が手掛ける大プロジェクトの総指揮官なんだ。」
「凄い人なのね?白鷺さんは。」
「そうだね。此方には家族で駐在してるから、その家族も呼んで今度一緒に食事でもしような。」
「うん。楽しみ。」
そんな会話をしていると、トランクに荷物を積み終えた白鷺が運転席に乗り込んだ。
「それでは参りますね。」
そう言うと白鷺は、静かに車を走らせた。
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