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第二章 逆行~幼少期〜
第三話 回避への第一歩(回想)
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姫菜子が日記帳に描き始めた事柄は次のとおりだ。
10歳から始まり、陽子に拉致され殺されてしまう22歳までの12年間にあった主な出来事と、比嘉母娘にされた事や奪われた物。
婚約者だった祥太郎とのエピソードだ。
書き出してみて、姫菜子ば愕然とする。
逆行前の人生の中で色々あったのは、姫菜子が成人してからの事ばかりで、その前はあまり大した出来事が無かったという事実に。
「はぁ……私って、本当、平和なお嬢様だったのね敷かれたレールの上を走る事に何の疑問も持たなかったお嬢様人生だったんだわ。」
と、姫菜子は思わず苦笑い。
疑問を持たずレールの上を走っていた人生と言えば、祥太郎との関係もそうだ。
元々祥太郎とは幼馴染みの間柄だ。
恋人関係になったのも婚約関係になったのも、元々家族ぐるみの付き合いだった事、また同じ学園の先輩後輩だった事から、姫菜子が大学部に進級した後 自然に恋人関係になり、姫菜子が成人した事により家同士で話し合い、そのまま婚約関係となった。
別に祥太郎の事が嫌いなわけでは無かったが、よくよく考えてみれば、祥太郎は姫菜子にとって兄的な存在であり、身を焦がすような想いを抱いた相手では無かったように思えた。
「祥太郎さんに関しても、流されるままに付き合い、そして婚約したのね。」
その事実にも、はぁ……と一つ大きな溜息が出てしまう。
次に陽子の事を書き始めた。
陽子が香住家に現れたのは姫菜子が21歳の誕生パーティの時だった。
突然香住家にやってきて、姫菜子の母親である菜摘美の遠い親戚だと言い、ご主人とは現在離婚調停中で行く所が無いからと言い、半ば強引に香住家に居座った。
本来であれば断ってもいいはずなのに、お人好しの慎也は、どうせ部屋も余っているしと母娘の居候を決めた。
姫菜子もお姉さんが出来たと喜んでいたが、次第に陽子は本性を現した。
姫菜子が大事にしていた物や高価な物は当然の事。
仲良くしていた友達でさえ陽子に奪われた。
陽子は言葉巧みに姫菜子の友達に近づき、姫菜子がいない所で「姫菜子さんから悪口を言われている。」「亡くなったお祖母様の形見を奪われた。」「虐められている。」等と吹聴し、それ等を父に訴えようものなら、父が仕事で不在時に陽子の母親 比嘉美子から執拗に折檻された。
「成人した大人の女性なのに折檻とか……。それを拒否するどころか、怖くて萎縮しちゃう私もどうかと思うわね。成人しているのだから、逃げるなりなんなり方法はあったはずなのに。」
ここまで書いて、姫菜子は自身が生きてきた道に呆れ果ててしまった。
10歳から始まり、陽子に拉致され殺されてしまう22歳までの12年間にあった主な出来事と、比嘉母娘にされた事や奪われた物。
婚約者だった祥太郎とのエピソードだ。
書き出してみて、姫菜子ば愕然とする。
逆行前の人生の中で色々あったのは、姫菜子が成人してからの事ばかりで、その前はあまり大した出来事が無かったという事実に。
「はぁ……私って、本当、平和なお嬢様だったのね敷かれたレールの上を走る事に何の疑問も持たなかったお嬢様人生だったんだわ。」
と、姫菜子は思わず苦笑い。
疑問を持たずレールの上を走っていた人生と言えば、祥太郎との関係もそうだ。
元々祥太郎とは幼馴染みの間柄だ。
恋人関係になったのも婚約関係になったのも、元々家族ぐるみの付き合いだった事、また同じ学園の先輩後輩だった事から、姫菜子が大学部に進級した後 自然に恋人関係になり、姫菜子が成人した事により家同士で話し合い、そのまま婚約関係となった。
別に祥太郎の事が嫌いなわけでは無かったが、よくよく考えてみれば、祥太郎は姫菜子にとって兄的な存在であり、身を焦がすような想いを抱いた相手では無かったように思えた。
「祥太郎さんに関しても、流されるままに付き合い、そして婚約したのね。」
その事実にも、はぁ……と一つ大きな溜息が出てしまう。
次に陽子の事を書き始めた。
陽子が香住家に現れたのは姫菜子が21歳の誕生パーティの時だった。
突然香住家にやってきて、姫菜子の母親である菜摘美の遠い親戚だと言い、ご主人とは現在離婚調停中で行く所が無いからと言い、半ば強引に香住家に居座った。
本来であれば断ってもいいはずなのに、お人好しの慎也は、どうせ部屋も余っているしと母娘の居候を決めた。
姫菜子もお姉さんが出来たと喜んでいたが、次第に陽子は本性を現した。
姫菜子が大事にしていた物や高価な物は当然の事。
仲良くしていた友達でさえ陽子に奪われた。
陽子は言葉巧みに姫菜子の友達に近づき、姫菜子がいない所で「姫菜子さんから悪口を言われている。」「亡くなったお祖母様の形見を奪われた。」「虐められている。」等と吹聴し、それ等を父に訴えようものなら、父が仕事で不在時に陽子の母親 比嘉美子から執拗に折檻された。
「成人した大人の女性なのに折檻とか……。それを拒否するどころか、怖くて萎縮しちゃう私もどうかと思うわね。成人しているのだから、逃げるなりなんなり方法はあったはずなのに。」
ここまで書いて、姫菜子は自身が生きてきた道に呆れ果ててしまった。
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