鳴らない電話を抱き締めて

Saeko

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第一章

決別3

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それからは、あれよあれよと話しが進んで、私と入間君のケー番やメッセージアプリのIDなんかを交換してたら、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ってしまったんだ。
それにハッ!っとした入間君に
「じゃ、これからよろしくな?里緒菜」
といきなり呼び捨てにされちゃったんだけど、なんでか不快感は全くなかったのにはちょっと驚いた。だから、
「うん!こっちこそよろしくね、聡君。」
と笑顔で返事したんだ。すると、そんな私に聡君は、
「教室まで送るよ。」
と少しぶっきらぼうにそう言って、歩きだしたんだ。私はそれに倣い、彼の斜め後ろを歩いて着いていくことにした。

彼に着いて廊下を歩いていると、何度か彼からの視線を感じて見上げてみると、やっぱりチラチラ見られていた様で、ビシッと目があってしまった。
すると、瞬間視線を逸らして見る間に首まで赤くなる聡君。そんな彼の事が可愛くて、私はとても幸せな気持ちになるのだった。


聡君からの告白で付き合い始めた私達。

最初の頃は、毎日聡君から電話やメッセージが届いた。

バレー部の彼は毎日部活があったから、帰宅部の私と一緒に帰る事は無かったけど、毎晩彼と話す時間がとても楽しかった。
また、土日も部活がある彼とは、週末も会えなかったが、彼が部活で頑張ってると思えば、寂しさも我慢出来た。


そんな日々を過ごすようになって半年。

季節はすっかり秋になっていて、互いを【里緒菜】【聡】と呼びあうようになっていた。だけど、私達は"カレカノの関係”なのに、相変わらず部活が忙しい聡とは、週末のデートも無いし一緒に帰る事も無い。

それでもいい!私達はちゃんと付き合っているのだから大丈夫。

と…そう思っていたのに…。



ある日の週末
絵梨達との待ち合わせ場所へ向かう道で、私はおもわず立ち止まって息を飲んだ。

数メートル先を歩く男女の姿が目に入ったから。
しかも、男の方は私の彼氏である聡。
そう!今日は部活のはずの聡は、綺麗な女の人と腕を組んで歩いていたんだ。

聡を見上げて話す彼女の顔は、恋する女の子そのもの。そんな彼女を見下ろす聡の顔は、とても優しかった。
私には一回も向けられた事が無いその顔に、どこか苛立ちを覚えた。

なんで聡の彼女のはずの私が、こんなシーン見ないといけないわけ?
え?何?
私と週末会わなくても、その子とは会うんだ…
てか、私と過ごす週末なんて初めからなかったんじゃん!

もしかして、もう私のこと好きじゃなくなったとか?
そういえば、最近学校で会っても目も合わなくなった気がするし……

もしかしたら、聡にとって私はもうなのかもしれない。
それか、そもそも始まってもいなかったとか?

見た目麗しい聡と比べて、容姿も中の中な私

もしかして告白も何かの罰ゲームだったのかも?

もう!この状況
意味不過ぎて理由わけ分かんない!!

そんな事を道端でグルグル考えていたら、聡達はもう見えなくなってたんだ。
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