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第四章 今世其ノ弐
第一幕 曖昧
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意識が戻った翌日
私は瞼に感じる光で目を覚ました。
昨日目を覚ました時、個室は暗く、カーテンに閉ざされていたが、今日はカーテンも窓も開いた状態だった。
ゆっくり視線を動かすと、ベッドの周りには家族がいた。
「亜衣ちゃん。よく頑張ったわね。」
お母さん。
「良かったな、亜衣。もう大丈夫だそうだぞ。」
お父さん。
「ねぇね痛い?」
兄の子供で姪の真依ちゃん。
「亜衣ちゃん。良かったわ。」
兄の奥様。お義姉ちゃんの涼子さん。
「あ…り……がと。」
私はまだ出しにくく掠れてしまう声で、家族にお礼を言う。
「澤村さんはまだ目覚めたばかりなので、今日のところはこれで宜しいですか?」
と看護師さんの言葉に、
「そうだな。今日は帰るとしよう。愛美、涼子さんも真依ちゃんも。また明日来よう。」
「そうねあなた。亜衣ちゃん。また明日来るからね。」
看護師さんに促され、家族達は帰っていった。
1人になってする事が無かった私は、意識が戻る前見ていた【夢】を思い出そうとした。
(【夢】にしてはリアル過ぎだったわね。私はお嬢様で誰かの婚約者で、でも王子様が好きでって話だった気がするけど…そんな願望あったかしら?しかも、今の家族がベッドを取り囲むてシチュは、【夢】の中でも起こったよね。確かあれは…)
と考えていると、個室のドアをノックする音が聞こえ、私はそれに「はい」と応えた。
「澤村さん。気分はどうですか?」
眼鏡をかけた人の良さそうな白衣姿の中年男性だ。
どうやら、医師らしい。
「はい。まぁまぁです。」
「そうですか。」
「あの…、私の担当の先生ですか?」
と問うと、
「はい。担当医の新堂です。澤村さん。今、警察の方が来ています。貴女は、事故に合われ意識不明の重体でこの病院に運び込まれました。その事故から3ヶ月が経っています。目が覚めたばかりで申し訳ないのですが、少しだけお話できますか?」
と聞かれた。
「は…い。覚えているか分かりませんが。はい。」
「私も傍におります。気分が優れなくなったら、言ってください。」
「はい。」
先生がドアの所まで戻ると、一緒にスーツ姿の男性が2人入ってきた。
「○○県警の橋本です。」
「同じく渡瀬です。」
「澤村亜衣と申します。」
「意識が戻られて良かったです。え~、3ヶ月も前の話ですが、少しお話を聞かせてください。」
そう言って警察の人が話出した。
聞けば、私を轢いた車は、なんと薬の中毒患者で、警察に追われカーチェイスをしていたらしい。
私を轢いた事で、犯人の車は大破。
警察は直ぐに救急車を呼び、事故車両を運転していた男性とその同乗者を現行犯逮捕したと説明を受けた。
吃驚する話の連続で、私が俯き加減になりつつあったのを、新堂先生が気付き、
「すみませんが、今日のところはこれで宜しいですか?澤村さんが疲れてしまった様なので。」
「ああ。それは失礼しました。では、また来週来ますので。」
そう言って、警察の人は帰っていった。
新堂先生は、
「少し寝ましょう。」
そう言って私の点滴に注射で薬を入れ、病室を出ていった。
私は瞼に感じる光で目を覚ました。
昨日目を覚ました時、個室は暗く、カーテンに閉ざされていたが、今日はカーテンも窓も開いた状態だった。
ゆっくり視線を動かすと、ベッドの周りには家族がいた。
「亜衣ちゃん。よく頑張ったわね。」
お母さん。
「良かったな、亜衣。もう大丈夫だそうだぞ。」
お父さん。
「ねぇね痛い?」
兄の子供で姪の真依ちゃん。
「亜衣ちゃん。良かったわ。」
兄の奥様。お義姉ちゃんの涼子さん。
「あ…り……がと。」
私はまだ出しにくく掠れてしまう声で、家族にお礼を言う。
「澤村さんはまだ目覚めたばかりなので、今日のところはこれで宜しいですか?」
と看護師さんの言葉に、
「そうだな。今日は帰るとしよう。愛美、涼子さんも真依ちゃんも。また明日来よう。」
「そうねあなた。亜衣ちゃん。また明日来るからね。」
看護師さんに促され、家族達は帰っていった。
1人になってする事が無かった私は、意識が戻る前見ていた【夢】を思い出そうとした。
(【夢】にしてはリアル過ぎだったわね。私はお嬢様で誰かの婚約者で、でも王子様が好きでって話だった気がするけど…そんな願望あったかしら?しかも、今の家族がベッドを取り囲むてシチュは、【夢】の中でも起こったよね。確かあれは…)
と考えていると、個室のドアをノックする音が聞こえ、私はそれに「はい」と応えた。
「澤村さん。気分はどうですか?」
眼鏡をかけた人の良さそうな白衣姿の中年男性だ。
どうやら、医師らしい。
「はい。まぁまぁです。」
「そうですか。」
「あの…、私の担当の先生ですか?」
と問うと、
「はい。担当医の新堂です。澤村さん。今、警察の方が来ています。貴女は、事故に合われ意識不明の重体でこの病院に運び込まれました。その事故から3ヶ月が経っています。目が覚めたばかりで申し訳ないのですが、少しだけお話できますか?」
と聞かれた。
「は…い。覚えているか分かりませんが。はい。」
「私も傍におります。気分が優れなくなったら、言ってください。」
「はい。」
先生がドアの所まで戻ると、一緒にスーツ姿の男性が2人入ってきた。
「○○県警の橋本です。」
「同じく渡瀬です。」
「澤村亜衣と申します。」
「意識が戻られて良かったです。え~、3ヶ月も前の話ですが、少しお話を聞かせてください。」
そう言って警察の人が話出した。
聞けば、私を轢いた車は、なんと薬の中毒患者で、警察に追われカーチェイスをしていたらしい。
私を轢いた事で、犯人の車は大破。
警察は直ぐに救急車を呼び、事故車両を運転していた男性とその同乗者を現行犯逮捕したと説明を受けた。
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「すみませんが、今日のところはこれで宜しいですか?澤村さんが疲れてしまった様なので。」
「ああ。それは失礼しました。では、また来週来ますので。」
そう言って、警察の人は帰っていった。
新堂先生は、
「少し寝ましょう。」
そう言って私の点滴に注射で薬を入れ、病室を出ていった。
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