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第三章 前世其ノ弐
第四幕 疑惑そして
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私はロイド様にも殿下にも信じて頂けなかった事でその場には居られず、執務室の扉を乱暴に開け、廊下を走り出しました。
「待て!アイリーン!待つんだ!!」
ロイド様が追いかけて来られた様ですが、それを振り切るかのようになおも走り続けました。
ようやく門を出て、伯爵家の馬車を見つけようと辺りを見回したその時です!!
居眠りをした状態の御者が乗る暴走馬車が私の方へ向かって走ってきました。
私は咄嗟に逃げようと致しましたが、馬の脚のほうが早く、撥ねられた私は城壁に酷く身体をぶつけてしまいました。
「アイリーン!!」
私はロイド様が叫ぶお声を遠くに聞きながら、そのまま意識を失ったのでした。
気が付いた時。
私の周りには、お父様、お母様とお兄様。
そしてガーディランス公爵閣下と夫人。
私の手を握って泣いているロイド様がいらっしゃいました。
「すまない。アイリーン。」
ロイド様は泣きながら、頭を下げられます。
「サラは妊娠していた。吐いたのはアイリーンのせいじゃない。疑ってすまなかった。」
「よかっ…た。ご、懐妊……だっ……たの……です…ね。で…殿下…に、お…お祝…いを……。」
「あぁ。必ず伝えるからもう話すな。」
「う…疑い……が、は…晴れ…て、よ……かっ……た。」
私はそう言うと、静かに目を閉じました。
「アイリーン!!死ぬなーーーー!」
お父様お母様お兄様。先立つ不幸をお許し下さい。
アイリーンは、優しい家族に恵まれ幸せでした。
ロイド様との結婚式をお見せ出来ず、申し訳有りません。
私は愛する家族に看取られ、そのまま息を引き取ったのでした。
「待て!アイリーン!待つんだ!!」
ロイド様が追いかけて来られた様ですが、それを振り切るかのようになおも走り続けました。
ようやく門を出て、伯爵家の馬車を見つけようと辺りを見回したその時です!!
居眠りをした状態の御者が乗る暴走馬車が私の方へ向かって走ってきました。
私は咄嗟に逃げようと致しましたが、馬の脚のほうが早く、撥ねられた私は城壁に酷く身体をぶつけてしまいました。
「アイリーン!!」
私はロイド様が叫ぶお声を遠くに聞きながら、そのまま意識を失ったのでした。
気が付いた時。
私の周りには、お父様、お母様とお兄様。
そしてガーディランス公爵閣下と夫人。
私の手を握って泣いているロイド様がいらっしゃいました。
「すまない。アイリーン。」
ロイド様は泣きながら、頭を下げられます。
「サラは妊娠していた。吐いたのはアイリーンのせいじゃない。疑ってすまなかった。」
「よかっ…た。ご、懐妊……だっ……たの……です…ね。で…殿下…に、お…お祝…いを……。」
「あぁ。必ず伝えるからもう話すな。」
「う…疑い……が、は…晴れ…て、よ……かっ……た。」
私はそう言うと、静かに目を閉じました。
「アイリーン!!死ぬなーーーー!」
お父様お母様お兄様。先立つ不幸をお許し下さい。
アイリーンは、優しい家族に恵まれ幸せでした。
ロイド様との結婚式をお見せ出来ず、申し訳有りません。
私は愛する家族に看取られ、そのまま息を引き取ったのでした。
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