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第三章 前世其ノ弐
第四幕 疑惑⑷
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公爵夫人にお許しを頂いたあの日から1週間が過ぎました。
本日の教育を早めに終わらせていただいた私は、急いで邸に戻ってきたのです。
理由は、登城しておられるロイド様にお菓子をお届けする為でした。
予め、ロイド様のご予定をお聞きしてあったので、お茶のお時間に間に合う様段取りをするという行程は、私の心を弾ませました。
出来たてのカヌレを籠に入れ、王宮勤めの侍女にロイド様がいらっしゃる執務室に案内して頂きました。
ロイド様がいらっしゃる執務室へと入ると、中にはリュークアッセンドラ王太子殿下とご婚約者のサラティーニ様がいらっしゃいました。
「先日は、皆様より温かいお見舞いのお品物を頂戴致しましたこと、心より感謝申し上げます。」
と最上級の礼で感謝の意を伝えました。
御三方は、笑って
「そんなに畏まらなくても大丈夫。」
と仰って下さいました。ですが、公爵夫人より先日再三注意ご指導を頂いたばかりなのですから、気を緩めるわけには参りません。
「ロイド様に教えて頂きました、カヌレにございます。とても美味しく出来ましたので、ロイド様にご批評頂きたくお邪魔させて頂きました。」
と言って、私は籠に掛けていた布巾を捲りました。辺りには、カヌレの良い香りが漂います。
「まぁ美味しそうなカヌレです事。私も頂いても宜しいかしら?」
とサラティーニ様が仰って下さいました。勿論お断りする意味もありません。
私は、
「お口に合うか分かりませんが、どうぞお召し上がりください。」
とカーテシーを致しました。
サラティーニ様付きの侍女が、サラティーニ様の紅茶を入れ直し、一緒にリュークアッセンドラ殿下とロイド様の紅茶も入れ直しました。
「アイリーンも一緒にどうだ?」
とロイド様が仰って下さいましたので、私は微笑みながら、
「有難う存じます。お邪魔致しますわ。」
とロイド様のお隣、両殿下の正面に座りました。
本日の教育を早めに終わらせていただいた私は、急いで邸に戻ってきたのです。
理由は、登城しておられるロイド様にお菓子をお届けする為でした。
予め、ロイド様のご予定をお聞きしてあったので、お茶のお時間に間に合う様段取りをするという行程は、私の心を弾ませました。
出来たてのカヌレを籠に入れ、王宮勤めの侍女にロイド様がいらっしゃる執務室に案内して頂きました。
ロイド様がいらっしゃる執務室へと入ると、中にはリュークアッセンドラ王太子殿下とご婚約者のサラティーニ様がいらっしゃいました。
「先日は、皆様より温かいお見舞いのお品物を頂戴致しましたこと、心より感謝申し上げます。」
と最上級の礼で感謝の意を伝えました。
御三方は、笑って
「そんなに畏まらなくても大丈夫。」
と仰って下さいました。ですが、公爵夫人より先日再三注意ご指導を頂いたばかりなのですから、気を緩めるわけには参りません。
「ロイド様に教えて頂きました、カヌレにございます。とても美味しく出来ましたので、ロイド様にご批評頂きたくお邪魔させて頂きました。」
と言って、私は籠に掛けていた布巾を捲りました。辺りには、カヌレの良い香りが漂います。
「まぁ美味しそうなカヌレです事。私も頂いても宜しいかしら?」
とサラティーニ様が仰って下さいました。勿論お断りする意味もありません。
私は、
「お口に合うか分かりませんが、どうぞお召し上がりください。」
とカーテシーを致しました。
サラティーニ様付きの侍女が、サラティーニ様の紅茶を入れ直し、一緒にリュークアッセンドラ殿下とロイド様の紅茶も入れ直しました。
「アイリーンも一緒にどうだ?」
とロイド様が仰って下さいましたので、私は微笑みながら、
「有難う存じます。お邪魔致しますわ。」
とロイド様のお隣、両殿下の正面に座りました。
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