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第三章 前世其ノ弐
第四幕 疑惑⑵
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「お嬢様?如何なさいました?」
スープを飲む手が止まってしまっていた私を、ローラが心配そうな面持ちで尋ねてきました。
「え?……あ…大丈夫。大丈夫よ」
「まだお加減が優れないのでしょう。スープを飲まれたら、少しおやすみください。」
「そ…そうね。ありがとうローラ。そうさせて頂くわね。」
慌ててスープを頂き、全て飲み終えた私に、ローラは
「では、此方をお飲み下さい。」
とても苦い薬湯を手渡しながら、微笑みました。
(苦いの嫌いって分かっててあの顔は…)
私はローラを憎々しげに睨み付けながら、薬湯を飲み干しベッドに潜り混んだのでした。
それから3日後
私はお休みさせて頂いていた公爵夫人としての教育の為に、ガーディランス公爵家のお屋敷を訪れていました。
「長らくお休みをさせて頂き、申し訳ございませんでした。」
と淑女の礼を致しました。が、いつもの公爵夫人の優しい笑顔が返されるのでは無く、
「おかけなさい、アイリーン様。」
と着席を促されました。
「これをご覧なさい。」
と一通の手紙を私の前に置かれたのです。その内容は、舞踏会での私の様子を公爵家に告発するものでした。
『ロイド様のご婚約者であられされる伯爵令嬢は、我が国の王太子殿下に思慕の念を抱かれておるご様子。ご成婚は今一度お考え直されては如何かと存じます。』
「アイリーン様。もしこれが事実であるならば、私は伯爵に抗議せねばなりません。」
公爵夫人は、厳しい目付きで私を見つめ
「お答えなさいませ、アイリーン様。」
と詰め寄られます。
私は言い返す事が出来ず、俯いているしかありません。私の心の中にいらしたのは…初めてお姿を拝見した時からずっとリュークアッセンドラ王太子殿下だったのですから。
ですが、そんな心持ちの中ロイド様の婚約者となり教育を受けているうちに、少しずつロイド様のお人柄に惹かれていたのも事実なのです。
そんな事を公爵夫人に打ち明ける事など出来るわけも無く、ただ唇を噛み俯むしか出来なかった私の様子をご覧になった公爵夫人は、手紙の内容が是であると解釈なさったようでした。
「本日は、貴女に教育を施す心持ちにはなれません。今後の事は追って沙汰を出す事に致します。」
公爵夫人に持っておられた扇子で扉を指され退室を促されてしまった私は、
「失礼致しました。」
と公爵家をあとにしたのでした。
スープを飲む手が止まってしまっていた私を、ローラが心配そうな面持ちで尋ねてきました。
「え?……あ…大丈夫。大丈夫よ」
「まだお加減が優れないのでしょう。スープを飲まれたら、少しおやすみください。」
「そ…そうね。ありがとうローラ。そうさせて頂くわね。」
慌ててスープを頂き、全て飲み終えた私に、ローラは
「では、此方をお飲み下さい。」
とても苦い薬湯を手渡しながら、微笑みました。
(苦いの嫌いって分かっててあの顔は…)
私はローラを憎々しげに睨み付けながら、薬湯を飲み干しベッドに潜り混んだのでした。
それから3日後
私はお休みさせて頂いていた公爵夫人としての教育の為に、ガーディランス公爵家のお屋敷を訪れていました。
「長らくお休みをさせて頂き、申し訳ございませんでした。」
と淑女の礼を致しました。が、いつもの公爵夫人の優しい笑顔が返されるのでは無く、
「おかけなさい、アイリーン様。」
と着席を促されました。
「これをご覧なさい。」
と一通の手紙を私の前に置かれたのです。その内容は、舞踏会での私の様子を公爵家に告発するものでした。
『ロイド様のご婚約者であられされる伯爵令嬢は、我が国の王太子殿下に思慕の念を抱かれておるご様子。ご成婚は今一度お考え直されては如何かと存じます。』
「アイリーン様。もしこれが事実であるならば、私は伯爵に抗議せねばなりません。」
公爵夫人は、厳しい目付きで私を見つめ
「お答えなさいませ、アイリーン様。」
と詰め寄られます。
私は言い返す事が出来ず、俯いているしかありません。私の心の中にいらしたのは…初めてお姿を拝見した時からずっとリュークアッセンドラ王太子殿下だったのですから。
ですが、そんな心持ちの中ロイド様の婚約者となり教育を受けているうちに、少しずつロイド様のお人柄に惹かれていたのも事実なのです。
そんな事を公爵夫人に打ち明ける事など出来るわけも無く、ただ唇を噛み俯むしか出来なかった私の様子をご覧になった公爵夫人は、手紙の内容が是であると解釈なさったようでした。
「本日は、貴女に教育を施す心持ちにはなれません。今後の事は追って沙汰を出す事に致します。」
公爵夫人に持っておられた扇子で扉を指され退室を促されてしまった私は、
「失礼致しました。」
と公爵家をあとにしたのでした。
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