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第二章 前世其ノ壱
第三幕 社交界デビュー⑸
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その後、お支度を済まされたお父様お母様お兄様と連れ立って、夜会が行われる公爵のお屋敷に向かう為、伯爵家の馬車に乗り込みました。
正装に身を包まれたお父様とお兄様、そしてなにより瞳と髪色にお似合いの色めの美しいマーメイドラインのドレスを着こなしたお母様。
私は貴族としては普通の顔立ちなのですが、お父様もお母様も そしてお兄様もとても綺麗なお顔立ちをしていらっしゃるのです。
私は幼い頃からそれが自慢ではありましたが、同時にコンプレックスでもありました。
もう少し…もう少しだけ、お母様の大きな目と同じだったら……
もう少し…もう少しだけ、お父様と同じすっととおった鼻筋だったら……
ないものねだりなのは分かっていても、両親の良いところをもっと貰っていたら良かったのにと思っておりました。
それに比べ、同じ兄妹なのに、お兄様はとても綺麗なお顔立ちをしていらっしゃいます。それに加え、頭脳明晰でもありました。学園では常に首席でいらっしゃいましたし、今の私と同じ歳の頃には既にお父様のお仕事を手伝っておられ、周りの大人の方々から信頼を寄せられていたと思います。
そんな家族に囲まれていれば、所謂落ちこぼれの様な気持ちにもなりがちなのですが、両親もお兄様も私の事をとても愛し大切にして下さっています。だからこそ私は、これまで難しい勉強も頑張ってこられたのだと思います。
「アイリーン。そんなに気負わなくて大丈夫だよ。私達がついているからね。」
とお兄様が仰ればお父様も
「そうだよ、アイリーン。私達の娘なのだから、もっと胸を張って堂々としていなさい。」
またお母様も、
「そうよアイリーン。何か都合が悪くなった時は、持っているその扇で口元を隠せばいいのよ。」
と仰って、そっと私の頭を撫でて下さいました。
「はい、頑張ります。」
私はそう言って、(兎に角楽しもう。折角の夜会なんだもの。それにお祝いの席なのに暗い顔をしていたら、公爵様に申し訳ないものね。)と自分自身に言い聞かせておりました。
正装に身を包まれたお父様とお兄様、そしてなにより瞳と髪色にお似合いの色めの美しいマーメイドラインのドレスを着こなしたお母様。
私は貴族としては普通の顔立ちなのですが、お父様もお母様も そしてお兄様もとても綺麗なお顔立ちをしていらっしゃるのです。
私は幼い頃からそれが自慢ではありましたが、同時にコンプレックスでもありました。
もう少し…もう少しだけ、お母様の大きな目と同じだったら……
もう少し…もう少しだけ、お父様と同じすっととおった鼻筋だったら……
ないものねだりなのは分かっていても、両親の良いところをもっと貰っていたら良かったのにと思っておりました。
それに比べ、同じ兄妹なのに、お兄様はとても綺麗なお顔立ちをしていらっしゃいます。それに加え、頭脳明晰でもありました。学園では常に首席でいらっしゃいましたし、今の私と同じ歳の頃には既にお父様のお仕事を手伝っておられ、周りの大人の方々から信頼を寄せられていたと思います。
そんな家族に囲まれていれば、所謂落ちこぼれの様な気持ちにもなりがちなのですが、両親もお兄様も私の事をとても愛し大切にして下さっています。だからこそ私は、これまで難しい勉強も頑張ってこられたのだと思います。
「アイリーン。そんなに気負わなくて大丈夫だよ。私達がついているからね。」
とお兄様が仰ればお父様も
「そうだよ、アイリーン。私達の娘なのだから、もっと胸を張って堂々としていなさい。」
またお母様も、
「そうよアイリーン。何か都合が悪くなった時は、持っているその扇で口元を隠せばいいのよ。」
と仰って、そっと私の頭を撫でて下さいました。
「はい、頑張ります。」
私はそう言って、(兎に角楽しもう。折角の夜会なんだもの。それにお祝いの席なのに暗い顔をしていたら、公爵様に申し訳ないものね。)と自分自身に言い聞かせておりました。
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