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第8章 番外編(ルミエール王国奪還 〜潜入捜査編〜)

潜入捜査大作戦1

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「じゃ、パパ鳥さん。準備と覚悟、それからミッションの理解はいいかしら?」
それがしの任務にかける心意気は満ち足りておるぞ聖女殿。』

ここはカルディール伯爵領内にある、屋敷の庭。

私は、パパ鳥がルミエール王国に潜入捜査の為、奥さんと子供達から離れてしまう事で、今回のように、ママ鳥さんだけじゃ雛鳥達を守れないかもしれないと考え、キラメイ家族をカルディール領に一時的に避難させ安全を確保したうえで、パパ鳥にルミエール王国の潜入捜査をしてもらう事を提案したの。

初めは、住まいが移ることに抵抗を示した(様に見えた)ママ鳥も、パパ鳥の説得と、何より青龍チンロンの事を気に入った雛鳥の訴え(どうやら青龍は、私がママ鳥の怪我を治してやってた時、雛鳥達と遊んであげていたらしい)に絆され、カルディールこちらに来る事を承諾してくれたんだ。

大きな鳥の家族が来て、最初に喜んだのはナターシャだった。
シアは自分より大きな雛鳥のお姉ちゃんになるのだと言って、雛鳥達の毛繕いをしてやったり、林檎やオレンジ(キラメイは草食なんだって)等の果物を毎日せっせと運んでやっている。
そんなシアの様子に、ママ鳥もシアを受け入れている様だった。

そんな自分の家族達の様子に安心したのか?パパ鳥は、そろそろ私からの依頼を実行すると言い出してくれたんだ。

で冒頭に戻るわけなんだけど

パパ鳥さんには、見たもの全て、録音録画可能な球を、ミサンガに取り付けた状態で、パパの首の羽毛の中に上手に隠れる様に括りつけて貰っている。
そして、ルミエール王国に潜入したら先ず最初に、ユニコーンの仲間の木菟みみずくに会ってユニコーンの無事と、ユニコーンが加護を与えていたというおさ(まぁ多分、ルミエール王国国王の事だと思うけど…)の娘がどうなっているのか?を教えて貰う。
もし仮に娘(長が国王なら、娘は王女よね)が何処かに捕らえられていたのなら、その場所と周りの状況の調査を。その他の場合は、現状の調査をして貰うというのが、パパ鳥にやってもらう任務ミッションだ。

「いい?兎に角、パパ鳥さんの行動が魔族に不審がられない様に気をつけてね?危ないと思ったら直ぐに戻ってきて。分かった?」
と言うと、
『案ずるでないぞ聖女殿。それがしのこの見た目(パパ鳥の見た目は、体毛に覆われたプテラノドンの様な怪鳥なの。)であれば、怪しまれる事もあるまいて。』
とのほほんと答えるパパ鳥に、一抹の不安を覚えるけど、
『大舟に乗ったつもりで、某からの連絡を待たれよ。』
と胸を張るパパにお任せすることにした。

その時
すっかり元気になっていたユニコーンが、息子 マーミリアンを乗せやってきた。
そんなユニコーンに、キラメイパパ鳥は、片脚を折って頭を下げたの。その姿はまるで、武士が主君の前で見せるそれだった。
『ユニコーン様におかれましては、此度の事、真にお辛いことかと存じそうろう。某が、必ずや姫君のご無事を確認致す故、聖女殿の元でお力を蓄えておいてくだされ。』
『頭を上げてくれ、キラメイよ。こちらこそ、我の都合で、そなたには迷惑をかけてしまう。本当に申し訳ない。』
『勿体のうお言葉にございまする、ユニコーン様。』
『聖女殿も申していたとは思うが、無理だと思ったら直ぐに撤退して欲しい。そなたには大事な家族がいるのだから。』
『畏まってございまする、ユニコーン様。では某、そろそろ参ります故、御前を失礼つかまつりまする。』
と言ってキラメイパパはその大きな翼を広げ、ルミエール王国へと飛び立って言った。

「無理しないようにね、パパ鳥さ~ん!」
私はそう言ってパパ鳥に手を振ったんだ。
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