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第7章 番外編(ルミエール王国奪還 〜準備編)
施して恩を報いず、施されて恩を忘れず 2
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『我が主。起きろ!起きるのだ、主!』
青龍のそんな声が聞こえた私が目を開けると、そこには青龍のどデカい顔があった。
「ギャーーーーーーー!」
私は驚きのあまり寝袋に入ったままの状態で飛び起き、芋虫の様にテントの隅っこまで移動した。
そして
「ちょっと青龍。貴方何故元の大きさに戻ってんのよ!」
と叫んでしまったの。
そうなの
なんと元の大きさに戻った青龍は、顔だけテント内に入れ、残りは全てテントの外に出ている状態だったのよ。
本来テントの出入口は、防犯のために閉じておくものなんだけど、どうせ私が張った結界の中には魔獣はおろか人間も入っては来られない。だから安心して開けっ放しにしてあったのだけど、まさか青龍がそんな事をしているとは思わなかったのだ。
『そんな事は今どうでもいい事だぞ、我が主よ。』
と言う青龍に、
「いや、どうでもいいって……。普通に目の前に龍のデカい顔あったら驚くでしょうに」
『そんな事より主よ。早く外に出て来い。主に客だ』
私の訴えを綺麗にスルーし、続けた青龍の言葉に、
「え?お客さん?誰かしら。昨日のマイルスさんが戻って来たのかな?」
と、もそもそと寝袋の中から這い出てテントの外に出てみる。と、そこには大きな…いや、両の翼を広げたら、ゆうに10mもあろうかというくらい巨大な鳥が、結界の外できちんと立っていたんだ。
「え?何?このデカい鳥」
と理由が分からない私は、青龍に顔を向ける。すると青龍は
『昨日主が助けたキラメイの雄の親鳥だそうだ。我が子を助けてくれた主に、礼をしたいと言っているぞ。』
「え?この鳥、昨日の子のお父さんなの!?」
青龍の言葉を聞いた私の顔は、鳩が豆鉄砲を食らった様な顔だったのだろう。
父さんキラメイの笑い声(思念)が頭の中に聞こえてきて、更に驚き固まってしまった私に、
『昨日は私達の大切な雛鳥を助けてくれた旨、妻より聞きおよんだ故、馳せ参じつかまつり候。』
とこれまた思念で伝えて来るお父さん鳥だったんだけど……。
え?てか誰よ
彼に言葉 教えた人って……
そもそもこんな言葉使いなんて、元いた世界で見た事がある、昔の時代劇でしか聞いた事ないわよ。しかもところどころ変な使い方になってるし……
でもま、それはどうでもいいわね
とりあえずこの親鳥は、私にお礼を言いたいって事でしょ?
だったらそれを受け入れて、自分の住処に戻って貰いましょ。
私は変な言葉使いをスルーし
「わざわざありがとうございます、パパ鳥さん。」
と言って私が頭を下げると、
『頭を上げてくだされ聖女殿。某が此方に参ったのは、我が子を救って下さった聖女殿の恩に報いたいという気持ち故の事。聞けば聖女殿は、魔獣と主従関係を結びたいと言うではないか。』
「え、えぇまぁそうだけど…。それって情報元、青龍だよね?」
『左様。我が教えたぞ、我が主。』
と誇らしげに言ってデカい顔を寄せてくる青龍。
まぁ仕草は可愛いけども…… デカすぎて無理だからね?と苦笑いを浮かべながら、
「青龍が教えてあげたんだね?ありがとう。」
とお礼を言っておき、パパ鳥に向き直る。
「お申し出は嬉しいし、とっても有難いんだけどさ。私と従僕契約したあとの話は聞いた?」
『其方も青龍殿からお聞きしてある。其れを納得した上での話であるから心配には及ばぬぞ、聖女殿。』
うん…やっぱり変な言葉使いだわね
綺麗にスルーして、パパ鳥さんとの話を進めましょ。
「聞いてるなら話が早いんだけど、一応相違があるといけないから確認しましょ。いいかしら?パパ鳥さん」
『畏まって候』
いやもう…… 畏まって候とか
ううん
スルーするのよマコ
私は気を取り直して、パパ鳥が青龍から聞いた話についてのすり合わせ作業を行うことにしたの。
青龍のそんな声が聞こえた私が目を開けると、そこには青龍のどデカい顔があった。
「ギャーーーーーーー!」
私は驚きのあまり寝袋に入ったままの状態で飛び起き、芋虫の様にテントの隅っこまで移動した。
そして
「ちょっと青龍。貴方何故元の大きさに戻ってんのよ!」
と叫んでしまったの。
そうなの
なんと元の大きさに戻った青龍は、顔だけテント内に入れ、残りは全てテントの外に出ている状態だったのよ。
本来テントの出入口は、防犯のために閉じておくものなんだけど、どうせ私が張った結界の中には魔獣はおろか人間も入っては来られない。だから安心して開けっ放しにしてあったのだけど、まさか青龍がそんな事をしているとは思わなかったのだ。
『そんな事は今どうでもいい事だぞ、我が主よ。』
と言う青龍に、
「いや、どうでもいいって……。普通に目の前に龍のデカい顔あったら驚くでしょうに」
『そんな事より主よ。早く外に出て来い。主に客だ』
私の訴えを綺麗にスルーし、続けた青龍の言葉に、
「え?お客さん?誰かしら。昨日のマイルスさんが戻って来たのかな?」
と、もそもそと寝袋の中から這い出てテントの外に出てみる。と、そこには大きな…いや、両の翼を広げたら、ゆうに10mもあろうかというくらい巨大な鳥が、結界の外できちんと立っていたんだ。
「え?何?このデカい鳥」
と理由が分からない私は、青龍に顔を向ける。すると青龍は
『昨日主が助けたキラメイの雄の親鳥だそうだ。我が子を助けてくれた主に、礼をしたいと言っているぞ。』
「え?この鳥、昨日の子のお父さんなの!?」
青龍の言葉を聞いた私の顔は、鳩が豆鉄砲を食らった様な顔だったのだろう。
父さんキラメイの笑い声(思念)が頭の中に聞こえてきて、更に驚き固まってしまった私に、
『昨日は私達の大切な雛鳥を助けてくれた旨、妻より聞きおよんだ故、馳せ参じつかまつり候。』
とこれまた思念で伝えて来るお父さん鳥だったんだけど……。
え?てか誰よ
彼に言葉 教えた人って……
そもそもこんな言葉使いなんて、元いた世界で見た事がある、昔の時代劇でしか聞いた事ないわよ。しかもところどころ変な使い方になってるし……
でもま、それはどうでもいいわね
とりあえずこの親鳥は、私にお礼を言いたいって事でしょ?
だったらそれを受け入れて、自分の住処に戻って貰いましょ。
私は変な言葉使いをスルーし
「わざわざありがとうございます、パパ鳥さん。」
と言って私が頭を下げると、
『頭を上げてくだされ聖女殿。某が此方に参ったのは、我が子を救って下さった聖女殿の恩に報いたいという気持ち故の事。聞けば聖女殿は、魔獣と主従関係を結びたいと言うではないか。』
「え、えぇまぁそうだけど…。それって情報元、青龍だよね?」
『左様。我が教えたぞ、我が主。』
と誇らしげに言ってデカい顔を寄せてくる青龍。
まぁ仕草は可愛いけども…… デカすぎて無理だからね?と苦笑いを浮かべながら、
「青龍が教えてあげたんだね?ありがとう。」
とお礼を言っておき、パパ鳥に向き直る。
「お申し出は嬉しいし、とっても有難いんだけどさ。私と従僕契約したあとの話は聞いた?」
『其方も青龍殿からお聞きしてある。其れを納得した上での話であるから心配には及ばぬぞ、聖女殿。』
うん…やっぱり変な言葉使いだわね
綺麗にスルーして、パパ鳥さんとの話を進めましょ。
「聞いてるなら話が早いんだけど、一応相違があるといけないから確認しましょ。いいかしら?パパ鳥さん」
『畏まって候』
いやもう…… 畏まって候とか
ううん
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