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第7章 番外編(ルミエール王国奪還 〜準備編)

虎穴に入らずんば虎子を得ず 2

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子供達に魔獣の森へ行くと伝えた翌朝

私は伯爵家我が家の玄関前で、夫のリックと、息子マーミリアン 娘ナターシャからのお見送りを受けている。

「お見送りありがとう、皆んな。」
「あぁ。気をつけて行けよ?」
「ユニコーン様の事、しっかりお世話します母上。」
「お母様、シアもユニコーン様のお世話頑張ります。」
「そうね。2人とも父様の言うことよく聞いて、いい子で待っててね。リック。あとはお願いします。」
「こちらは大丈夫だから、マコは自分の事だけ考えるんだ。」
「ありがとうリック。愛してるわ」
「俺もだ」
そう言ってリックは私を抱き締め唇にキスを落としてくれる。すると、
「シアも!シアもお母様を愛してます。」
と言ってピョンピョンと跳ねるシアをリックが抱き上げる。
すると、可愛い腕をめいっぱい伸ばして私の両頬に交互にキスをしてくれるナターシャ。
「母様もシアを愛してるわ」
と言ってキスのお返しをすると、嬉しそうにリックに抱かれたまま手足をばたつかせるナターシャ。
「マーミリアン。貴方の事も愛してるわよ」
と言って少しだけ腰をかがめて息子にも。

頬を染め恥ずかしそうにしている息子に、
「シアの事も頼むわよ?お兄様」
と言えば、緩んだ表情を引き締め
「はい!」
と騎士の礼をとるマーミリアン。

「さぁ。そろそろ出ないと、魔獣の森に着く頃には日が暮れてしまうぞ?」
とリックに言われ、私は慌てて青龍チンロンを呼び出した。

『我が主よ!参るのか?』
と、召喚される前に生きていた世界で人気のあった、世界中に散らばる星がついたボールを7個集めると出てくる龍の様に現れた青龍。
「えぇ、行くわ」
『ならば我に乗るがいい』
「ありがとう青龍。そうしてくれると嬉しいわ。なんせ魔獣の森まで転移するのはちょっと遠いから。」
『我なら一時いっときもあれば着くであろう。』
そう言って青龍は、少しだけ身体を小さくすると、地上に降りてきてくれたの。
大好きな青龍が現れたせいで、ナターシャは大はしゃぎだ。
「青龍様、青龍様。お母様をお願いしますわね。ちゃんと護って下さいな。」
と可愛らしく青龍にお願いしたものだから、青龍は嬉しくなって頭を高く持ち上げたの。
「ちょっと青龍!立ち上がらないでって!乗れないじゃない!!」
と文句を言ったのに、青龍はガン無視で
『我が姫。姫の願い確かに受け止めた。聖女の事は任せるがいい。』
とナターシャに向かってその長い胸を反らして威張る。
「もう!シアに甘々過ぎよ?さぁ青龍!早く行かないと日が暮れてしまうわ。」
と青龍を急かして、私はやっと背に乗ることが出来たの。

「じゃ行ってくるわね。」
「行ってこい!青龍様、妻を宜しくお願い致します。」
『あい分かった。では参ろう』
そうリックに答えた青龍は、フワリと舞い上がり、そのまま一気に上昇すると、魔獣の森の方角へと向かってくれた。

(リック。行ってくるわね。子供達を宜しく)
とミサンガにキス落とすと、私は青龍の角に結んであった手綱を身体に巻き付けたの。
それを見計らったかの様に、青龍はスピードを上げ、青い空の下、まるでジェット機の様に一路魔獣の森へと飛んでくれたの。

頑張ろう
予定通り魔獣と従僕契約をして、領地に帰るの。
ルミエール王国を魔族から解放する為にも、私がやらなきゃならないんだもの。
例えどんな困難にぶち当たったとしても、やるしかないわ!
と拳を握り気合いを入れていると、

『そんなに気負わずとも、我が主であれば大丈夫だ。』
と、青龍はそう言って私を気遣ってくれたの。
「ありがとう青龍」
とお礼を言うと、
『我が主よ、結界を張れ!もう少し高度と速度を上げるゆえ
と言う青龍に従って、私は自分の周りに結界を張ったの。



一方 カルディール伯爵領では


「さぁ、私達も支度をしよう。お前達のお祖父様とお祖母様の屋敷に行くぞ。」
とリューベックは子供達に出かける支度をするよう促した。
「はい、父上」
「わかったわお父様」
そう言って、それぞれの侍従と侍女を伴い屋敷の中に入っていく子供達を見送ると、リューベックは愛する妻が青龍と飛び去った方角を見つめ、
「マコ、頑張れよ」
と言って己の左手首結ばれたミサンガに、妻の無事を祈ってキスを落とした。
そして自らも、屋敷の中に入っていったのだった。
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