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第6章 番外編(聖獣ユニコーンとの出会い)
聖獣ユニコーンの想い
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「そう言えば……」
先程まで笑っていた母上が、急に真剣な面持ちになり、ユニコーン様にこう質問をされた。
「さっき貴方はさ、貴方が加護を与えてた娘さんは、魔族に操られてるふりをしてたって言ったわよね?」
『確かに我はそう申したな。それがどうしたのだ?』
「ん~……その娘…今も大丈夫なのかしら?って」
と言って何やら思案する母上に、どういう事なのかとお聞きすると、
「その娘、ユニコーンを狙って放たれた矢から、貴方を守ろうとしたのでしょ?」
『あぁ。だが娘が危なかった為、娘を蹴り飛ばしたのだが…それがどうしたのだ?』
「魔族に操られているのに、その娘は貴方と会っていた。そして貴方を庇おうとまでしたのよ?それを見ていた彼女の親や大人達は、彼女は自分達とは違うって思ったんじゃない?」
「あ!確かに母上の仰るとおりですね。」
「マーミリアンもそう思うわよね。」
「はい。魔族達にとって聖獣であるユニコーン様は敵。その敵を庇おうとしたその子もやはり【敵】とみなされ、捕まっている…最悪の場合既に……。」
と言いよどんで俯き口を閉じた私を、その場でひざまづきそっと抱き締めて下さる母上。
そして母上は私を抱き締めたまま、
「貴方はどうしたいの?ユニコーン。加護を与えていたその娘がどうなったか知りたい?加護を与えていたその地を魔族から取り戻したい?貴方にとってその土地は愛着のある大切な土地なのでしょう?」
とユニコーン様に聞いていた。
ユニコーン様が母上の質問にどの様に答えるのだろうと、母上の腕の中でユニコーン様の方を見ると、
『聖女マコの言うとおり、我は…いや我等ユニコーン一族は、はるか昔よりあの地に住まう人々や土地に加護を与えてきた。あの土地の純粋な者達を操りあの土地を乗っ取った魔族など、到底許し難い!今直ぐにでもあの土地に戻り、魔族を倒し、人々を解放してやりたい!それが無理であれば、囚われの身になっているかもしれぬあの娘だけでも救い出してやりたい!どうか聖女マコよ。我を助けてはくれぬだろうか。』
と言ってユニコーン様は私達の前でひれ伏した。それはまるで、私達への服従を意味するかのような姿勢だった。
母上はそんなユニコーン様に微笑みかけ
「分かった!協力するわ、ユニコーンさん?乗りかかった船だもの。一緒に魔族からその地を取り返しましょ。それに、その娘の安否が気になるってのもあるしね。」
『すまない、聖女マコ。恩に着る。』
「良いのいいの。で?貴方が奪還したいその土地って何処?」
『我が加護を与えいた土地の名は、【ルミエール王国】』
「え?王国なの?どこかの国の領地とかじゃなくて?てかルミエール王国って…「この国の隣国の名だな。」リック!」
「父上!」
不意に後ろから声がして、私と母上は振り返った。
ずっとユニコーン様の前で座っていた私達は、近付いてきた父上に挨拶をしようと立ち上がった。そして、
「おかえりなさい、リック」
「父上、おかえりなさい」
「あぁ。今戻った」
父上はそう言って私と母上の頬にキスを落としてくれる。その後父上は、
「ルミエール王国は、小国ながらも自然豊かで農作物も多く採れるとても住みやすい国と聞いている。聖獣殿はそのルミエール王国を護られていたのだな。」
とユニコーン様にそう仰ったんだ。
先程まで笑っていた母上が、急に真剣な面持ちになり、ユニコーン様にこう質問をされた。
「さっき貴方はさ、貴方が加護を与えてた娘さんは、魔族に操られてるふりをしてたって言ったわよね?」
『確かに我はそう申したな。それがどうしたのだ?』
「ん~……その娘…今も大丈夫なのかしら?って」
と言って何やら思案する母上に、どういう事なのかとお聞きすると、
「その娘、ユニコーンを狙って放たれた矢から、貴方を守ろうとしたのでしょ?」
『あぁ。だが娘が危なかった為、娘を蹴り飛ばしたのだが…それがどうしたのだ?』
「魔族に操られているのに、その娘は貴方と会っていた。そして貴方を庇おうとまでしたのよ?それを見ていた彼女の親や大人達は、彼女は自分達とは違うって思ったんじゃない?」
「あ!確かに母上の仰るとおりですね。」
「マーミリアンもそう思うわよね。」
「はい。魔族達にとって聖獣であるユニコーン様は敵。その敵を庇おうとしたその子もやはり【敵】とみなされ、捕まっている…最悪の場合既に……。」
と言いよどんで俯き口を閉じた私を、その場でひざまづきそっと抱き締めて下さる母上。
そして母上は私を抱き締めたまま、
「貴方はどうしたいの?ユニコーン。加護を与えていたその娘がどうなったか知りたい?加護を与えていたその地を魔族から取り戻したい?貴方にとってその土地は愛着のある大切な土地なのでしょう?」
とユニコーン様に聞いていた。
ユニコーン様が母上の質問にどの様に答えるのだろうと、母上の腕の中でユニコーン様の方を見ると、
『聖女マコの言うとおり、我は…いや我等ユニコーン一族は、はるか昔よりあの地に住まう人々や土地に加護を与えてきた。あの土地の純粋な者達を操りあの土地を乗っ取った魔族など、到底許し難い!今直ぐにでもあの土地に戻り、魔族を倒し、人々を解放してやりたい!それが無理であれば、囚われの身になっているかもしれぬあの娘だけでも救い出してやりたい!どうか聖女マコよ。我を助けてはくれぬだろうか。』
と言ってユニコーン様は私達の前でひれ伏した。それはまるで、私達への服従を意味するかのような姿勢だった。
母上はそんなユニコーン様に微笑みかけ
「分かった!協力するわ、ユニコーンさん?乗りかかった船だもの。一緒に魔族からその地を取り返しましょ。それに、その娘の安否が気になるってのもあるしね。」
『すまない、聖女マコ。恩に着る。』
「良いのいいの。で?貴方が奪還したいその土地って何処?」
『我が加護を与えいた土地の名は、【ルミエール王国】』
「え?王国なの?どこかの国の領地とかじゃなくて?てかルミエール王国って…「この国の隣国の名だな。」リック!」
「父上!」
不意に後ろから声がして、私と母上は振り返った。
ずっとユニコーン様の前で座っていた私達は、近付いてきた父上に挨拶をしようと立ち上がった。そして、
「おかえりなさい、リック」
「父上、おかえりなさい」
「あぁ。今戻った」
父上はそう言って私と母上の頬にキスを落としてくれる。その後父上は、
「ルミエール王国は、小国ながらも自然豊かで農作物も多く採れるとても住みやすい国と聞いている。聖獣殿はそのルミエール王国を護られていたのだな。」
とユニコーン様にそう仰ったんだ。
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追記(2021/10/7)
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