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第6章 番外編(聖獣ユニコーンとの出会い)
聖獣だった白馬
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屋敷に連れ帰った白馬は、毎日母上の治癒魔法を受けた事で、酷かった怪我も綺麗に消え、自分で立つことが出来るまで回復した。
だが、母上が仰るには、白馬が受けた傷は人間によるのものでも、魔獣からのものでもないそうで、
「得体がしれない分、不気味よね。少し調べてみようかしら。」
と仰って、毎日夜遅くまで文献等を調べておられた。
私は、私が出来ることをしようと、毎日毎日座学や剣術の勉強の合間を縫っては厩へ足を運び、白馬に飼葉を与えたり、新鮮な野菜を与えたりした。
勿論、両親の愛馬達にもだ。
また、まだ遠距離を歩けない白馬の為に、領地を流れる沢から綺麗な水を汲んできては水桶に入れてやったり、その水で身体を洗ってやったりした。
そんな甲斐があってか?白馬は、日を追う事に元気になっていった。
「さぁ!今日の治癒魔法であなたの治療は終了よ。よく頑張ったわね。」
そう言って母上は、白馬の腹をポンポンと叩くと、治癒魔法をかけ始めた。
するとどうだ!白馬の身体がどんどん大きくなり、軈て頭には長い角が生え、背中からは大きくて立派な翼が現れたではないか。
「さぁ!これで完了よ?本来の姿に戻れてよかったわね、聖獣さん。」
と白馬から手を離してそう仰る母上に、
「え?白馬が聖獣?」
と聞くと、
「そうよ、マーミリアン。この子は呪いの類いのせいで本来の姿を封印されていたんだと思うの。」
「呪いで封印……ですか。」
「そうよ、マーミリアン。あの青龍も、昔はある魔女の呪いのせいで、黒い龍になってて、めちゃくちゃ悪い龍だったのよ。」
「え?青龍様が?悪い龍だったのですか?」
「えぇそうよ。まぁ、私が力でねじ伏せて、元の姿に戻したんだけどね。」
と、事も無げにコロコロと笑う母上。
「最初にこの子を診た時、身体の中に呪いの術式があるのを発見したの。しかも相当複雑な術式のね。」
「…………。」
「それを解術しながらの治癒魔法だったの。だから時間がかかったのよ。」
「そうだったのですか。でも母上!母上は、大丈夫なのですか?」
「え?何が?」
「解呪には、解呪した人間に対して呪い返しとか……そういうのがあると聞いた事が……。」
そう言った私を母上はギュッと抱きしめてくれ、
「心配してくれてありがとう、マーミリアン。貴方は本当に優しい子ね。私は大丈夫よ。私には、イズール様もルナ様もついているから。」
と仰った。
そうだ。母上はイズール様とルナ様の加護を受けられた聖女様だったんだ。
母上の腕の中でそんな事を考えていると、
「でもね?白馬が元気になったのは、貴方のおかげでもあるのよ?」
と仰った母上の顔を見上げる私を、優しい目をして見てくださる母上。
「私は何も……「してなくないでしょ?」え?」
「貴方が一生懸命お世話をしてくれたじゃない。その、優しい気持ちがこの子に伝わったのよ。ね?そうでしょ?聖獣のユニコーンさん?」
『あぁそうだな。そなたのいうとおりだ。』
「え?この声……白馬?」
『我はユニコーン。人々からは聖獣と言われている。此度は我を救ってくれ手当てまでしてくれたそなた達に感謝する。』
そう言って白馬……いやユニコーン様は、戸惑う私の顔にその鼻先を擦り付けてきたんだ。
だが、母上が仰るには、白馬が受けた傷は人間によるのものでも、魔獣からのものでもないそうで、
「得体がしれない分、不気味よね。少し調べてみようかしら。」
と仰って、毎日夜遅くまで文献等を調べておられた。
私は、私が出来ることをしようと、毎日毎日座学や剣術の勉強の合間を縫っては厩へ足を運び、白馬に飼葉を与えたり、新鮮な野菜を与えたりした。
勿論、両親の愛馬達にもだ。
また、まだ遠距離を歩けない白馬の為に、領地を流れる沢から綺麗な水を汲んできては水桶に入れてやったり、その水で身体を洗ってやったりした。
そんな甲斐があってか?白馬は、日を追う事に元気になっていった。
「さぁ!今日の治癒魔法であなたの治療は終了よ。よく頑張ったわね。」
そう言って母上は、白馬の腹をポンポンと叩くと、治癒魔法をかけ始めた。
するとどうだ!白馬の身体がどんどん大きくなり、軈て頭には長い角が生え、背中からは大きくて立派な翼が現れたではないか。
「さぁ!これで完了よ?本来の姿に戻れてよかったわね、聖獣さん。」
と白馬から手を離してそう仰る母上に、
「え?白馬が聖獣?」
と聞くと、
「そうよ、マーミリアン。この子は呪いの類いのせいで本来の姿を封印されていたんだと思うの。」
「呪いで封印……ですか。」
「そうよ、マーミリアン。あの青龍も、昔はある魔女の呪いのせいで、黒い龍になってて、めちゃくちゃ悪い龍だったのよ。」
「え?青龍様が?悪い龍だったのですか?」
「えぇそうよ。まぁ、私が力でねじ伏せて、元の姿に戻したんだけどね。」
と、事も無げにコロコロと笑う母上。
「最初にこの子を診た時、身体の中に呪いの術式があるのを発見したの。しかも相当複雑な術式のね。」
「…………。」
「それを解術しながらの治癒魔法だったの。だから時間がかかったのよ。」
「そうだったのですか。でも母上!母上は、大丈夫なのですか?」
「え?何が?」
「解呪には、解呪した人間に対して呪い返しとか……そういうのがあると聞いた事が……。」
そう言った私を母上はギュッと抱きしめてくれ、
「心配してくれてありがとう、マーミリアン。貴方は本当に優しい子ね。私は大丈夫よ。私には、イズール様もルナ様もついているから。」
と仰った。
そうだ。母上はイズール様とルナ様の加護を受けられた聖女様だったんだ。
母上の腕の中でそんな事を考えていると、
「でもね?白馬が元気になったのは、貴方のおかげでもあるのよ?」
と仰った母上の顔を見上げる私を、優しい目をして見てくださる母上。
「私は何も……「してなくないでしょ?」え?」
「貴方が一生懸命お世話をしてくれたじゃない。その、優しい気持ちがこの子に伝わったのよ。ね?そうでしょ?聖獣のユニコーンさん?」
『あぁそうだな。そなたのいうとおりだ。』
「え?この声……白馬?」
『我はユニコーン。人々からは聖獣と言われている。此度は我を救ってくれ手当てまでしてくれたそなた達に感謝する。』
そう言って白馬……いやユニコーン様は、戸惑う私の顔にその鼻先を擦り付けてきたんだ。
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