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第6章 番外編(聖獣ユニコーンとの出会い)
白馬を救う 1
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苦しそう息にをする白馬を、私とターシャは一生懸命励ましながら身体をさすってやっていた。
すると、私達のすぐ近くに魔法陣が現れ、そこから2人の人間が現れた。
「父様!母様!」
そう。転移魔法の魔法陣から現れたのは、私達兄妹の両親だ。
「マーミリアン!シア!二人共無事で良かったわ。で、怪我をしている白馬はどこにいるの?」
と私達を抱き締める母上に、
「母上。白馬は此方です。」
と言って、母上に白馬を見せた。
私に促された母上は、早速白馬の状態を確認し始めた。
私達はそんな母上の邪魔にならないように、離れた場所にいらっしゃる父上の傍に駆け寄った。
すると父上は、
「子供達だけでよく頑張ったな。マーミリアン、ナターシャ。2人共偉かったぞ。あぁ…。マコを呼ぶ様ナターシャを通してイズール様に頼んだのは、マーミリアンだそうだな。機転の利いた良い判断だった。」
と仰って、私の頭を撫でて下さった。
『リューベックよ。そもそも白馬の助けを求める声を聞いたのは姫だ。姫があれを見つけなかったら、今頃あれは生命を落としておった筈だ。』
と青龍様のお声が聞こえてきたが、いらっしゃると思っていた空を見上げキョロキョロと探してみたが、青龍様のお姿は何処にも見当たらない。
「あれ?青龍?何処?何処にいるの?」
と、ターシャも同じように空を仰ぎみて探している。
すると、
『私は此処におるぞ、姫。兄君。』
と何処からか、青龍様の声が聞こえた。
その声が聞こえた方を見ると、そこには父上の両の手のひらに乗るくらいの大きさになられた青龍様がふわふわと浮いておられたんだ。
「まぁ!青龍ったら!なんて可愛らしいの?ねぇねぇ。シアの手の上に乗って下さいな。」
とターシャは、青龍様に可愛らしくお強請りをする。
青龍様は、ターシャの願いどおり彼女の手のひらにそのお身体を横たわられると、
「可愛いわ、青龍。このままお家に連れ帰りたいわ。」
と言って、ターシャは手のひらの上の青龍様のある部分以外の部位を撫でまわしていた。
ある部分とは…まだターシャが2歳の頃だっただろう。
私達が森の泉で初めて青龍様にお会いした時、母上がこう仰った。
「いいこと?今から青龍を呼ぶけれど、青龍の身体の中で、絶対に触ってはいけない部分があるの。」
「触ってはいけない?それはどこですか?」
と私が聞くと、
「それはね。龍の頭というか、喉の下くらいに逆さまに生えている鱗があるの。その鱗に触ると、龍は途端に暴れ出すと言われているの。それはもう手が付けられない程にね。だからそこは絶対に触っては駄目よ。」
と教えて下さった。
その教えをターシャは幼いながらもよく覚えていて、今もそこには触れない様に注意しながら青龍様を愛でていた。
そんなターシャから視線を白馬に戻すと、母上が白馬に治癒魔法と回復魔法をかけている真っ最中だった。
そっと母上の元に近づき
「白馬の様子は如何ですか?」
と聞くと、
「とりあえず、回復魔法をかけて、体力だけは戻しておいたわ。でも……人間と違って、獣に対して、治癒魔法を一気にはかける事は出来ないのよ。」
と仰る母上。
「それは何故なのですか?」
と聞くと、
「この世界に住む獣は、多かれ少なかれ魔力を持っているものなの。だから、自分と違う魔力が身体に入ってくると、それを異物とみなして、拒否反応を起こしやすいのよ。回復魔法は、身体の栄養剤みたいなものだから良いんだけど、治癒魔法は、言ってみれば薬だからね。獣達にとって必要以上の薬は、却って毒になってしまうのよ。」
と説明して下さった。
「一応、呼吸は安定してきてはいるけれど、この白馬……どうしようかしら。」
と仰る母上に、
「でも……このまま此処に置いておいたら、他の獣にやられてしまいます。そんな酷い事、絶対に出来ません!」
と、私は母上に縋りついて懇願した。
「そうね。此処に置いておいたら、マーミリアンが言うとおりになってしまうわね。」
と仰ったまま、空を見つめ何かを考えられている母上。
「大丈夫だよ、白馬。母上がお前を治してくれるからね。安心おし?」
と言って白馬を撫でてやっていると、
「ねぇリック?この大きさなら、馬車に乗るかしら?」
と母上が父上にそう聞いていた。
「そうだな。まだ子供の様だから大丈夫だろう。邸まで乗せて帰るんだな?」
と母上の問いにお答えになられる父上。
私はそんなお二人のやり取りを聞いて、
「良かったね、白馬。もう大丈夫だよ。」
と言ってやると、白馬は安心したかのように、目を閉じたんだ。
すると、私達のすぐ近くに魔法陣が現れ、そこから2人の人間が現れた。
「父様!母様!」
そう。転移魔法の魔法陣から現れたのは、私達兄妹の両親だ。
「マーミリアン!シア!二人共無事で良かったわ。で、怪我をしている白馬はどこにいるの?」
と私達を抱き締める母上に、
「母上。白馬は此方です。」
と言って、母上に白馬を見せた。
私に促された母上は、早速白馬の状態を確認し始めた。
私達はそんな母上の邪魔にならないように、離れた場所にいらっしゃる父上の傍に駆け寄った。
すると父上は、
「子供達だけでよく頑張ったな。マーミリアン、ナターシャ。2人共偉かったぞ。あぁ…。マコを呼ぶ様ナターシャを通してイズール様に頼んだのは、マーミリアンだそうだな。機転の利いた良い判断だった。」
と仰って、私の頭を撫でて下さった。
『リューベックよ。そもそも白馬の助けを求める声を聞いたのは姫だ。姫があれを見つけなかったら、今頃あれは生命を落としておった筈だ。』
と青龍様のお声が聞こえてきたが、いらっしゃると思っていた空を見上げキョロキョロと探してみたが、青龍様のお姿は何処にも見当たらない。
「あれ?青龍?何処?何処にいるの?」
と、ターシャも同じように空を仰ぎみて探している。
すると、
『私は此処におるぞ、姫。兄君。』
と何処からか、青龍様の声が聞こえた。
その声が聞こえた方を見ると、そこには父上の両の手のひらに乗るくらいの大きさになられた青龍様がふわふわと浮いておられたんだ。
「まぁ!青龍ったら!なんて可愛らしいの?ねぇねぇ。シアの手の上に乗って下さいな。」
とターシャは、青龍様に可愛らしくお強請りをする。
青龍様は、ターシャの願いどおり彼女の手のひらにそのお身体を横たわられると、
「可愛いわ、青龍。このままお家に連れ帰りたいわ。」
と言って、ターシャは手のひらの上の青龍様のある部分以外の部位を撫でまわしていた。
ある部分とは…まだターシャが2歳の頃だっただろう。
私達が森の泉で初めて青龍様にお会いした時、母上がこう仰った。
「いいこと?今から青龍を呼ぶけれど、青龍の身体の中で、絶対に触ってはいけない部分があるの。」
「触ってはいけない?それはどこですか?」
と私が聞くと、
「それはね。龍の頭というか、喉の下くらいに逆さまに生えている鱗があるの。その鱗に触ると、龍は途端に暴れ出すと言われているの。それはもう手が付けられない程にね。だからそこは絶対に触っては駄目よ。」
と教えて下さった。
その教えをターシャは幼いながらもよく覚えていて、今もそこには触れない様に注意しながら青龍様を愛でていた。
そんなターシャから視線を白馬に戻すと、母上が白馬に治癒魔法と回復魔法をかけている真っ最中だった。
そっと母上の元に近づき
「白馬の様子は如何ですか?」
と聞くと、
「とりあえず、回復魔法をかけて、体力だけは戻しておいたわ。でも……人間と違って、獣に対して、治癒魔法を一気にはかける事は出来ないのよ。」
と仰る母上。
「それは何故なのですか?」
と聞くと、
「この世界に住む獣は、多かれ少なかれ魔力を持っているものなの。だから、自分と違う魔力が身体に入ってくると、それを異物とみなして、拒否反応を起こしやすいのよ。回復魔法は、身体の栄養剤みたいなものだから良いんだけど、治癒魔法は、言ってみれば薬だからね。獣達にとって必要以上の薬は、却って毒になってしまうのよ。」
と説明して下さった。
「一応、呼吸は安定してきてはいるけれど、この白馬……どうしようかしら。」
と仰る母上に、
「でも……このまま此処に置いておいたら、他の獣にやられてしまいます。そんな酷い事、絶対に出来ません!」
と、私は母上に縋りついて懇願した。
「そうね。此処に置いておいたら、マーミリアンが言うとおりになってしまうわね。」
と仰ったまま、空を見つめ何かを考えられている母上。
「大丈夫だよ、白馬。母上がお前を治してくれるからね。安心おし?」
と言って白馬を撫でてやっていると、
「ねぇリック?この大きさなら、馬車に乗るかしら?」
と母上が父上にそう聞いていた。
「そうだな。まだ子供の様だから大丈夫だろう。邸まで乗せて帰るんだな?」
と母上の問いにお答えになられる父上。
私はそんなお二人のやり取りを聞いて、
「良かったね、白馬。もう大丈夫だよ。」
と言ってやると、白馬は安心したかのように、目を閉じたんだ。
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追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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