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第6章 番外編(聖獣ユニコーンとの出会い)
プロローグ 白馬との出会い 2
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『どうだ?姫よ。気分は悪く無いか?』
「平気ですわ、青龍。」
『そうか。兄君はどうだ?』
「はい。私も平気です、青龍様。」
と、青龍様は私達を気づかいながら、空の旅を楽しんでおられました。
私達がこのような上空にいても地上と遜色なく呼吸が出来ますのは、青龍様が張って下さっている"結界”によるものです。
結界内は、私達が楽に呼吸出来るだけでなく、落下の防止や他からの攻撃をも防 いでくれるのでとても快適なのです。
そんな空の旅を楽しんでいると、妹 ターシャ(本人や母上はシアと呼んでいますが、私は妹をターシャと呼んでいます。)が、
「青龍!止まって!」
と青龍様に停止して頂く様に言ったのです。
青龍様はターシャの事を"姫”と呼びとても可愛いがっておられます。なので、ターシャの願い事は即座に叶えられます。
当然今回であっても、
『如何した?姫よ。』
と仰って地上から遥か上空で停止なさいました。
「聞こえるわ。ね?兄様も聞こえるでしょう?」
と言って青龍様の上で耳を澄ますターシャ。だが私には何も聞こえない。
「何も聞こえないよ?ターシャ。何が聞こえるの?」
と聞くと、
「声が聞こえるの。助けて!て言ってるわ。青龍!シアをその声の方へ連れて行って!!早く!」
『承知した!どちらへ向かえばいいのだ?姫よ。』
「えっとね……あっち!」
そう言って、母上が青龍様の角に付けられた紐の片方を引っ張り、青龍様の顔を進行方向へと向ける。
『あちらだな?向かうぞ。しっかり捕まっておれ。』
そう仰って、青龍様は先程より少し早い速さで空を進んでいく。
「だんだん声が大きくなってきたわ。このまま真っ直ぐ進んでね、青龍。」
『承知した。』
その後も空をぐんぐん進んで行く青龍様。
時間にして数分後だろうか?
ターシャが突然
「あ!あそこだわ!青龍!あそこに降りて!」
と言って右斜め下を指さした。
ターシャの後ろに座っている私には見えなかったが、
『おや?あれは…。うむ………。姫、兄君、降りるぞ。』
と仰って、ターシャが指したその方向に何かをその視界に捉えられた青龍様は、ぐんぐんと下降していったんだ。
青龍様が、そのお背中から飛び降りても平気な高さまで降りてくださったその途端!そこから飛び降り駆け出すターシャ。
彼女を追って私も走った。
「いたわ!兄様、あそこよ!」
と言うターシャが指している指を辿っていくと、そこには傷付き蹲っている一頭の真っ白い馬がいた。
私は急いでそれに走り寄り、怪我の具合を確かめた。
苦しそうに息をしている白馬の眼は、今にも光を消してしまいそうだった。
「ターシャ!今すぐイズール様を呼んで!母上に連絡をして欲しいと伝えてくれ!!」
私は白馬の身体を撫でてやりながらターシャに向かいそう叫んだ。
「分かったわ兄様!」
そう言ってターシャは、いつも首にさげている十字架を握って天を仰ぎみると、
「イズール様!イズール様!今すぐ母様を呼んできて下さい!」
と叫んだ。
するとナターシャの十字架が光を放ち、上空にその光が投影されるかのように大きく広がったかと思うと、
『どうしたの?私の愛し子ナターシャ。』
とその光の中から声が聞こえてきた。
「イズール様!お馬さんが大変なの!だから母様を!母様を此処に呼んできて欲しいの!」
とターシャが叫ぶ。
『分かったわ、ナターシャ。大丈夫だから落ち着いてね。直ぐにマコを呼んでくるわ。だからそこでちゃんと待ってなさいね。』
と言う声が聞こえたかと思うと、光は一瞬にして消え、辺りはまた先程の明るさへと戻った。
私はイズール様が母上を呼んできてくれるのだと分かると、
「もう少し…もう少しだけ頑張っておくれ。もう直ぐ私の母上が此処に来て下さる。母上は聖女様だから、きっとお前の身体を治してくれるからね。」
と言って、白馬を励まし続けたんだ。
「平気ですわ、青龍。」
『そうか。兄君はどうだ?』
「はい。私も平気です、青龍様。」
と、青龍様は私達を気づかいながら、空の旅を楽しんでおられました。
私達がこのような上空にいても地上と遜色なく呼吸が出来ますのは、青龍様が張って下さっている"結界”によるものです。
結界内は、私達が楽に呼吸出来るだけでなく、落下の防止や他からの攻撃をも防 いでくれるのでとても快適なのです。
そんな空の旅を楽しんでいると、妹 ターシャ(本人や母上はシアと呼んでいますが、私は妹をターシャと呼んでいます。)が、
「青龍!止まって!」
と青龍様に停止して頂く様に言ったのです。
青龍様はターシャの事を"姫”と呼びとても可愛いがっておられます。なので、ターシャの願い事は即座に叶えられます。
当然今回であっても、
『如何した?姫よ。』
と仰って地上から遥か上空で停止なさいました。
「聞こえるわ。ね?兄様も聞こえるでしょう?」
と言って青龍様の上で耳を澄ますターシャ。だが私には何も聞こえない。
「何も聞こえないよ?ターシャ。何が聞こえるの?」
と聞くと、
「声が聞こえるの。助けて!て言ってるわ。青龍!シアをその声の方へ連れて行って!!早く!」
『承知した!どちらへ向かえばいいのだ?姫よ。』
「えっとね……あっち!」
そう言って、母上が青龍様の角に付けられた紐の片方を引っ張り、青龍様の顔を進行方向へと向ける。
『あちらだな?向かうぞ。しっかり捕まっておれ。』
そう仰って、青龍様は先程より少し早い速さで空を進んでいく。
「だんだん声が大きくなってきたわ。このまま真っ直ぐ進んでね、青龍。」
『承知した。』
その後も空をぐんぐん進んで行く青龍様。
時間にして数分後だろうか?
ターシャが突然
「あ!あそこだわ!青龍!あそこに降りて!」
と言って右斜め下を指さした。
ターシャの後ろに座っている私には見えなかったが、
『おや?あれは…。うむ………。姫、兄君、降りるぞ。』
と仰って、ターシャが指したその方向に何かをその視界に捉えられた青龍様は、ぐんぐんと下降していったんだ。
青龍様が、そのお背中から飛び降りても平気な高さまで降りてくださったその途端!そこから飛び降り駆け出すターシャ。
彼女を追って私も走った。
「いたわ!兄様、あそこよ!」
と言うターシャが指している指を辿っていくと、そこには傷付き蹲っている一頭の真っ白い馬がいた。
私は急いでそれに走り寄り、怪我の具合を確かめた。
苦しそうに息をしている白馬の眼は、今にも光を消してしまいそうだった。
「ターシャ!今すぐイズール様を呼んで!母上に連絡をして欲しいと伝えてくれ!!」
私は白馬の身体を撫でてやりながらターシャに向かいそう叫んだ。
「分かったわ兄様!」
そう言ってターシャは、いつも首にさげている十字架を握って天を仰ぎみると、
「イズール様!イズール様!今すぐ母様を呼んできて下さい!」
と叫んだ。
するとナターシャの十字架が光を放ち、上空にその光が投影されるかのように大きく広がったかと思うと、
『どうしたの?私の愛し子ナターシャ。』
とその光の中から声が聞こえてきた。
「イズール様!お馬さんが大変なの!だから母様を!母様を此処に呼んできて欲しいの!」
とターシャが叫ぶ。
『分かったわ、ナターシャ。大丈夫だから落ち着いてね。直ぐにマコを呼んでくるわ。だからそこでちゃんと待ってなさいね。』
と言う声が聞こえたかと思うと、光は一瞬にして消え、辺りはまた先程の明るさへと戻った。
私はイズール様が母上を呼んできてくれるのだと分かると、
「もう少し…もう少しだけ頑張っておくれ。もう直ぐ私の母上が此処に来て下さる。母上は聖女様だから、きっとお前の身体を治してくれるからね。」
と言って、白馬を励まし続けたんだ。
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