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第6章 番外編(聖獣ユニコーンとの出会い)
プロローグ 白馬との出会い 1
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「母様~。早く早く~。」
そう私を大きな声で呼ぶのは、5歳になった娘 ナターシャだ。
今日私達家族は、久しぶりにカルディール伯爵家の領地の外れにある森の泉に住む青龍に会いに来ていた。
ナターシャは、ことのほか青龍が好きで、そんな娘の事を青龍も可愛がっている様だ。
「青龍様~。シアが参りました~。」
泉に到着するやいなや、ナターシャは湖面に向かい大きな声で青龍を呼んだ。
暫くすると、それ迄凪いでいた湖面が小さく揺れたかと思うと、大きな渦が出来、その中から青く美しい龍が豪快な水しぶきと共に現れた。
『久しいな、聖女マコ。そして我が姫 ナターシャ。』
と言ってくる青龍に、水しぶきを避ける為に差した傘の下から見上げ、
「青龍様~。お会いしたかったです。」
と言って手を伸ばす我が娘を、目を細め愛おしそうに見る青龍。
「お久しぶりね、青龍。湖の中での生活は快適なの?」
と聞けば、
『あぁ、申し分ないな。そなたが受けている女神イズールと妹神ルナの加護によるものであろう力が、この湖内に浸透しておるからであろう。』
と、ご自慢の長い髭を揺らしながら嬉しそうな顔(に見える)でそう言う青龍。
確かに私はカルディール伯爵領と、隣地であるカルディール侯爵領、2つの領地に結界を張っている。だからこそ、空気は澄み、領地内は清流が流ている。無論、この湖の水も同様に澄んでいる為、近頃では魔物では無い動物が憩う場にもなっている様だった。
「あなたにとって住み心地が良いのなら問題は無いわね。」
と言っていると、
「青龍様。シアはお空を飛びたいのです。」
と言って、青龍に向かって両手を伸ばすナターシャに、
『よかろう。姫よ、私に乗るがよい。』
と言って、その巨大な体を少し小さく変えて、ナターシャが乗りやすい様に下に降りて来る青龍。
それを見たマーミリアンも
「私も乗りたいです、青龍様。」
と懇願すると、青龍は息子の願いを快諾してくれた。
「2人共落ちない様にしっかり捕まっていなさいね。」
と言って、私は青龍に断りを入れ、彼の立派な角の根元近くに手網の様な革紐を括りつけ、それを子供達の腰にくるりと1周ずつ回し、2人の小さな体を固定した。
「大丈夫よ、母様。青龍は私達を落とすなんて絶対になさらないもの。」
「そうですよ、母上。ご安心下さいませ。」
と言って青龍の角をしっかり持つナターシャを、後ろから支える様にして同じ様に角に捕まるマーミリアン。
『聖女マコが心配せずとも落としはせぬ。それに、飛ぶ時は姫達を守る為結界を張っておるしな。』
と得意気に言う青龍に、
「分かったわ。兎に角気をつけるのよ。行ってらっしゃい。」
と言って、私は青龍から離れリックの隣に立った。
「行って参ります、父上、母上。」
「行ってきます、お父様、お母様。」
「あぁ。気をつけて行きなさい。」
とリックと私に挨拶をする子供達の言葉の後、
『では参るぞ!』
と言って青龍は空高く登って行ったかと思ったら、あっという間に見えなくなっていった。
「あんな風に一気に上昇したら、子供達が怖がるじゃない!それに酸素不足になるわ。」
とブツブツ文句を言う私の肩をそっと抱いて、
「青龍様にお任せしておけばいい。俺達も少し走るか?」
と優しく言うリック。
「そうね、素敵な提案だわ。2人きりの時間も必要だものね。」
と言って背の高いリックの体にそっと頭をつけた。
「あぁ。」
と言って、リックは愛馬のマークを指笛で呼んだの。
この時は、まさか子供達があんな事になるとは思ってもみなかったわ。
そう私を大きな声で呼ぶのは、5歳になった娘 ナターシャだ。
今日私達家族は、久しぶりにカルディール伯爵家の領地の外れにある森の泉に住む青龍に会いに来ていた。
ナターシャは、ことのほか青龍が好きで、そんな娘の事を青龍も可愛がっている様だ。
「青龍様~。シアが参りました~。」
泉に到着するやいなや、ナターシャは湖面に向かい大きな声で青龍を呼んだ。
暫くすると、それ迄凪いでいた湖面が小さく揺れたかと思うと、大きな渦が出来、その中から青く美しい龍が豪快な水しぶきと共に現れた。
『久しいな、聖女マコ。そして我が姫 ナターシャ。』
と言ってくる青龍に、水しぶきを避ける為に差した傘の下から見上げ、
「青龍様~。お会いしたかったです。」
と言って手を伸ばす我が娘を、目を細め愛おしそうに見る青龍。
「お久しぶりね、青龍。湖の中での生活は快適なの?」
と聞けば、
『あぁ、申し分ないな。そなたが受けている女神イズールと妹神ルナの加護によるものであろう力が、この湖内に浸透しておるからであろう。』
と、ご自慢の長い髭を揺らしながら嬉しそうな顔(に見える)でそう言う青龍。
確かに私はカルディール伯爵領と、隣地であるカルディール侯爵領、2つの領地に結界を張っている。だからこそ、空気は澄み、領地内は清流が流ている。無論、この湖の水も同様に澄んでいる為、近頃では魔物では無い動物が憩う場にもなっている様だった。
「あなたにとって住み心地が良いのなら問題は無いわね。」
と言っていると、
「青龍様。シアはお空を飛びたいのです。」
と言って、青龍に向かって両手を伸ばすナターシャに、
『よかろう。姫よ、私に乗るがよい。』
と言って、その巨大な体を少し小さく変えて、ナターシャが乗りやすい様に下に降りて来る青龍。
それを見たマーミリアンも
「私も乗りたいです、青龍様。」
と懇願すると、青龍は息子の願いを快諾してくれた。
「2人共落ちない様にしっかり捕まっていなさいね。」
と言って、私は青龍に断りを入れ、彼の立派な角の根元近くに手網の様な革紐を括りつけ、それを子供達の腰にくるりと1周ずつ回し、2人の小さな体を固定した。
「大丈夫よ、母様。青龍は私達を落とすなんて絶対になさらないもの。」
「そうですよ、母上。ご安心下さいませ。」
と言って青龍の角をしっかり持つナターシャを、後ろから支える様にして同じ様に角に捕まるマーミリアン。
『聖女マコが心配せずとも落としはせぬ。それに、飛ぶ時は姫達を守る為結界を張っておるしな。』
と得意気に言う青龍に、
「分かったわ。兎に角気をつけるのよ。行ってらっしゃい。」
と言って、私は青龍から離れリックの隣に立った。
「行って参ります、父上、母上。」
「行ってきます、お父様、お母様。」
「あぁ。気をつけて行きなさい。」
とリックと私に挨拶をする子供達の言葉の後、
『では参るぞ!』
と言って青龍は空高く登って行ったかと思ったら、あっという間に見えなくなっていった。
「あんな風に一気に上昇したら、子供達が怖がるじゃない!それに酸素不足になるわ。」
とブツブツ文句を言う私の肩をそっと抱いて、
「青龍様にお任せしておけばいい。俺達も少し走るか?」
と優しく言うリック。
「そうね、素敵な提案だわ。2人きりの時間も必要だものね。」
と言って背の高いリックの体にそっと頭をつけた。
「あぁ。」
と言って、リックは愛馬のマークを指笛で呼んだの。
この時は、まさか子供達があんな事になるとは思ってもみなかったわ。
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