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第5章 異世界で得たものは
領民達へ
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封印を終え無事に領地に帰ってきた私達は、領民達に大歓迎され囲まれた状態で、リックのご両親が住むカルディール侯爵のお屋敷前にある大きな広場までやってきた。
広場には、豊穣祭の時の様なステージが組まれており、領民の皆が帰郷を心待ちにしてくれていた事が伺い知れた。
壇上に昇った閣下夫妻が、私とリックを壇上に促す。
「領地の民よ。我が息子リューベックと、カルディールの聖女マコが、魔女の呪いの封印を終え帰ってきてくれた。」
「おおー!!」
「リューベック様!!マコ様!お帰りなさい!」
拍手の渦の中、カルディール閣下は続けた。
「此度の封印により、我が息子リューベックは、ダイバル国王より【伯爵位】を賜った。なんという名誉であろう。」
民がそれを賞賛する声に頷きながら、閣下は言葉を続ける。
「よって、リューベックには、先代侯爵の弟であるアランドール様の領地、叔父上には子供がおらなかった為、今は私が統治しておる我が侯爵領の隣の領地を引き継いで貰おうと考えている。」
その言葉には私も驚いてしまった。まさかリックが領地を貰えるなんて思ってもみなかった。が、もっと驚いたのは領民の1人が言った言葉だった。
「侯爵様!」
「何だ?ヨハン。申してみよ。」
「侯爵様ありがとうございます。」
ヨハンさんて……と考えていた私の耳元で、
「商業街を仕切っている長だな。」
ボソッとリックが教えてくれた。
「リューベック様が隣りの領地に行ってしまわれたら、この領地の自衛は誰がやって下さるのでしょうか?」
「おお!確かにそうだな。」
「リューベック様の自衛団が無くなるのは不安だわ。」
不安を口にする領民達に、
「そのあたりは私も考えている。リューベックに継いで貰う領地は、この領地の西側になる。リューベック領と我が領地 の間にある砦を1部壊し、互いの領民同士が自由に行き来出来る様にと考えておるのだが、どうであろう!」
これには領民達は大賛成で、流石は領主様だと拍手喝采だった。
「それから、リューベックより皆に言わなくては成らぬ事があるという。聞いてやってくれ。」
侯爵閣下に促され、リックが中央に立ち声を張った。
「領地の皆に、私達が無事に帰ってこれた事を報告出来た事、嬉しく思う。ありがとう。」
リックの言葉に温かい拍手が送られた。
リックは続けて、
「先程父上である侯爵閣下より、領地を賜る事が出来、光栄に思うと同時に、閣下の慈悲深いお心遣いに感謝している。父上。有り難いご温情、ありがとう存じます。」
「あぁ。精進しなさい、リューベック。」
「はい。」
深々と頭を下げるリックに向けられた侯爵閣下の温かい眼差しに、私は思わず泣きそうになった。
「皆に報告がある。マコ!此方へ」
突然壇上中央に呼ばれリックの傍に行くと、
「私、リューベック=カルディールは、1週間前、王都にてここにいる聖女マコと婚約をした!」
驚きどよめく人々の声も聞こえるが、豊穣祭の夜以降の私達の様子を知っていてくれる皆は、
「リューベック様万歳!!」
「伯爵様!おめでとうございます!!」
と言ってくれる人達もいた。
「これからマコと2人、互いに支え合い、領地を盛り上げ護っていきたいとおもっている。皆、宜しく頼む。」
民衆に向い頭を下げるリック。
私もリックの隣りで頭を下げた。
そんな私達の頭の上から、祝福の伯爵が降り注ぐ。
顔を上げると、女神様が微笑んでいてくれた
広場には、豊穣祭の時の様なステージが組まれており、領民の皆が帰郷を心待ちにしてくれていた事が伺い知れた。
壇上に昇った閣下夫妻が、私とリックを壇上に促す。
「領地の民よ。我が息子リューベックと、カルディールの聖女マコが、魔女の呪いの封印を終え帰ってきてくれた。」
「おおー!!」
「リューベック様!!マコ様!お帰りなさい!」
拍手の渦の中、カルディール閣下は続けた。
「此度の封印により、我が息子リューベックは、ダイバル国王より【伯爵位】を賜った。なんという名誉であろう。」
民がそれを賞賛する声に頷きながら、閣下は言葉を続ける。
「よって、リューベックには、先代侯爵の弟であるアランドール様の領地、叔父上には子供がおらなかった為、今は私が統治しておる我が侯爵領の隣の領地を引き継いで貰おうと考えている。」
その言葉には私も驚いてしまった。まさかリックが領地を貰えるなんて思ってもみなかった。が、もっと驚いたのは領民の1人が言った言葉だった。
「侯爵様!」
「何だ?ヨハン。申してみよ。」
「侯爵様ありがとうございます。」
ヨハンさんて……と考えていた私の耳元で、
「商業街を仕切っている長だな。」
ボソッとリックが教えてくれた。
「リューベック様が隣りの領地に行ってしまわれたら、この領地の自衛は誰がやって下さるのでしょうか?」
「おお!確かにそうだな。」
「リューベック様の自衛団が無くなるのは不安だわ。」
不安を口にする領民達に、
「そのあたりは私も考えている。リューベックに継いで貰う領地は、この領地の西側になる。リューベック領と我が領地 の間にある砦を1部壊し、互いの領民同士が自由に行き来出来る様にと考えておるのだが、どうであろう!」
これには領民達は大賛成で、流石は領主様だと拍手喝采だった。
「それから、リューベックより皆に言わなくては成らぬ事があるという。聞いてやってくれ。」
侯爵閣下に促され、リックが中央に立ち声を張った。
「領地の皆に、私達が無事に帰ってこれた事を報告出来た事、嬉しく思う。ありがとう。」
リックの言葉に温かい拍手が送られた。
リックは続けて、
「先程父上である侯爵閣下より、領地を賜る事が出来、光栄に思うと同時に、閣下の慈悲深いお心遣いに感謝している。父上。有り難いご温情、ありがとう存じます。」
「あぁ。精進しなさい、リューベック。」
「はい。」
深々と頭を下げるリックに向けられた侯爵閣下の温かい眼差しに、私は思わず泣きそうになった。
「皆に報告がある。マコ!此方へ」
突然壇上中央に呼ばれリックの傍に行くと、
「私、リューベック=カルディールは、1週間前、王都にてここにいる聖女マコと婚約をした!」
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「リューベック様万歳!!」
「伯爵様!おめでとうございます!!」
と言ってくれる人達もいた。
「これからマコと2人、互いに支え合い、領地を盛り上げ護っていきたいとおもっている。皆、宜しく頼む。」
民衆に向い頭を下げるリック。
私もリックの隣りで頭を下げた。
そんな私達の頭の上から、祝福の伯爵が降り注ぐ。
顔を上げると、女神様が微笑んでいてくれた
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