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第4章 マコこそが真の聖女

リューベックという男

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「「乾杯」」
我がカルディール侯爵家の王都にある屋敷で、俺とマコはグラスを合わせ、お互いの労をねぎらう。
マコはあまり酒に強くないらしい。
だから俺は、マコには軽くてフルーティーなシャンパンにした。
勿論俺はフルボディーの赤ワインだ。

「ふぅ~。美味し。」

「あぁ。美味いな。」

「リック。ほんとにお疲れ様。」

「マコもな。」

そう言って頭をでてやる。
マコは嬉しそうに目を細め、

「うん」

と言って俺に寄り掛かる。
マコと過ごすこういう時間が、俺は気に入っている。
少し前までは、俺は1人の時間が好きだったが、今ではマコがいないと物足りなくなってしまった。

「どうしたの?リック」

「ん?あぁ。静かだな。」

「そうだね。この一週間、ずっと準備とか移動とかで忙しかったもんね。」

「そうだったな。」

「でも…終わった…ね。」

「いろいろあったがな。」

「ほんと、あり過ぎだよ。」

そう言ってクスクス笑うマコが可愛過ぎて軽く口付けをすると、真っ赤になってうつむくマコ。

「どうした?もう酔ったのか?」

俺がクスクス笑うと「酔ってない!」とねる。
こんなに可愛い女が、あれ程の魔法を操り瘴気しょうきをもものともせず封印をしたマコ。

実は、洞窟内で黒龍とやり合ったと、あっけらかんと言われた時は、俺のきもは縮み上がったものだ。

「ね?リック」

「何だ?」

「私もワイン貰ってもいい?」

「飲むか?」

「うん」

「但し、一口だぞ?」

「うん………… ゲッ!やっぱり苦味が苦手だな。」

「そうか?なら、これなら飲みやすくなるぞ」

俺はマコのあごを持ち上げ、ワインを一口口に含む。紅をさしたせいか?マコの赤くぷっくりした唇を奪うと、そのままマコの口にワインを流し込んだ。

「甘…い」

唇を離しマコを見つめる。ワインを飲み干したマコから潤んだ瞳で見つめられ、俺はマコの唇に噛み付く様に接吻キスをする。下唇を軽く吸うと唇が薄く開いた。その隙を狙って舌を入れ、歯列をなぞる。
マコの後頭部を押さえたまま、俺はマコとの接吻を堪能する。
苦しくなってきたらしいマコが、たまらず俺の胸を叩くまで、俺はマコとの接吻に酔いしれた。


お互いゆっくり風呂に入りネグリジェに着替えたマコが寝間に入って来た。
俺は読んでいた本を置き、ベッドサイドのチェストからビロードが張られた小さな箱を取り出した。

「身体冷やすぞ。」

と言って、バルコニーにたたずみ月を見上げるマコを後ろから抱き締めた。

「綺麗な月だね。」

「ああ。そうだな。」

「ね?リック」

「何だ?マコ」
「リックは幸せ?」

「ああ。幸せだ。俺にはマコがいるからな。」

「うん。私リックがいるから幸せだよ。」

「そうか?だったらもっと幸せになってくれ。」

俺はマコの左手薬指に俺の瞳の色によく似たシトリンを埋めた指輪をめ口付けを落とした。

マコは突然の事に驚いたようだったが、

「ありがとリック。嬉しい」

と目を細めた。

「俺にも嵌めてくれるか?」

そう言って指輪を渡す。

マコは震える手で、揃いの石が埋まっている指輪を左手薬指に嵌めてくれ、そこに口付けをしてくれた。と、その時だ。
俺たち2人を光が包み込んだ。
訳が分からず2人戸惑っていると……

『私は月の女神ルナ。貴方達2人に、私から祝福を』

と聞こえ、月の光がそのままお互いの宝石シトリンの中に入っていった。

『月の女神ルナは私イズールの妹よ。領地であなた方2人が豊穣祭の日、誓いあった永遠の愛の儀式を見ていたルナが、貴方達に月の力の加護を与えたの。』

「月の女神…」

「……ルナ様。御加護をありがとうございます。」

俺たちは、再び互いのシトリンに口付けを落とし、永遠の愛を誓い合った。
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