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第4章 マコこそが真の聖女
力の差は歴然と
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「チカ!何をしている!!父上を!」
「何をしているのだ、大臣!!直ぐさま従医を呼べ!」
大広間は騒然となり、貴族達も慌て出す。
私はずっとチカさんを見ていたが、ガタガタと震えながら立ち尽くしているだけだった。
「いいのか?」
リックの声に顔を上げリックを見る。
「いいのか?助けなくて。」
「…………」
「確かに陛下は、お前を侮辱した。憎くもあるだろう。」
「……」
「だが、お前に憎しみを持ち続ける事は出来ないだろう?お前は優しいから。」
「リック……」
「だからこそ、イズール様はお前を愛し子として選んだんだ。違うか?」
『そうよマコ。正義感が強く、努力家で優しい。そんな貴女だからこそ、私は愛し子として貴女をこの世界に召喚したの。』
「…………」
「マコ。無理するな。」
リックはやっぱり全部お見通しだった。
「うん、そうだね。王様、助けてくる。」
「あぁ。此処で待ってる。行ってこい。」
リックの優しい笑顔に背中を押され、私は王様の元に駆け寄った。
「退きなさい!」
王様の周りでおろおろするだけの王子とマミエルとか呼ばれてた貴族のおじさんを王様から離し、呼吸と心音を確認する。
取り敢えず意識が無いだけだと分かり、私はすくっと立ち上がると、王子の近くに立ちすくんでいたチカさんの手を引っ張った。
「え?マコ様。何?」
「アンタが救うのよ?チカさん」
「え?で、でも……私……」
「四の五の言わずにやる!ほら、来なさい!」
無理矢理王様の横にチカさんを座らせると、
「あなたも転生してきたのなら、人間の心臓がどの辺にあるのか知ってるよね?」
「は、はい。」
「なら、私の言うとおりにやってみて。」
私はチカさんの後ろに立ち指示を出す。
「先ずは、王様の心臓の辺りに、両手を重ねて翳して。」
チカさんは言われたとおりに手を翳す。
「そしたら、治って欲しい。て気持ちを込めて、【治癒】て言うの。」
「わ、私……魔法はまだ……「良いから!言われたとおりにしなさい。アンタのお義父さん、このままだと死んじゃうかもなんだからね?」」
私の脅しにビクッと肩を震わせるチカさんを庇うように、
「チカを脅すな!」
とンコ王子が文句を言ってきたから、
「ウザい!!アンタはちょっと黙ってな!そもそも、チカさんが魔法使えないとか、アンタのせいだってわかってんでしょ?邪魔するなら、このままお父さん助けるの止めるけど?」
私の剣幕に怯んだ王子は、後退った。
「マコ様……ごめんなさい。よ、宜しくお願いします。」
ゴニョニョ言ってる王子をガン無視すると、私はチカさんに後ろから彼女の両肩に手を乗せた。
「行くよ?」
頷くチカさんと一緒に
【治癒】
チカさんの身体が聖魔法につつまれ、彼女の手から発せられたエネルギーの塊の様な光が王様の身体の中へと入っていく。
「う…うう。」
「陛下!!」
「う……」
駆けつけた従医さんらしい人から
「もう大丈夫でしょう。チカ様。ありがとうございます。」
と言われたチカさんが戸惑っていた。
「わ、私は何も……」
言い淀むチカに従医は、
「奥ゆかしい聖女様ですね。」
「え?」
「だってそうでしょう。私が此方に参った時、陛下の近くにいらしたのは貴女様だけでしたよ。」
と笑顔で言った。
「何をしているのだ、大臣!!直ぐさま従医を呼べ!」
大広間は騒然となり、貴族達も慌て出す。
私はずっとチカさんを見ていたが、ガタガタと震えながら立ち尽くしているだけだった。
「いいのか?」
リックの声に顔を上げリックを見る。
「いいのか?助けなくて。」
「…………」
「確かに陛下は、お前を侮辱した。憎くもあるだろう。」
「……」
「だが、お前に憎しみを持ち続ける事は出来ないだろう?お前は優しいから。」
「リック……」
「だからこそ、イズール様はお前を愛し子として選んだんだ。違うか?」
『そうよマコ。正義感が強く、努力家で優しい。そんな貴女だからこそ、私は愛し子として貴女をこの世界に召喚したの。』
「…………」
「マコ。無理するな。」
リックはやっぱり全部お見通しだった。
「うん、そうだね。王様、助けてくる。」
「あぁ。此処で待ってる。行ってこい。」
リックの優しい笑顔に背中を押され、私は王様の元に駆け寄った。
「退きなさい!」
王様の周りでおろおろするだけの王子とマミエルとか呼ばれてた貴族のおじさんを王様から離し、呼吸と心音を確認する。
取り敢えず意識が無いだけだと分かり、私はすくっと立ち上がると、王子の近くに立ちすくんでいたチカさんの手を引っ張った。
「え?マコ様。何?」
「アンタが救うのよ?チカさん」
「え?で、でも……私……」
「四の五の言わずにやる!ほら、来なさい!」
無理矢理王様の横にチカさんを座らせると、
「あなたも転生してきたのなら、人間の心臓がどの辺にあるのか知ってるよね?」
「は、はい。」
「なら、私の言うとおりにやってみて。」
私はチカさんの後ろに立ち指示を出す。
「先ずは、王様の心臓の辺りに、両手を重ねて翳して。」
チカさんは言われたとおりに手を翳す。
「そしたら、治って欲しい。て気持ちを込めて、【治癒】て言うの。」
「わ、私……魔法はまだ……「良いから!言われたとおりにしなさい。アンタのお義父さん、このままだと死んじゃうかもなんだからね?」」
私の脅しにビクッと肩を震わせるチカさんを庇うように、
「チカを脅すな!」
とンコ王子が文句を言ってきたから、
「ウザい!!アンタはちょっと黙ってな!そもそも、チカさんが魔法使えないとか、アンタのせいだってわかってんでしょ?邪魔するなら、このままお父さん助けるの止めるけど?」
私の剣幕に怯んだ王子は、後退った。
「マコ様……ごめんなさい。よ、宜しくお願いします。」
ゴニョニョ言ってる王子をガン無視すると、私はチカさんに後ろから彼女の両肩に手を乗せた。
「行くよ?」
頷くチカさんと一緒に
【治癒】
チカさんの身体が聖魔法につつまれ、彼女の手から発せられたエネルギーの塊の様な光が王様の身体の中へと入っていく。
「う…うう。」
「陛下!!」
「う……」
駆けつけた従医さんらしい人から
「もう大丈夫でしょう。チカ様。ありがとうございます。」
と言われたチカさんが戸惑っていた。
「わ、私は何も……」
言い淀むチカに従医は、
「奥ゆかしい聖女様ですね。」
「え?」
「だってそうでしょう。私が此方に参った時、陛下の近くにいらしたのは貴女様だけでしたよ。」
と笑顔で言った。
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