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第4章 マコこそが真の聖女
愛し子の本気とざまぁ~合流編〜
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「隊形を崩すな!!」
「来るぞ!!魔術士、結界にて前線の隊員を守れ!」
「怪我人を後方へ!治癒班急げ!!」
「くっそ~。なんて瘴気だ!!」
「隊長!これ以上前に進むのは危険かと。」
「そうだな。よし!全隊一旦退け!退け!!」
「馬鹿野郎!!魔獣に背中を見せるな!殺られるぞ!」
討伐隊隊長は、一度ベースキャンプまで隊員を退かせ、術者に張らせた結界内に入る。
隊員150人を率いる隊長は、怪我人を治癒士達に任せ、小隊長を集め今後の事を話し合い始めた。
「隊長!これ以上の前進は我々には無理かと…。」
「私もそう思います。怪我人が増えるばかりか、治癒士達の魔力がもちません。」
「聖女さえ…聖女さえ、純潔であったなら……」
「貴様。それを王の前では絶対に言うんじゃないぞ!不敬を買い、貴様の家まで没落になり兼ねない。」
「そうだぞ。こんな理不尽な戦いを我々に強いるような事を招いた王子の為に家が没落なぞ、馬鹿馬鹿しくて割に合わない事甚だしいのだから。」
魔獣の森を覆い尽くす程の瘴気は、近くの街や村へも拡がりつつあり、魔女が封印された洞窟に作られた封印の扉が開きつつある事は、火を見るより明らかだった。
だからこその異世界からの聖女召喚であったにも関わらず、今やその聖女は使い物になっておらない状態である。
隊員達は既に満身創痍で、完全撤退は最早時間の問題かと思っていた。と、その時。
「ランスロット!!」
隊長は自分の名を呼ばれ立ち上がる。
するとベースキャンプの遥か後方から馬が近づいてくるのが分かった。馬は有り得ない速さで此方に向かってくる。
隊長が驚き目を瞬かせていると、馬に乗ってキャンプ地に現れたのは、なんとリューベックであった。
「リューベック様!!」
「は?リューベック様だと?」
「リューベック様が来られた!」
リューベックの来訪に、小隊長達は喜び叫び出す。
それもそのはず。リューベックは、王都で騎士団にいた頃の教官であった。
当時から常に冷静な指示で隊員を纏め、また剣術でも圧倒的な腕前を持っていた。
ランスロット始め、全隊員はリューベックの前に膝まづく。
「リューベック様。お久しゅうございます。」
と隊長ランスロットは頭を下げる。
「あぁ…。皆は?隊員は大丈夫なのか?」
「はッ!森の瘴気が酷く魔獣の力が増強しているせいもあり、術者が張る結界をも超えて来る魔獣がおり、なかなか制圧出来ないでおります。また怪我人も多く、回復も治癒も追いつかない状況です。」
「そうか。大変な中、駆けつけるのが遅くなって済まない。」
「とんでもございません、リューベック様。貴方様がお越し下さっただけでも、隊員たちの心に火がつく事、間違いございません。」
男達が話をする中、
「お話中失礼致します。」
とリューベックの背中から顔を出す女性がいた。
「初めまして。私はマコと申します。リューベックと、この森で戦う為にまいりました。」
ランスロットはマコを見るやいなや、
「あ!貴女様はもしや…」
「え?私をご存知ですか?」
「カルディール侯爵領の聖女様では無いですか!あの時はありがとうございました。」
え?マジで?
てか貴方誰?
「来るぞ!!魔術士、結界にて前線の隊員を守れ!」
「怪我人を後方へ!治癒班急げ!!」
「くっそ~。なんて瘴気だ!!」
「隊長!これ以上前に進むのは危険かと。」
「そうだな。よし!全隊一旦退け!退け!!」
「馬鹿野郎!!魔獣に背中を見せるな!殺られるぞ!」
討伐隊隊長は、一度ベースキャンプまで隊員を退かせ、術者に張らせた結界内に入る。
隊員150人を率いる隊長は、怪我人を治癒士達に任せ、小隊長を集め今後の事を話し合い始めた。
「隊長!これ以上の前進は我々には無理かと…。」
「私もそう思います。怪我人が増えるばかりか、治癒士達の魔力がもちません。」
「聖女さえ…聖女さえ、純潔であったなら……」
「貴様。それを王の前では絶対に言うんじゃないぞ!不敬を買い、貴様の家まで没落になり兼ねない。」
「そうだぞ。こんな理不尽な戦いを我々に強いるような事を招いた王子の為に家が没落なぞ、馬鹿馬鹿しくて割に合わない事甚だしいのだから。」
魔獣の森を覆い尽くす程の瘴気は、近くの街や村へも拡がりつつあり、魔女が封印された洞窟に作られた封印の扉が開きつつある事は、火を見るより明らかだった。
だからこその異世界からの聖女召喚であったにも関わらず、今やその聖女は使い物になっておらない状態である。
隊員達は既に満身創痍で、完全撤退は最早時間の問題かと思っていた。と、その時。
「ランスロット!!」
隊長は自分の名を呼ばれ立ち上がる。
するとベースキャンプの遥か後方から馬が近づいてくるのが分かった。馬は有り得ない速さで此方に向かってくる。
隊長が驚き目を瞬かせていると、馬に乗ってキャンプ地に現れたのは、なんとリューベックであった。
「リューベック様!!」
「は?リューベック様だと?」
「リューベック様が来られた!」
リューベックの来訪に、小隊長達は喜び叫び出す。
それもそのはず。リューベックは、王都で騎士団にいた頃の教官であった。
当時から常に冷静な指示で隊員を纏め、また剣術でも圧倒的な腕前を持っていた。
ランスロット始め、全隊員はリューベックの前に膝まづく。
「リューベック様。お久しゅうございます。」
と隊長ランスロットは頭を下げる。
「あぁ…。皆は?隊員は大丈夫なのか?」
「はッ!森の瘴気が酷く魔獣の力が増強しているせいもあり、術者が張る結界をも超えて来る魔獣がおり、なかなか制圧出来ないでおります。また怪我人も多く、回復も治癒も追いつかない状況です。」
「そうか。大変な中、駆けつけるのが遅くなって済まない。」
「とんでもございません、リューベック様。貴方様がお越し下さっただけでも、隊員たちの心に火がつく事、間違いございません。」
男達が話をする中、
「お話中失礼致します。」
とリューベックの背中から顔を出す女性がいた。
「初めまして。私はマコと申します。リューベックと、この森で戦う為にまいりました。」
ランスロットはマコを見るやいなや、
「あ!貴女様はもしや…」
「え?私をご存知ですか?」
「カルディール侯爵領の聖女様では無いですか!あの時はありがとうございました。」
え?マジで?
てか貴方誰?
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