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第4章 マコこそが真の聖女
愛し子の本気とざまぁ〜魔獣の森へ編 1~
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「おはよう、マコ。」
「おはよう、リック。マークも、おはよう。」
「ヒヒーン」
「ん。いい子ね。」
リックの愛馬マークの鼻筋を撫る。
マークは嬉しそうに大きな瞳を輝かせた。
森までの道中、マークには頑張って貰わなくてはならない。
だから今朝、孤児院の畑で新鮮な野菜と美味しい草(勿論馬にとって)を沢山採って回復魔法をかけた状態で組紐同様、大量に異空間収納に入れてある。異空間の中では、どんなものでも腐らないからホント助かるのよね。
私はマークに「宜しく」という意味も込めて人参をあげると、マークは美味しそうに食べてくれた後、ブルッと首を一振りして、私達の騎乗を待ってくれていた。
颯爽とマークに乗ったリックは、私を片腕で抱き上げマークに乗せてくれた。
(ヤバいってば。こんなカッコイイ事されたら、封印とか辞めてどっか行きたくなっちゃうじゃん!!)
そんな脳内で悶えジタバタしている私をよそに、
「行くぞ!!」
と、リックがマークの腹を軽く蹴った。
修道院から砦の門まで行く途中、街の皆が住む街道を通るのだが、封印の噂を聞きつけた街の人々や領地を守る警備兵や自衛団の人達が沿道で手を振り見送ってくれる。
リックは、マークの手綱を引いてマークを止まらせてくれる。
「マコ様、これを持って行って下さい。」
そう言ってフランソワさんは焼きたてのクッキーをくれた。
鍛冶屋のアッシュじぃちゃんは、
「ほら!わしが魂込めて打った細剣だ。持って行ってくれ。」
と差し出してくれた。
またジーンも
「マコ先生。焼きたてのパンを持って行って下さい。」
といい香りのするパンを1斤くれた。
こんな朝早くから見送ってくれるなど思ってもみなかった私は、嬉しくて思わず泣きそうになった。が、泣き顔を皆に見せたくなかった私は、横座りのままリックの胸に顔を押し付けた。
リックはそんな私の様子を理解したようで、ギュッと抱きしめてくれた。
それでもなんとか笑顔を作って街の人達に
「行ってきます。」
と言うと、
「「「「聖女様、リューベック侯爵。ご武運を!!」」」」
と……。
そして砦の門まで来た。
いよいよ出発だと思ったその時、
「マハディ=カルディール侯爵閣下!!ナーデリア夫人!」
門の前で私達を待っていて下さったのは、侯爵ご夫妻だった。
「父上母上。」
「リューベックよ。マコ様をしっかりお守りするのだぞ。」
「リューベック。マコ様と無事に帰っていらっしゃい。約束ですよ。」
「はい。父上、母上。カルディール侯爵家の名に恥じぬ戦いをして参ります。」
侯爵ご夫妻はリックの言葉にうんうんと首を縦に振っていらした。
砦の門が開けられ、私達はマークに乗ったまま門を潜る。
「リューベック様、どうかご無事で。」
「マコ様とのご帰還をお待ちしております。」
と自衛団の2人に言われた。
「あぁ、無事帰る。それまで領地を頼む。」
リックは、部下にあたるであろう彼等に領地の平和を託したようだ。
「「ご武運を!!」」
「マコ。しっかり捕まっていろよ!さぁ、行くぞ?マーク!!」
マークの腹を一蹴りすると、マークはヒヒ~ンと大きく嘶き、矢のような速さで走り出した。
その姿はまるで、羽の生えたペガサスのようだった。
(魔獣の森まで宜しくね?マーク)
私は心の中でそう言ってリックの腕の中に身を委ねた。
あ!そうそう。
街の皆に見送られた時、思わず泣きそうになった事で、リックにしがみついた時、それに応える様にぎゅっと抱きしめてくれた時の事をあとで聞いたら、
「お前の泣き顔を誰にも見せたくなかったおれの独占欲だ。」
と言って笑っていた。
もぉ、イケメンかよ。
「おはよう、リック。マークも、おはよう。」
「ヒヒーン」
「ん。いい子ね。」
リックの愛馬マークの鼻筋を撫る。
マークは嬉しそうに大きな瞳を輝かせた。
森までの道中、マークには頑張って貰わなくてはならない。
だから今朝、孤児院の畑で新鮮な野菜と美味しい草(勿論馬にとって)を沢山採って回復魔法をかけた状態で組紐同様、大量に異空間収納に入れてある。異空間の中では、どんなものでも腐らないからホント助かるのよね。
私はマークに「宜しく」という意味も込めて人参をあげると、マークは美味しそうに食べてくれた後、ブルッと首を一振りして、私達の騎乗を待ってくれていた。
颯爽とマークに乗ったリックは、私を片腕で抱き上げマークに乗せてくれた。
(ヤバいってば。こんなカッコイイ事されたら、封印とか辞めてどっか行きたくなっちゃうじゃん!!)
そんな脳内で悶えジタバタしている私をよそに、
「行くぞ!!」
と、リックがマークの腹を軽く蹴った。
修道院から砦の門まで行く途中、街の皆が住む街道を通るのだが、封印の噂を聞きつけた街の人々や領地を守る警備兵や自衛団の人達が沿道で手を振り見送ってくれる。
リックは、マークの手綱を引いてマークを止まらせてくれる。
「マコ様、これを持って行って下さい。」
そう言ってフランソワさんは焼きたてのクッキーをくれた。
鍛冶屋のアッシュじぃちゃんは、
「ほら!わしが魂込めて打った細剣だ。持って行ってくれ。」
と差し出してくれた。
またジーンも
「マコ先生。焼きたてのパンを持って行って下さい。」
といい香りのするパンを1斤くれた。
こんな朝早くから見送ってくれるなど思ってもみなかった私は、嬉しくて思わず泣きそうになった。が、泣き顔を皆に見せたくなかった私は、横座りのままリックの胸に顔を押し付けた。
リックはそんな私の様子を理解したようで、ギュッと抱きしめてくれた。
それでもなんとか笑顔を作って街の人達に
「行ってきます。」
と言うと、
「「「「聖女様、リューベック侯爵。ご武運を!!」」」」
と……。
そして砦の門まで来た。
いよいよ出発だと思ったその時、
「マハディ=カルディール侯爵閣下!!ナーデリア夫人!」
門の前で私達を待っていて下さったのは、侯爵ご夫妻だった。
「父上母上。」
「リューベックよ。マコ様をしっかりお守りするのだぞ。」
「リューベック。マコ様と無事に帰っていらっしゃい。約束ですよ。」
「はい。父上、母上。カルディール侯爵家の名に恥じぬ戦いをして参ります。」
侯爵ご夫妻はリックの言葉にうんうんと首を縦に振っていらした。
砦の門が開けられ、私達はマークに乗ったまま門を潜る。
「リューベック様、どうかご無事で。」
「マコ様とのご帰還をお待ちしております。」
と自衛団の2人に言われた。
「あぁ、無事帰る。それまで領地を頼む。」
リックは、部下にあたるであろう彼等に領地の平和を託したようだ。
「「ご武運を!!」」
「マコ。しっかり捕まっていろよ!さぁ、行くぞ?マーク!!」
マークの腹を一蹴りすると、マークはヒヒ~ンと大きく嘶き、矢のような速さで走り出した。
その姿はまるで、羽の生えたペガサスのようだった。
(魔獣の森まで宜しくね?マーク)
私は心の中でそう言ってリックの腕の中に身を委ねた。
あ!そうそう。
街の皆に見送られた時、思わず泣きそうになった事で、リックにしがみついた時、それに応える様にぎゅっと抱きしめてくれた時の事をあとで聞いたら、
「お前の泣き顔を誰にも見せたくなかったおれの独占欲だ。」
と言って笑っていた。
もぉ、イケメンかよ。
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