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第3章 聖女の力と幸せな時間

豊穣祭はバレンタイン?~当日編(夜)~

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豊穣祭も無事終わり、子供達と店の片付けをする。

今までは孤児院としてもバザーを開催していたようだが、街中では無く孤児院内でやっていた為、人も殆ど来なかったらしい。

今回は初めて街中まで出てきての豊穣祭だった。

子供達それぞれが初めての祭りを楽しんだようで、話し始めると止まってしまう手を、私やキャシーさんにたしなめられながら、それでもワイワイと楽しげに作業を進めている。

売上金の3分の1を、場所を貸してくれたジーンに支払い、孤児院または修道院から持ち出した物を子供達となんとか人力で孤児院に運び入れた。
そして、半分夢の中に行ってしまいそうな子供達をどうにかお風呂に入れ、寝かしつけたんだ。

キャシーさんと2人、談話室でお茶を飲む。

「バザー。大成功で良かったわ。これもマコのおかげよ。私だけだったら、こんな風に子供達を導けなかったわ。本当にありがとう。」

と言われ、私は嬉しくて涙が出そうになり、慌てて紅茶が入ったカップを口元に運び誤魔化した。

すると…馬のひづめの音が聞こえたかと思うと、間が空いた後建物の扉を叩く音がした。

応対に出たキャシーさんが赤い顔をして戻ってきた。

「マコ…リューベック様が…」

「あ~、来られたんだ。昨日誘われたんですよ。何か何処に連れて行って下さるらしくて…。じゃキャシーさん、ちょっと行って「ちょっと待って!貴方その格好で行くつもり?」て……え?」

「豊穣祭の夜に、その格好は駄目よ。ちゃんとお着替えなさい。」

そう言われ、私は自室に押し込まれた。

キャシーさんから

『服はこれでアクセはこれ。ちゃんと化粧もしなさいね?レディーのたしなみよ。』

と早口の英語でまくし立てられる。

バタンっとドアを閉められ取り残された私は、仕方なくキャシーさんの言われたとおりに身支度を整えた。

談話室で待っていてくれたリューベック様に挨拶をすると、彼は頬を赤く染め
「あぁ。」

と短く答え、
「では、行こうか。」

と手を引かれた。

「いってらっしゃい、マコ。リューベック様?ご検討をお祈りしておりますわ。」

と言った後、なにやらリューベック様にゴニョゴニョ言っていた。
その言葉に、リューベック様が真っ赤になって慌て出す。
そんなリューベック様をチラ見したキャシーさんは、ニヤニヤしながら私達を送り出してくれた。
あの人何言ったわけ?



馬を走らせる事5分程。
私は領地西側にある小高い丘に造られた、とりでの上にいる。
城壁内の街が一望出来るばかりか、砦の外に広がる森の中にある湖に月の光が反射して、とても綺麗な景色が広がっていた。

「綺麗!」

私はその景色にしばし見とれていた。が、流石に秋の夜風は冷たく、クチュンとくしゃみが出てしまった。

「寒いか?」

リューベック様はそう仰って、着ていた上着を1枚脱いで羽織はおらせてくれた。

上着からリューベック様が付けているらしい香水とリューベック様の香りが混ざった大人の男性の香りがした。

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