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第3章 聖女の力と幸せな時間
昔話を聞きました
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「サウジ様。今宜しいですか?」
「どうしたのじゃ?マコ。」
「カルディール侯爵夫人ナーデリア様の病を治癒してきたんだけどね。彼女、ただの病では無かったのよ。」
「それはどういう事じゃ。」
「ん~初めての事例で私にも分かんないだけどさ~。なんかこ~ 黒いものが見えたてゆ~か…。」
黙り込む私を思案しながら見るサウジ様。
「もしかすると……う~ん……いや考えられん事じゃが……それかもしれんな。」
「何1人でぶつくさ言ってんのよ。ちゃんと私に分かるように説明して!」
「マコや。今日は随分と機嫌が悪いの。」
「当たり前でしょ?ずっと聖女じゃない!ってすっとぼけて逃げようとしてたのに、それ分かっててちっとも援護射撃してくれないとか。この薄情者!!」
「おぉ。それはすまなかった。」
「嘘つきは泥棒の始まり。て言葉があるんだけど?私の元いた国には。司祭様のくせして、貴方嘘つきなの?」
「いやはや。これはこれは。あいすまなかった。」
「謝って済めば警察はいらない!て言葉もあるんだけど?」
「本当にすまなかった。カルディール侯爵家の話をするから許してくれぬか?」
「内容によるわね。」
「これは手厳しいの。」
それからサウジ様は小さく笑って話してくれたの。侯爵家に纏わる因縁についてをね。
【昔むかしある所に 1人の魔女がおりました。魔女は己の醜い姿を晒すことを恐れ、1人森の中で暮らしておりました。
ある日1人の少年が大怪我をした状態で森の中に入ってきました。魔獣に襲われたのでしょう。服はボロボロ、身体中に引っ掻かれたような後が無数に付いておりました。
彼を見つけた魔女は可哀想に思い、少年を自身の住処に連れていき、寝ずの看病をしたのです。
少年は少しずつ回復しました。
やがて少年は、彼を探しに来た家の者に連れられ家に帰る事になりましたが、自分が大人になった時魔女を聖女としてカルディール侯爵領の領地に迎えに来ると約束したのです。
それから月日は流れ、少年は立派な青年になりました。
彼は約束どおり森へ魔女を迎えに行き、父親に目通しをし、立派な教会を建てそこに住まわせました。
魔女は喜び、青年の親が取り仕切る領地の為に祈り、お陰で領地は潤います。が、それをよく思わない人がいました。それは、青年の婚約者でした。
魔女の存在を疎ましく思った婚約者は、ことある事に魔女を虐め、挙句教会に火を付けました。青年に助けられ命からがら逃げ延びた魔女でしたが、酷い火傷をおってしまいとうとう動けなくなってしまったのです。
魔女は最後の力を振り絞り、森に住む魔獣を動かし青年の婚約者を殺そうと試みました。が、魔女は国に使える魔導士達に森の奥の洞穴に閉じ込められ、やがて息絶えました。
死んだ魔女は地獄に落ちる時、自分を死に追いやった青年の婚約者の枕元に立ち、呪いの言葉をかけ消えました。
怯えた婚約者は、魔女の呪いを解こうと魔術士や修道女に頼みましたが、とうとう重い病気にかかり死んでしまいました。
婚約者が死んだ事で呪いが解けたわけでなく、婚約者をけしかけた貴族達をも呪った魔女の呪いはその後もずっと続き、彼女が助けた青年の子孫達やその婚約者や伴侶までもが、必ず病気になり短命になってしまったのでした。】
うん、ヘビーだね。
「どうしたのじゃ?マコ。」
「カルディール侯爵夫人ナーデリア様の病を治癒してきたんだけどね。彼女、ただの病では無かったのよ。」
「それはどういう事じゃ。」
「ん~初めての事例で私にも分かんないだけどさ~。なんかこ~ 黒いものが見えたてゆ~か…。」
黙り込む私を思案しながら見るサウジ様。
「もしかすると……う~ん……いや考えられん事じゃが……それかもしれんな。」
「何1人でぶつくさ言ってんのよ。ちゃんと私に分かるように説明して!」
「マコや。今日は随分と機嫌が悪いの。」
「当たり前でしょ?ずっと聖女じゃない!ってすっとぼけて逃げようとしてたのに、それ分かっててちっとも援護射撃してくれないとか。この薄情者!!」
「おぉ。それはすまなかった。」
「嘘つきは泥棒の始まり。て言葉があるんだけど?私の元いた国には。司祭様のくせして、貴方嘘つきなの?」
「いやはや。これはこれは。あいすまなかった。」
「謝って済めば警察はいらない!て言葉もあるんだけど?」
「本当にすまなかった。カルディール侯爵家の話をするから許してくれぬか?」
「内容によるわね。」
「これは手厳しいの。」
それからサウジ様は小さく笑って話してくれたの。侯爵家に纏わる因縁についてをね。
【昔むかしある所に 1人の魔女がおりました。魔女は己の醜い姿を晒すことを恐れ、1人森の中で暮らしておりました。
ある日1人の少年が大怪我をした状態で森の中に入ってきました。魔獣に襲われたのでしょう。服はボロボロ、身体中に引っ掻かれたような後が無数に付いておりました。
彼を見つけた魔女は可哀想に思い、少年を自身の住処に連れていき、寝ずの看病をしたのです。
少年は少しずつ回復しました。
やがて少年は、彼を探しに来た家の者に連れられ家に帰る事になりましたが、自分が大人になった時魔女を聖女としてカルディール侯爵領の領地に迎えに来ると約束したのです。
それから月日は流れ、少年は立派な青年になりました。
彼は約束どおり森へ魔女を迎えに行き、父親に目通しをし、立派な教会を建てそこに住まわせました。
魔女は喜び、青年の親が取り仕切る領地の為に祈り、お陰で領地は潤います。が、それをよく思わない人がいました。それは、青年の婚約者でした。
魔女の存在を疎ましく思った婚約者は、ことある事に魔女を虐め、挙句教会に火を付けました。青年に助けられ命からがら逃げ延びた魔女でしたが、酷い火傷をおってしまいとうとう動けなくなってしまったのです。
魔女は最後の力を振り絞り、森に住む魔獣を動かし青年の婚約者を殺そうと試みました。が、魔女は国に使える魔導士達に森の奥の洞穴に閉じ込められ、やがて息絶えました。
死んだ魔女は地獄に落ちる時、自分を死に追いやった青年の婚約者の枕元に立ち、呪いの言葉をかけ消えました。
怯えた婚約者は、魔女の呪いを解こうと魔術士や修道女に頼みましたが、とうとう重い病気にかかり死んでしまいました。
婚約者が死んだ事で呪いが解けたわけでなく、婚約者をけしかけた貴族達をも呪った魔女の呪いはその後もずっと続き、彼女が助けた青年の子孫達やその婚約者や伴侶までもが、必ず病気になり短命になってしまったのでした。】
うん、ヘビーだね。
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