は？勝手に召喚しといてそれですか？

第2章 マコ巫女になる

企画は計画的に

この『宝探し』イベントを実施するのには、準備というか根回しが大変だった。

土壌改良に必要な堆肥たいひを貰う為に酪農家らくのうかのアランさんの腰痛を治し。
土にカルシウムを入れたくて卵の殻が沢山出るケーキ屋のフランソワさんの腱鞘炎けんしょうえんを治し。
腐葉土ふようどを作りたかったから、山の持ち主のアンディーさんの風邪を治した。

また、硝子ガラスで温室を作りたかったから、ガラス職人のハンス夫妻の火傷や裂傷れっしょうを治し。
温室の枠をお願いしたかったから、建具屋のエドガーさんの切断してしまった左手の中指を生やしたりもした。

私の治癒魔法への対価は、野菜やパン、植物の苗、それから不要になった服や靴だ。

私は巫女として、痛みや苦しむ人がいると聞けば何処へでも赴おもむき治癒して対価を貰う。治癒が終わると大概たいがいどの家でもお茶を出してくれ、その際 色んな話を聞かせてくれる。
どこそこの誰々は、最近好きな子が出来たらしいが、顔中ニキビ面で告れないとか。サラばーちゃんが最近（骨粗鬆症こつそしょうしょうで）背骨が曲がったとか。お貴族様の要らなくなっドレスの端切れが手に入ったから、今度取りにおいでとか。治癒をした隣の家の奥さんが、治癒しなくても物をくれたりと。
この街の人達は本当に優しくて最高だった。

だから皆さんに、このイベントへのご協力をお願いしたの。
皆さん快こころよく快諾かいだくしてくれた。ほんとマジ感謝だよね。

勿論、文字を読めないと地図の解読が出来ないようにしたから、子供達への指導は頑張った。
先まずは、身近な物や名前を絵付きで表記して覚えさせたり、司祭様に頼んで、街の人達に声をかけて貰って、もう読まなくなったという絵本や本を集めて貰い、それ等にこれ以上傷いたまないように汚れ防止魔法をかけ読み聞かせをしたりした。
子供達が毎日毎日コツコツとじっくり楽しく学べる工夫をし、キャシーさんとも毎晩遅くまで話し合って改善策を練ねったりもした。

その甲斐かいあってか、子供達はリーダーの子を中心に地図を解読。意気揚々いきようようと孤児院を出て探検に行ったのだった。

みんな頑張って！
街の皆さん…子供達を宜しくお願い致します。
私は前の世界でテレビでよく見た『初めてのお〇かい』で、子供を送り出す母親の気持ちになったような気持ちで、女神様に祈りを捧げた。