は?勝手に召喚しといてそれですか?

Saeko

文字の大きさ
上 下
3 / 85
第1章 召喚

ちょっと聞いてないんですけど?

しおりを挟む
「はい、どうぞ。」

私はノックの音に答える形で返事をすると、

「お目覚めでしょうか、聖女様。」

と入ってきた人物はのたもうた。

聖女?は?何言っちゃってんの?この人。

何も答えない私を怪訝けげんそうな顔をして見てくるドレス姿の女性。彼女のドレスはとても古い型で、とてもじゃないが21世紀のデザインとは言えなかった。

(ん?彼女のドレスだけじゃないな。内装も歴史の教科書なんかで見た中世ヨーロッパっぽくない?)

脳内でそんな事を考えていた私に、

「聖女様。お加減は如何ですか?」

と聞かれ、意識を急激に戻された。

「え~と…頭が酷く痛みますね。てか、ここは何処なのですか?」

ドレスの女性は答える。

「ここは王宮にございます。」

「え?お城の中って事?え?どうして私がそんな所にいるわけ?」

と、ドレスの女性に矢継ぎ早に質問したが、

「私は侍女ゆえに、詳しい事は存じ上げません。申し訳ございません、聖女様。では、湯浴みのご用意が出来ましたら再度参りますので、それまで此方をお読みになってお待ちください。」

私の質問への明確な答えを返す事なくそう言って、女性は厚い本を渡してきた。

【サルベージ王国の歴史】

渡された本の表紙を見て驚いた。ちょっと待って?全く読めないはずの言語じゃんこれって。なのに何故に読めちゃうわけ?てか、さっきの人の言葉もちゃんと理解できたとか可笑しくね?

頭の中に疑問符だらけだけど、まぁとりま読んでみようかな。疑問点は後から他の人から色々聞いてみたらいいわけだしね。

私が本を読もうと表紙をめくろうとしたその時、てのひらが急に暖かくなったかと思うと一気に言葉が頭に流れ込んできた。


【200年前、突如現れた黒髪の少女がこの地に舞い降り、スタンピードを制圧。少女が聖魔法を発する時 目もくらむ程の白き光が辺りを包み、魔物達は浄化され、魔の巣窟そうくつは封印された。聖女はその後その天命を全うするまでこの地にて祈りを捧げ、サルベージ王国を護りし女神イズールの言葉を伝える聖なる存在になった。
聖女の封印の力は常に50年であり、その力が弱まる度、女神イズールは聖女を召喚し、再び王国は平和を取り戻したのだ。】

ふぅ。読んだわ~てか、読まされた感あるよね~。しかも勝手にさ。
あんな事に勝手に頭に言葉流す位だったら、いちいち分厚い本にする意味無くね?てくらい簡潔だったのには、目をつぶる事にした。そんな事より情報整理しないとよね~。

えと?女神イズールが聖女として召喚したのは黒髪の少女。少女は聖女として国を護る。て事よね?めっちゃ簡単にしたけどさ。でもこれってさ~、私がやってた乙ゲーの世界観のまんまじゃね?

てことは何?私、死んで乙ゲーの中に転生されちゃったってわけ?

ならあのフラフラ歩いてた人て、もしやイズールとかいう女神?

『そうです。私がイズール。よく分かりましたね?聖女、マコ。私を救おうとしてくれた事感謝します。そなたは私が見込んだだけあって優しい心根の少女でした。マコ。この国を頼みましたよ。』
いきなり頭の中に言葉を送り込んできた女神様。

頼みましたて何?

ちょっと!聞いてないんですけど?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました

Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい… ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。 忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。 だから私は婚約者を尾行した。 するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。 まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!! ※誤字脱字報告ありがとうございます。 ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...